官僚たちの夏

脚本 - 橋本裕志
演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人
プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明

http://www.tbs.co.jp/kanryou09/


第9話 炭鉱事故

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石油の自由化により石炭産業が低迷。多くの繁栄をもたらして
来た影で、繊維業界など長期低迷に陥る業種も出てくる。
矛盾と不平等で溢れる世の中になってきた。全ては弱者を切り
捨てて来たからだという。

昭和40年1月、東京五輪の反動で日本経済は不景気に入る。
物価の上昇、公害の悪化、地方の過疎化に都市部の過密化。
日本経済は祭りのツケを払わされることになる。
先進国入りしたものの途上国の発展も目覚ましく、この繁栄を
維持するのは並大抵の物ではないと感じていた。
風越、鮎川、庭野は集まり、そんな困難も三人で立ち向かえば
乗り越えられると語る。

須藤が新総理に就任。須藤は戦後20年経っても返還されていな
い沖縄と小笠原の返還を政権の柱に捉えていた。
風越は事務次官、鮎川は企業局長、牧は通商局長、庭野は重工
業局長、片山は繊維局長。

しかし片山はある時風越の前に辞表を持ってくる。貴方の前では
僕らしい仕事は出来ないという。しかし風越は当時輸出の自主
規制をした片山にはその責任を持って貰うとして最後まで仕事
を全うするよう要求する。そして'70年の日本万国博覧会の指揮
をとる様命じる。

一方石油の自由化の煽りを食い、炭坑では厳しい経済状況を
強いられていた。炭坑の閉鎖でデモが起こる。もしも救済が
無ければ炭坑職員20万人が失業し、80万人の家族が路頭に迷う。
石油の輸入が止められる事態に備えて石炭産業の維持を求める。

一方鉄鋼界でも設備投資の乱立によって鉄鋼材の暴落が続く。
かつて通産省にいた丸尾は業界第5位の大日製鉄の副社長の座
に就いていた。通産省では暴落を防ぐためにも業界に一律の
生産調整を求めるが、丸尾率いる大日製鉄は我々はこのまま
では5位のままだとして調整の提案を断る。

そんな中鮎川は体調不良で倒れる。
運悪くそんな時期に北海道の麻幌炭坑で炭塵爆発が起こる。
全ては経費節減がもたらした人災だった。これを機に炭坑事業
は斜陽化との印象が一層強くなり、九州の松池炭坑でも人員
削減の更なる締め付けが行われる。社長の磯貝に詰め寄る
労組委員の倉石。鮎川は宇治原が倒れたことで鉱山局長の仕事
も同時に引き受けることになる。
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風越がやっている弱者救済は人間として間違っては居ない事は
明らかだが、急激な改革を求められる時期にあって、果たして
時代に合ったものなのか。

色々と不確定要素が散見していて、Mr.通産省の風越政権も長く
はないのかなという気がする。

特に弱者救済に関して共に戦ってきた政治家であり現在の総理
である須藤との考え方のずれが表面化し始める。
総理として最も優先すべき項目は弱者救済ではなく、領土の
返還という中、同調して政策を続けていけるのかという点。

ベトナム戦争によって更に沖縄というアメリカの戦略基地が
重要視される中で、須藤にとっても炭坑救済所の話ではなくなっ
ているのかも知れない。

鮎川の病状に関しても気になるところ。
今回は彼の最後の活躍となる点も風越組にとって求心力を失う
要素である。当時の官僚は現在の救命救急の現場にも似た
人員の不足と、現場職員の努力と熱血に支えられている部分が
大きくて、なんとも辛そうな感じだ。

ドラマとしては斜陽である炭坑をどう終息すべきか。
また鉄鋼業界に関してどうやってバランスをとっていくべきな
のか。とにかく日本という土地は、競合する企業が多すぎて
どの産業も下手に疲弊していく部分があるのかな。
国内で厳しい戦いを切り抜けている分、海外市場でその強みを
発揮して欲しい所なんだけどね。

玉木は中東開発石油本社に就任。
中尾は大日製鉄に就任と重要かつ今後共に日本に必要な成長
産業に就いているところが美味しいね。

虎視眈々と通産省の次官の座を狙う牧と片山の存在が不気味。
どんな形で風越の前に台頭してくるのだろうか。

そして日本の領土を返還するにもアメリカの要求してくる物とは
何なのか。まさに日本はアメリカの植民地状態だね。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

牧百合子 …… 奥貫薫 (妻)
池内瑞江 …… 柏木由紀子
須藤恵作 …… 長塚京三 (大蔵大臣)
山岡一郎 …… 中原丈雄 (帝都銀行頭取)
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)

倉石太郎 …… 鶴見辰吾 (松池鉱山・労組委員)
磯貝肇 …… 三浦浩一 (松池鉱山社長)
宇治原 …… 小林隆 (鉱山保安局長)
鮎川妙子 …… 藤田朋子 (妻)

芹澤名人、藤田宗久、市原清彦、山口みよ子、窪園純一
城戸光輝、小倉輝一、桜井聖、那波一寿、唐沢百合

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