官僚たちの夏

脚本 - 橋本裕志
演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人
プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明

http://www.tbs.co.jp/kanryou09/


第3話 大臣との対立

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昭和34年、5年後に東京五輪を控えた頃、繊維産業の驚異的な
成長にアメリカ繊維産業との間で日米繊維摩擦が起こる。

7月、池内が三度目の通産大臣に任命される。真の国際化の為
に必要な物は他国との協調性である事を唱える。
人事も一新され、事務次官は前園から柏原満になる。
繊維局長に玉木が任命され帰国する。その腹心として片山が
課長に就任。二人共に国際協調派路線を強いる人物だった。

それに対して重工業局長に就任した風越は、対策として庭野を
大臣秘書として送り込み池内の動きを探らせ、鮎川を繊維輸出
課長に任命し玉木の動きを見張らせる。

庭野は早速繊維業で急成長を遂げたオカヤ織物株式会社を視察
する。安かろう悪かろうとアメリカからは揶揄されるが、1ドル
ブラウスなどで輸出が急激に伸びて、その対応のために社長の
岡屋は第二工場を建設したという。岡屋は通産関係の職員が
来たことで、日米繊維摩擦の事を気にする。

そんな中、記者の西丸は前園が天下りした大東製鉄は、経営
破綻から一転して帝都銀行から融資を受けて復活したことを
知る。前園は帝都との関係が上手く行っていないことから、
大蔵省が介入しているのだろうと予測する。
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日米貿易摩擦が本格的に起こる。
東西冷戦の最中、日米安保との兼ね合いにより、アメリカに
守って貰わねばならない立場の日本としてはアメリカの要求に
答えねばならない。果たして繊維産業を犠牲にしてでも日本は
アメリカの要求に応えるのか。

国内産業の保護論者と国際協調派の激しい対立の構図。
ドラマとして面白いのは、そんな両社がバランスよく配置され
ており、面白く対峙している点。そして国際協調派である
人間達も、決して日本の国民をぞんざいに扱おうとする気
は無いという事実だ。

これは日本人に見て欲しいというよりもアメリカや中国の人
に見て欲しいという様な内容だね。

片山泰介がドラマの中で言っていたことが事態の複雑さを
物語っている。現場の人間と話したりしたら情に流されて
決断できないという事。

どちらの言い分にももっともな所があり、どちらの選択が正し
いのか判断に難しい点がある。
先見の明を持ってしてみれば国際協調派の意見も間違いでは
なく、国内産業を守るだけでなく戦う中で強化していかねば
今後迫り来る自由貿易の時に似たような悲劇を繰り返してしま
う。

今回繊維業だけがやり玉に挙がってしまうが、途上国に有る
日本ならば人件費が安い分、どの業種に於いてもそんな可能性
が有る点がなんとも難しい感じだね。

どの人もやっている事は間違いなく、目指すところも一致して
いる。しかし立場の違いがその時々の判断や決断に於いて差違
として現れて、悪人にも善人にも見えるのだから、なんとも
面白い。

"岡屋のシャツは簡単には破れない"
このセリフがシャツそのものに有るのではなく、岡屋としての
企業に投げかけられた言葉という意味でも、とても切なく、
そして希望を求める一文で良くできていると思う。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

前園繁 …… 国広富之 (事務次官)
岡屋文平 …… 桂ざこば (岡屋織物株式会社)
柏原満 …… 春田純一 (新事務次官)
牧百合子 …… 奥貫薫 (妻)
池内瑞江 …… 柏木由紀子
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)

俵木藤汰、宇納佑、山上賢治、高原靖典、近藤茜、小川真依
Max Von Schuler

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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