官僚たちの夏 脚本 - 橋本裕志 演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人 プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明 http://www.tbs.co.jp/kanryou09/

第4話 黒船来襲
--------------------------------------------------------
昭和34(1959)年秋、玉木は綿製品の対米輸出自主規制を行う
事を発表する。中小企業が幾つ潰れるのか、風越や鮎川らは
頭を抱える。
全国の中小企業は操業・残業短縮を行い、その結果岡屋織物の
社長も女性社員達に必ず再び職場に戻すことを約束し彼女たち
の大半を田舎へと返す。その現状を見た鮎川と山本は、しきり
に化学繊維の導入を呼びかけるが、給料も出せない企業に転換
するだけの体力など何処にもなかった。

中小企業たちは通産相の前でデモを行う。
しかしその姿を見た池内は騒いでいるのは中小企業だけだとし
て吐き捨てる。

一方風越は大蔵省へ救済の為の融資を早期に行う事を呼びかけ
る為に大蔵大臣の須藤恵作に掛け合う。彼は風越と同じ国内
産業保護側の人間だが、次期総裁の座を巡って池内とは対立
する関係にあり、須藤は私に近づくのならばそれなりの覚悟が
必要だと忠告する。しかしMr.通産省の風越には政局など眼中に
無いことを告げる。

GATT東京総会が開催される。
日本の国際化をアピールしたい思いだったが、逆に会議では
日本の貿易保護策に対して世界中から厳しい姿勢で挑まれる。
貿易の自由化を抑えるために綿製品の自主規制を行ったのに、
その効果は全く現れていない。GATTは実質アメリカに牛耳られ
ていることから、全てはアメリカの思惑にハメられたという
結果となる。
--------------------------------------------------------

否応無しに貿易の自由化を求めてくる国際社会。
一気に門戸を開けば、日本の中小企業に対する打撃は計り知れ
ないものが有る中で、通産省や政治家はどのような決断を下す
のか。

政治家だけは決して信用してはいけないという展開が実に上手
く描かれていた。
自由化反対派の風越も、それが避けられない事実である事は
分かっている訳で問題はタイミングや時期的なものであること
は自明の理である。その辺の心の隙間に上手く入り込み説き
伏せてしまうところは、やはり政治家として、そして総裁を
目指す身である池内に取ってはお手の物という感じ。
逆にこの辺で説得できないようならば総理の資質など無い訳だ
からね。

対立点は3話と似たような形だが、今回は政治家自らが省庁の
局長会議に乗り込んでくるということで、格の違いを見せられた
感じ。

ドラマとしては多数派工作を仕掛けてくる中で、色々と人間
関係などが上手くあぶり出されてくる。
池内の一歩も二歩も先の事を見た政略に、ただ驚かされるばか
りで、相手を蹴落とし自らが総裁の座を掴むために何をすべき
なのかをよくわきまえているところ、そして人脈をフル動員
して目的を果たす姿が凄かった。

岡屋織物の件も微妙なものがあるが、一応解決策に向かった
様で良かったと思う。社長のことだけを見ると確かに可愛そう
なものだが、会社は社長一人の者ではなく、働く人全てのために
有るという論理に従えば、間違った決断ではないね。

ドラマでは風越が主人公の様な感じだが、広義的に見ると
やはり風越のしている事は、弱者救済との名目として映るけれど、
近視眼的な政策にしか見えないところがあるな。
政治家の視点と、一官僚の視点の違いが面白く描かれている
ドラマだね。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

前園繁 …… 国広富之 (事務次官)
岡屋文平 …… 桂ざこば (岡屋織物株式会社)
柏原満 …… 春田純一 (新事務次官)
牧百合子 …… 奥貫薫 (妻)
池内瑞江 …… 柏木由紀子
須藤恵作 …… 長塚京三 (大蔵大臣)
山岡一郎 …… 中原丈雄 (帝都銀行頭取)
桜塚治 …… 矢島健一 (通商局長)
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)

大石吾朗、伊藤正之、菅原大吉、渡辺航、栗田よう子
鹿出俊之輔、上杉陽一、俵木藤汰、井上浩、宇納佑
山上賢治、高原靖典、近藤茜、小川真依、大松彰、近藤里沙
Gilles Beaufils

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)