白い春

脚本/尾崎将也
プロデューサー/安藤和久、吉條英希、東城祐司、伊藤達哉
演出/三宅喜重、小松隆志、植田尚

http://ktv.jp/haru/index.html


第9話 娘を襲った悲劇

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林檎パンが好評。今後店の看板になるとして喜ぶ社員たち。
そんな中春男に初めての給料が手渡される。春男はいつもの
調子で彼らの前では喜びを露わにしないが、一人公園に行き
喜びを甘受する。その姿を横でスケッチしていたさち。

むらかみベーカリーでは分割機を導入し効率化を図っていく中、
春男は初めての給料でさちにプレゼントを買おうと決意する。
画材店を外から眺めると、栞の元に電話を入れて、一緒に
プレゼントを選んで欲しいと頼む。デートの誘いかと思い
着飾って行った栞は肩透かしを喰らうが、仕方がないとして
一緒に選ぶことになる。
そんな中、夕食に呼ばれても返事をしないさちは、部屋の中
で倒れていた。すぐに病院に連れて行くも、もしかしたら
母親と同じ病で倒れたのかも知れないと気が気でなかった。
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ドラマとしては春男と康史の間を取り持つ役目を果たしている
さちが倒れてしまうことで、このバランスがどのように揺れ
動くのかを描いた話だった。

やはり男性同士、役割とか取り決めによって、自分の縄張りを
主張していく姿が印象的だ。康史はさちの容体を見るために病院
に付きっきりになる変わりに、大事にしている物の一つ、パン
屋の業務を春男に託す。

互いに律儀になってその役割を果たそうとする辺りが、無骨さ
や不器用な人間臭さを演出していてとてもよく描かれている
ところ。
そんな二人の微妙な距離感を打ち砕こうとやってくるのが、
女性である佳奈子の存在だ。

佳奈子の存在は、固まりつつあるそれぞれの男性の役割に対し
て、本来あるべき姿に戻そうとしている感じにも見えて
なかなか面白くドラマをかき乱そうとしていると思う。

段々と春男という人間性を佳奈子が理解し始めている事が、
その事実を後押ししようとしているのではないかと思うところ。

また今回もさちが本音である心情を吐露するのは、康史では
無く春男であるという点も良くできたところだ。
さちは本当は手術が恐いという。康史の知らないところで
色んなエピソードが動いているところ。さちの絵から色が消え
たり、死を意識して自分の絵に羽根を付けている所など、
上手く春男に心情をぶつけている。

今回は栞の事を助けたときに関わったヤクザの存在が全く
消えていたが、忘れた頃にやってくるのではないかという
恐怖心と、手術代に負担する金額が200万円という大きな
金額である点が不気味に存在している点がなんとも言えないね。

佐倉春男 … 阿部 寛 (元ヤクザ。800万のため殺人)
村上さち … 大橋のぞみ (真理子の娘。父は不明)
西田 栞 … 吉高由里子 (フリーター)
小島勇樹 … 遠藤雄弥 (フリーター)
高村真理子 … 紺野まひる (病気で亡くなる。春男の彼女)
安岡竜也 … デビット伊東 (春男のヤクザ時代の仲間)
高村佳奈子 … 白石美帆 (真理子の妹)
村上康史 … 遠藤憲一 (むらかみベーカリーの主人)

山中恵一 … 村上剛基 (むらかみベーカリーの従業員)
田村絵美 … 長井梨紗 (むらかみベーカリーの従業員)
松下美代 … 福井仁美 (むらかみベーカリーの従業員)
三枝圭子 … 中島ひろ子 (竜也の彼女?ムーンライトで働く)

真鍋 … 小須田康人 (医者)

金原泰成、澤山薫、渡邉由希子、大槻裕子

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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