Q.E.D.証明終了

原作者/加藤元浩
脚本/藤本有紀、相原かこね
演出/伊勢田雅也

http://www.nhk.or.jp/drama8/qed/


第8話 罪と罰〜連続窃盗事件の怪しい被害者?


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千田川邦彦は成績優秀で将来を約束された男。そう思っていた
が父親が体調を崩し会社からリストラされ授業料が払えずバイ
トの毎日。ローン会社からの督促状の山。
一軒家の大きな屋敷の前を通りかかる。ここは池沢勝男という
大地主の家。働かずに賃貸だけで毎月多額の金が入ってくる。
また遠藤家の前を通りかかる。母・峰子の息子・翔太はギャン
ブル好きで定職にもつかず、毎日パチンコ漬け。それでも食事
に困ることはない。そんな不公平な世の中に苛立ちを覚える。
そんな中、近所で連続窃盗事件が起こっていた。
今月に入って既に4件目。そんな事実を聞いて邦彦は今の俺よ
りも泥棒の方が寧ろ良い生活をしていると嘆く。邦彦はそこで
自分も窃盗に挑戦してみるかとインターネットで完全犯罪の事
を調べて始めることにする。まずは自分が被害者だと印象づけ
る為に、自宅が襲われたように装う。
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今回はこのドラマの中ではかなり異質に映る話だった。
ドラマは常に犯罪者の視点で描かれ、犯罪者の心理を描き出す。

主人公はちょっとしたエリート意識と被害者意識を持つ大学生。
犯罪も当然ながらそこらの人間よりも上手くこなせると思って
居るのかも知れない。

とても良くできているのがそんな役を演じきった千田川邦彦
演じる北条隆博だと思うが、この人、何処か燈馬想とは似たよう
な雰囲気を持ち、同じく天才肌と言った臭いを感じさせる。

もっと対等で対照的な戦いになるのかと思ったが、邦彦は意外
にも小心者で、常に警察の動きを気にして不安を覚えている点
は犯罪者には向かない所だ。

犯罪に対する方法論という面には納得させられる部分も多かった
のだが、今回の燈馬想の推理は誰にでも分かりうるもので有り、
わざわざ彼を犯罪現場へ連れて行くまでも無いかなという気が
した。特に可奈の父親・幸太郎は刑事らしく鋭い嗅覚を持って
いたし、この人だけで処理できそうな事件だった。

犯罪の立証として使用されるのは、現場に残されていた靴跡
だった。二転三転と供述を覆す邦彦に、実際に庭の中に
入ったことを立証した事。犯罪現場を見た人でないと知りうる
ハズもないことを口にした辺りは良くできた点。
ただこの被害者池沢勝男とは面識がないとの設定で、遺体が
うつぶせであり、見るチャンスは殺すとき以外に無いとした所
は不可解さを残す点。これだけで殺人を断定してしまうとした
らちょっと危険すぎるものがある。
また邦彦は犯罪を遠藤翔太に擦り付けたりしているが、
パチンコ屋にいたのならば防犯カメラ等で簡単に立証できる
ハズだし、邦彦が単なるニートという事実だけで犯罪を擦り
付けようとしているのならば、邦彦もあんまり頭が良くないか
なという気がしないでもない。

水原可奈………高橋愛 (高校2年生)
燈馬想………中村蒼 (天才少年)
水原幸太郎………石黒賢 (可奈の父。警部)
笹塚真人………富岡晃一郎 (幸太郎の部下の中堅刑事)

千田川邦彦………北条隆博 (苦学生。現金を盗む)
池沢勝男………牧口元美 (地主で被害者)
遠藤翔太………松澤傑 (ギャンブル好き)
遠藤峰子………きゃんひとみ (母親)
刑事………浜谷康幸

星野園美、広瀬剛進、藤谷みき、正木佐和、瀬名あずさ
瀬川英次、日向とめ吉、田尾きよみ、芹口康孝、
モア カムズ ザ サン、白洲慶子、畠澤健、筒井奏

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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