官僚たちの夏 脚本 - 橋本裕志 演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人 プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明 http://www.tbs.co.jp/kanryou09/

第5話 電算機を救え
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安保闘争、労働争議が激化する昭和35(1960)年7月。
池内信人内閣が発足し、彼は公約として所得倍増計画を10年で
達成することを宣言する。
通産大臣には敵対していた須藤恵作に就かせる。
4年後には東京五輪が控えており、日本の貿易産業の90%が自由
化になると予想される中、風越はフランスから牧順三を呼び寄
せ、国内産業保護法案要綱を提出させる。牧の4年がかりの力作
に期待を寄せる。

一方通産省・重工業局では暴動騒ぎに頭を抱える。
公営ギャンブルが社会悪という向きも有り、対応に苦慮してい
た。

そんな中庭野は風越の元に赴き、世界的なコンピュータ企業の
IDN社が日本進出を狙っている噂が有ることを伝える。
国内でもIDN社のコンピュータを使用したいとする企業の声も
取り上げられる。
庭野は国内コンピュータ会社の大沢無線・蒲田工場の大沢和己
の元を訪れ現状を視察する。欧米に技術が圧倒的に後れている
上にコンピュータは1個5000円もするトランジスタを100個以上
使用する。開発・組み立てするための資金が全く足りないこと
を知る。国産コンピュータの開発を進めるためには資金集めが
急務だった。

須藤恵作に風越と志を共にする者達は集まる。
そして須藤に牧の法案に関して賛同してくれるよう頼む。
途中で風越とは対立の関係にある日本の国際派を掲げる片山
も顔を見せるが、ココにいる人とは意見が合いそうもないと
して一緒に食卓を囲むのを拒む。
須藤は風越に所得倍増委員に通産省として出席して欲しいと
頼まれるが、今は国内コンピュータ産業の発展が急務だとして
申し出を断る。
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国際化と国内産業保護の間で揺れる日本国。

コンピュータ産業に関して先見性を持てずにいる銀行、そして
国民たちをどのように説得し、その為の資金源を得ていくのか。

ドラマとしてはこれまでの日本人同士の葛藤が別の形で
表現され、政治家である池内信人が直接顔を覗かせる話では
無かった。
主に日本vsアメリカの構図だったので対立点が分かりやすい
話だったかも知れない。

アメリカの要求が果たして妥当なものなのか。
国際化と国内産業保護のバランスはどの程度に設定すれば良い
のか。
ドラマでは7%のロイヤリティを求めてくるアメリカのやり方が
どの程度の非道な要求なのか、その辺のニュアンスは風越や
庭野の必死な態度の中にも現れていたと思う。
日本の事ばかりを考えて決断するという時期は過ぎて、如何に
交渉の場でより良い条件を引き出せるのか。
国内産業を活かすも殺すも官僚の手による状況の中、まさに
背水の陣で挑んだ交渉だった。

ドラマの中で良くできているのは、アメリカ人との交渉を違和感
無く演出できたこと。そして最後は庭野が辞書を片手に説得
するシーンはこの交渉にかける思いが見て取れるようでとても
面白かった。

所得倍増計画に関しては深くは描かれなかったが、教科書で
見かける太平洋ベルトライン構想なんて単語が出てきた時には
懐かしい思いにさせられた。

コンピュータの事は好きなのでもう少しドラマでは交渉以外に
コンピュータ産業の現状を細かく描いたシーンが見てみたかっ
た。車やテレビの時には現場の状況が描かれていたからね。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

前園繁 …… 国広富之 (事務次官)
岡屋文平 …… 桂ざこば (岡屋織物株式会社)
柏原満 …… 春田純一 (新事務次官)
牧百合子 …… 奥貫薫 (妻)
池内瑞江 …… 柏木由紀子
須藤恵作 …… 長塚京三 (大蔵大臣)
山岡一郎 …… 中原丈雄 (帝都銀行頭取)
桜塚治 …… 矢島健一 (通商局長)
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)

ジェーン・ヤマグチ …… 麻生祐未 (通訳)
ホフマン …… Anatoli.K (IDN副社長)

大石吾朗、伊藤正之、菅原大吉、渡辺航、栗田よう子
鹿出俊之輔、上杉陽一、俵木藤汰、井上浩、宇納佑
山上賢治、高原靖典、近藤茜、小川真依、大松彰、近藤里沙
Gilles Beaufils

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)