新・警視庁捜査一課9係

チーフプロデューサー…松本基弘
プロデューサー…金丸哲也、丸山真哉
脚本…深沢正樹(1)(2)、徳永富彦(3)、岡崎由紀子、瀧川晃代
波多野都

http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari/
http://www.toei.co.jp/tv/shin9gakari/index.html


第3話 殺意のロザリオ

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聖マリエル教会では午前中にミサが行われるが、その日の午後
教会の裏庭で焼死体が見つかった。
遺体の損傷具合から顔は誰だか判明できず、聞き込みの結果
一昨日の午後から助祭の豊川秀一が居なくなっている事を知り
彼ではないかと疑われる。唯一焼け残っていた十字架のロザ
リオ。
司祭の奥山隆康から話しを聞くと、豊川は三年前のある日
突然転がり込んできたという。仕事も家もない男だという事で
ここに手伝いとしておいていたが、彼は本気で司祭を目指して
いたという。その為、懺悔と儀式を行っているという。
検死の結果、肺胞からは煤が見つからずに居たことから、
亡くなってから燃やされたと判明。更に腹部と胸部に刺し傷が
見つかったことから殺人事件である事が分かる。
豊川は恨まれるような人物ではなく、他人から慕われていたと
いうが・・・
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恨まれるハズもない教会関係者が何者かによって殺害される。
しかも教会の床からは、密輸品が見つかる。
一体どんな関係があるのか。

幾つもの伏線が存在するも、上手い具合に絡ませた話だった。

このシーズンから始めて登場した監察医の早瀬川真澄の存在感。
実際にはそれ程長い時間登場するわけではないが、幾つもの
伏線や広く存在している容疑者を上手く狭めて、展開を収縮さ
せる役目を果たしている。
近代的捜査と人情的な捜査の絡みやバランスが秀逸で、事件
解決への流れは近代的捜査に丸投げして、クライマックスを
人情捜査によって上手く締めくくっている。

これまでのシーズンで余剰気味に存在していたキャラクターを
整理し、刑事ドラマに集中したところが上手く現れたのだろう
ね。

さてドラマでは助祭が殺害される。
困っている人たちから愛されている助祭を殺したのは誰なのか。
そして黙秘を続ける司祭の意図は何なのか。

ドラマとしては犯人である与田信明が、自らの存在を消しつつ
新たな戸籍を得ようとした為の犯行だった。

見物人の中から天草の存在を探り当てた青柳靖の活躍振っぷり
が凄かったね。

ドラマとして面白くなった要因は、助祭だった豊川秀一の過去
が意外にも不透明として存在していた事。
後々この人物の過去へとスポットが当たり、徐々に焦臭さが
あぶり出されてくるが、信者たちからの評判とのギャップが
この人物に対する興味深さを残した要因だ。
一体この人物は本当のところ、心を入れ替えていたのかどうか
気になる。

坂井みゆきの家で奥山司祭の指紋が見つかり、その事を黙秘
している理由を上手く見つけ出した辺りの加納の凄さも上手く
表現されている。

でも最後に坂井みゆき本人を空港に連れて行くのは流石に
無理があったな。奥山司祭に顔を確認して貰うだけで問題は
解決するしね。

エンディングに於いて、司祭自身も逃亡犯である事が分かり、
時効で罪は問えないけれど、自らの判断で償うべきとした
オチも渋くて良かった。

加納倫太郎 …… 渡瀬恒彦 (警部)
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (巡査)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (巡査部長)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (警部補)
青柳靖 …… 吹越満 (警部補)
矢沢英明 …… 田口浩正 (巡査部長)

早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (東京都監察医務院に勤務する監察医)
石川倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の彼女)
垣内妙子 …… 遠藤久美子 (クラブ歌手、青柳と同棲)
安西つかさ …… 浅見れいな (ウエディングプランナー)
矢沢早苗 …… 畑野ひろ子 (少女漫画家で、矢沢の妻)

奥山隆康 …… 金田明夫 (司祭)
与田信明 …… 東根作寿英 (助祭/逃亡犯)
坂井みゆき …… 麻乃佳世 (美容師/前科有り)
天草義男 …… 藤岡太郎 (密輸/麻薬販売の前科有り)

平野勲人、岡けんじ

評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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