官僚たちの夏 脚本 - 橋本裕志 演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人 プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明 http://www.tbs.co.jp/kanryou09/

第8話 総理の死
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昭和39年に開催される東京五輪まで残り一年。
玉木が通産省トップ事務次官になり、風越が特許庁へと左遷
される。
昭和38年(1963)夏、鮎川と庭野は鉱山保安局へと異動になり、
片山が重工業局長になったことで、通産省は国際化組が体制を
占める。牧と御影は企業局に抜擢されたのが唯一風越派の名残。
山本もまた特許庁に飛ばされ風越の下に付くことになった。
特許庁を改革すれば国際競争力強化に貢献できるとして風越も
腐らず自分のやるべき事を模索していた。

総理官邸室ではYF-11という国産航空機を五輪の時には飛ばすと
いう目標を掲げる中、通産省にアメリカ飛行審査会から不合格
の通知が届く。安全性欠陥旅客機としてマスコミも報道する。

すぐに日本航空機設計・技術部長の北条が呼び出される。
彼は今のコンピューターシステムでは限界があるという。
設計の問題は、横風に弱く、また尾翼の安全性が指摘された
ものだった。開発センターには国内コンピュータ企業6社の
社長が呼び出されて会議を行う。

まだ石油の自由化により石炭の需要が急激に減退。
それに伴い松池炭坑では経営側が引き締めを行い、労働組合と
の摩擦が顕著になる。鉱山保安局の鮎川と庭野はなんとか
譲歩案を探り合うべきだとして間に入るものの、なかなか解決
には至らない。通産省の玉木に救済予算の打診を行うが、
競争による淘汰は仕方が無く、斜陽産業に税金の投入は出来な
いとされる。
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貿易の自由化を求められて、それがいよいよ現実となる。
これまでは玉木の求めていた自由経済の論理が求められていた
時代性も有るが、その流れが一辺倒のまま何時までも続く物では
ないという所がドラマとしては面白く描かれる。経済は生き物
であり、その時代時代に求められるものをどのように汲み取っ
ていくのかが官僚としての役割なのだろう。

今の時代から見ると玉木の対応も有る意味では間違っていない。
石炭の時代が終わることは明らかで、炭坑保護に関しては
ソフトランディングであれ終息させねばならない職種でもある。

玉木という人物は池内の元で指針を打ち出し、その目標の下で
風越が時代に合わせて現場の立場で調整役を果たしているよう
なものだ。
現場と一体化する風越にとって時代を乗りきってきたという
充足感が有るのに大して、玉木たちは有る意味現場の気持ちを
知ることもなく、指揮を振るっていただけで、日本としての
現状が何処にあるのか見失う部分が有るのかも知れない。

しかし玉木という人物無しに日本の成長も有り得ないわけで、
玉木と風越はとても良い対極的な相手を見つけた感じだね。

池内が最後に風越という人物を高く評価する。
効率だけを求めるのならば全てが海外依存になる可能性も有る。
そんな効率だけに目を向けたとき果たして日本に残る物は
何なのか。

論理ばかりを遵守し、現場の熱意や思いを疎かにしてきた玉木
にとってはなかなか答えの出せない事なのかも知れない。

五輪という目標に向けて国際化を発展させていき、イベントが
終わると同時に国内へ目を向ける。五輪が面白いようにその
転機となって、一つの時代の終わりを告げ新たな時代へと踏み
出すサインとなる辺りがとても良い感じに映る。

しかしまぁ現実的には政治家にしても官僚にしても、一度手に
入れた役職をそう易々と手放すことはなく固執するのが人間
としての真理だろうから、玉木とか池内の潔さは、今の時代の
政治家たちに向けたアンチテーゼなんだろうけどね。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

牧百合子 …… 奥貫薫 (妻)
池内瑞江 …… 柏木由紀子
須藤恵作 …… 長塚京三 (大蔵大臣)
山岡一郎 …… 中原丈雄 (帝都銀行頭取)
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)

古畑晋介 …… 佐藤B作 (小川派・新通産大臣)
大原喜久雄 …… 金田明夫 (特許庁・総務課)
倉石太郎 …… 鶴見辰吾 (松池鉱山・労組委員)
大沢 …… 岡本信人 (大沢無線社長)
北条正樹 …… 山崎一 (日本航空機設計・技術部長)
磯貝肇 …… 三浦浩一 (松池鉱山社長)

藤田三三三、若村秀俊、小倉輝一、山上賢治、石川智徳
那波一寿

評価：★★★★★★★☆☆☆ (7.0)