官僚たちの夏

脚本 - 橋本裕志
演出 - 平野俊一、大岡進、松田礼人
プロデューサー - 伊佐野英樹、真木明

http://www.tbs.co.jp/kanryou09/


第10話 天下りせず

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昭和40年、不況を乗り越えた日本だが、石炭から石油に転換し
繊維産業など一部の業種は未だ不況から抜け出せずにいた。
そんな中、炭坑事業に尽力を注いできた鮎川が再び倒れる。
鮎川はかつてアメリカの要求の際に繊維産業に対して輸出の
自主規制という形で犠牲になってもらった事をベッドの中でも
気にしていた。片山に対してたまには現場の意見も聞いて挙げ
てくれと頼む。

一方人事の新たな刷新が行われようとしていたが、鮎川のポス
トをどうするかで頭を悩ませる。牧は以前に自分が倒れたとき
に鮎川が代行してくれたので、変わりに鮎川の企業局も引き受
けるという。鮎川の欠落によって通産省が分裂するかに思えた
が逆に彼を補うべく団結し始める。

片山は繊維業界の問題点を鋭く指摘する。
賃金上昇が今の業界のネックとなっている事。そして最新の
設備の導入を検討すべきだと報告。珍しく現場を視察した片山
は日本の繊維技術力を驚くと共に、これならば国際競争力に
於いても勝ち抜けると確信する。

そんな中沖縄・小笠原返還を公約として掲げていた須藤総理。
ベトナム戦争が長期化し、沖縄は後方基地としての重要性が
増していた為に取りあえず小笠原の返還交渉に入る。
須藤は訪米した後に大蔵省と外務省と接触していることから、
鉄鋼かテレビ関係が閉め出されるのではないかと予想されるが
須藤は風越や庭野らが居る前で特定の産業が閉め出される事は
無いという。変わりにベトナム戦争への支持と同時に戦費の
調達の為に1000億を要求されたという。
これだけの金が有ればどれだけの人が助けられるのかと訴える。
しかし須藤は風越らの意見は取り合うことなく決定する。
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いよいよMr.通産省の風越の退官の日がやってくる。
果たして諸問題は解決できるのか。

池内の死去に続いて鮎川の死去。
徐々に一緒に戦い・争ってきた人が脱落していくことで先細り
していく様子が描かれると同時に一時代の終わりというものを
感じる展開だった。特に主人公の風越の退官によって、その傾向
は明らかで、今後はどの様に物語に関わらせていくのかが興味
の示すところかも知れない。

やはりドラマの面白さは、時代や状況の流れと共に、人はどの
様に変わりそして信念を貫いていくのかがポイントか

フランスに渡り国内産業の保護に勤めていたときの牧とは全く
様変わりして、今では地位や権力にばかり注視している彼がいる。
玉木と共に海外派の先鋒として国内市場の開放を求めると共に、
市場の原理に任せて淘汰すべき企業は淘汰しろとばかりに
弱者を切り捨ててきた片山が、今では日本という国を国際貢献
出来る国へとビジョンを掲げる。

風越の活躍は立派なモノだったが、最後になって人選の選考に
於いては、人を見る目がなかったという辺りもドラマの面白い
部分。

小笠原の返還に於いての決断は難しいモノだが、個人的には
長引かせるよりも早めに処理した方が良かったのかなと思う。

しかし時代に振り回される繊維業界は可哀想だね。
岡屋がタイでまた事業を始めると言った辺りは最大限の抵抗なん
だろうな。

風越信吾 …… 佐藤浩市 (42歳・自動車課課長)
庭野貴久 …… 堺雅人 (36歳・鉱山局石油課課長補佐)
鮎川光太郎 …… 高橋克実 (39歳・中小企業振興課課長)
西丸賢治 …… 佐野史郎 (40歳・東京経済新聞記者)
丸尾要 …… 西村雅彦 (45歳・重工業局局長)
牧順三 …… 杉本哲太 (39歳・特許庁総務課課長)
山本真 …… 吹石一恵 (22歳・新人官僚)
御影大樹 …… 田中圭 (26歳・大臣官房秘書)
風越道子 …… 床嶋佳子 (37歳・妻)
風越貴子 …… 村川絵梨 (16歳・娘)
片山泰介 …… 高橋克典 (34歳・通商局為替課課長補佐)
玉木博文 …… 船越英一郎 (42歳・通商政策課課長)
池内信人 …… 北大路欣也 (55歳・民自党幹事長)

牧百合子 …… 奥貫薫 (妻)
池内瑞江 …… 柏木由紀子
須藤恵作 …… 長塚京三 (大蔵大臣)
山岡一郎 …… 中原丈雄 (帝都銀行頭取)
ナレーション …… 安住紳一郎(アナ)
鮎川妙子 …… 藤田朋子 (妻)

佐々木省三、古川伴睦、神崎智孝、岡崎宏、Bill Darling

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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