官僚たちの夏

脚本 - 橋本裕志
演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人
プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明

http://www.tbs.co.jp/kanryou09/


第7話 敗北
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輸出産業の90&自由化を約束してしまい期限が迫る中、自由化
から国内産業を守るために、国内産業保護法案の成立に向けて
奔走する。

昭和37(1962)年・夏。企業局は大臣官房の課長級を呼びつけて
保護法案成立以降の自動車産業再編の動きを説明する。
競争力を持たせるためには三社に絞るべきで、残りはトラック
や軽自動車に回すという自動車三社構想。

一方通産大臣の須藤は内閣に在籍すると必ず池内に潰されて
しまうために、外に出る事を決意する。法案成立のために用意
した後任として小川派の古畑晋介を任命する。
初入閣と言うこともあって、古畑は浮かれてマスコミを大挙
周りに蔓延らせて、地元の陳情団たちへのサービスに手を回す。
行政の公平性の観点から陳情団たちへの接触を控えてくれと
風越は告げるが、全く聞こうともしなかった。

法案可決に際して後ろ盾が必要で、特に公正取引委員会と銀行
協会の理解と協力は必要不可欠な物であるが、風越はいつも
の調子で理解してくれない両者に対して過当競争を無くしたい
だけだとして強い口調で言い放ち、部下達から宥められる事も
あった。牧はデリケートな時期だけに自分の意見ばかりを押し
通そうとする風越のやり方に不満を持つ。

そんな中、風越の娘・貴子が教員に採用された事を知り、お祝い
という名目で鮎川が風越の自宅にやってくる。しかし目的は
銀行の山岡らの機嫌を損ねたら法案通過は難しいとして少し
批判は抑えめにしてくれと言う要求だった。

平行線を辿る企業局と銀行協会と公正取引委員会だったが、
通産大臣の古畑を含めて全て東大法学部の同期と言うこともあ
り古畑に調整を依頼する。するとそれがズバリ的中し、古畑は
両者からの理解を取り付けることに成功するのだった。
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新しいトラブルメーカー・古畑の登場に、助けられたかと思え
ば、逆に風越のマスコミからの注目の高さに嫉妬し、次々と
とんでもない事をしでかす。果たして国会に提出される法案は
議論の場に取り上げられるのか。

相変わらずバランスよく立場が逆転していくドラマだな。

上に立つ者として、部下達のご機嫌取りに奔走しなければなら
ないし政治家先生のプライドを尊重するために顔を立てなけれ
ばならない。ホント難儀な立場だね。それを怠ったが為に
徐々に人間関係が崩壊していく。気の知れた仲間ならばまだ
しも当面の利益だけを追求する者達に本当に通るかも分からない
法案の重要性など説いてみたところで全く相手にされない。

政治家たちの二面性が面白くあぶり出された展開だろうか。
とにかく勝ち馬には積極的に参加し、泥船だと知った途端に
すぐに乗り換えるというのが政治家として長く生きていける
為のコツと言わんばかりにドラマを見せられる。

影でご機嫌取りに奔走する鮎川光太郎の男気を感じる話でも
有った。小回りの利く彼のような存在が如何に大きいのかを
知らしめる。牧には一歩引いた態度で接するし、暴走している
風越をクールダウンさせるのも彼の立派な役目。

特許庁がまるで島流しの監獄のような扱いになっている
ところが笑えるところ。玉木・コネリー・博文ははい上がって
来ることが出来たが、風越・イーストウッド・信吾はいつアル
カトラズからの脱出を図ることが出来るのか。

池内の病気の件と、丸尾の引退が時代の流れを感じさせると
共に事態を急変させる可能性も秘めている。また牧が鞍替えした
事実は一体どんな難局を用意しているのか。牧に対して鮎川の
フォローで風越に対する不信感は昇華しきれたものとばかり
思っていたけどね。ねばり強く勝機を待つ片山にしても
勝ち鬨を見逃さずに攻勢をかける池内にしても、役者が揃って
いるなという感じだね。

それにしても世論が全くドラマの中に反映されていない事も
有って、国民がどちらを指示しているのか全く分からない所が
有るな。

8話放送は2週間のお休みの後、9月6日放送だそうな。
日曜日の地上波ドラマってこれしか見ていないので、二週間
暇すぎるかも。溜まったビデオでも消化するか。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

牧百合子 …… 奥貫薫 (妻)
池内瑞江 …… 柏木由紀子
須藤恵作 …… 長塚京三 (大蔵大臣)
山岡一郎 …… 中原丈雄 (帝都銀行頭取)
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)

古畑晋介 …… 佐藤B作 (小川派・新通産大臣)
小川万作 …… 鹿内孝 (民自党・小川派会長)
日向毅 …… 加藤虎ノ介 (アケボノ自動車専務)

渡辺航、伊集院八朗、森富士夫、五王四郎、中村直太郎
関根信宏

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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