リミット -刑事の現場2-

作者/遊川和彦
製作/磯智明
演出/渡辺一貴

http://www.nhk.or.jp/nagoya/keiji2/index.html


第1話 その男は悪魔通り魔殺人発生!お前はもう人間じゃない

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加藤啓吾が異動してやってきたのは愛知県中央警察署。
明日から勤務の予定だが前日挨拶のために署を訪れる。
刑事課長の東野恵一に挨拶。太宰満からは昇進試験に一発で
合格したことでいい気になっているだろうと問われる。
隣の席にデスクを構えるのは、キャリアの伊坂聡だった。
加藤がここに呼ばれた理由は、この人に逢えば分かるとして
梅木拳という男のことを告げられる。

そんな時、通り魔事件が発生する。
加藤も東野らに付いていき現場を訪れる。グレイのジャンパー
を来た男に次々刺されたという。その時被疑者を発見との報告
を受け現場へ足を運ぶと、ナイフを振りかざす被疑者の姿が
有った。取りあえず落ち着かせるためにナイフを下げるよう
訴えかける。加藤は隙を見て今にでも飛びかかろうとしていた
時、彼よりも一瞬早く前に躍り出た人物がいた。
彼が問題児の梅木拳だという。梅木は犯人を挑発し襲いかかっ
てきたところを一瞬にして取り押さえ、更には意識を失うまで
首を締め上げる。それを見て加藤はタックルして止める。
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警察官は単に逮捕するだけが仕事ではなく、加害者や被害者の
気持ちに立って原因を突きとめ、犯罪後のケアを行おうとして
いる加藤啓吾の前にその価値観を揺るがす程のとんでもない
刑事が現れる。
彼は犯罪者、特には殺人者には人間としての人格はなく、みん
なの為に死んだ方が良いというのである。
そんな二人が果たして互いを理解し合えるのか。

極論を言えば、死刑制度に於ける容認論と反対論者の対決みた
いな感じのドラマだね。

普通の人間ならば世の中に不満があろうとも、人を殺める事は
しない。その一線を越えたと同時にどんな理由であれ人権など
で守るべき相手ではないという、罪を憎んで人も憎むパターン
の梅木拳。

犯罪者に対する対応の違いや遺族に対する対応の違いが面白い
様あぶり出され、見ようによってはどちらが遺族に対して本当に
親身になっているのかというところに繋がっていく。

恐らく個人の権利というものが確立していない頃の警察官ならば
梅木拳自身はそんなに同僚達から煙たがれることも無かった
のだろう。
ドラマではそれが分かるように、動画サイトで警察の対応を
非難する者の存在があったり、取り調べに対する社会からの
視線が厳しいとして、細見監察官などの監視役が存在している。

更には犯罪者までも人権侵害を訴えて謝罪を求めて来るという
なんとも不思議な展開が待ち受けている。

被害者感情にまかせれば梅木のやることが自然だと思う。
自らもそんな感情を突出する様な出来事に遭遇しているであろう
事は想像に難くはないが、綺麗事を言わなくなった過去とは
一体どんなことが有ったのか。
世の中全てはバランスだと思うので、梅木拳の様な刑事が居たり
加藤啓吾の様な刑事が居ることで上手く社会が成り立って居るん
だろうね。

ドラマとして不吉なのは、梅木が唱えていた言葉だ。
"お前は憎むような人間と出会わなかっただけだ"という。
何かの前振りではないかと思わせるセリフに先行き不安なのだが
加藤が大事にしている青井茉莉亜が被害者となる事でその気持ち
を味わせようとしているのではないかと、ちょっと恐いものが
有るね。

加藤啓吾 …… 森山未來 (28歳・名古屋中央署に異動)
梅木拳 …… 武田鉄矢 (59歳・中央署でも浮いている一匹狼的存在)
東野恵一 …… 杉本哲太 (44歳・刑事課長。警視)
太宰満 …… 伊武雅刀 (55歳・課長代理。警部。)
筒井薫 …… 若村麻由美 (44歳・庶務係。警部補。)
伊坂聡 …… 細田よしひこ (24歳・警部補。啓吾の後輩)
青井茉莉亜 …… 加藤あい (29歳・啓吾の婚約者。)

黒川真治 …… ???

被害者の父 …… 斎藤洋介
被害者の母 …… 小島範子
細見監察官 …… 本田博太郎
県警一課長 …… 堀部圭亮
被害者 …… 松本嘉菜
犯人 …… 笠原秀幸

刑事
深山義夫、高原靖典、木田ゆきの、中根健司

多田木亮佑、山中崇敬、足立大樹、中村嘉宏、金澤孝明
寺門由香里、森浩晃、大河昌隆、小林博子

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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