白い春

脚本/尾崎将也
プロデューサー/安藤和久、吉條英希、東城祐司、伊藤達哉
演出/三宅喜重、小松隆志、植田尚

http://ktv.jp/haru/index.html


第11話 本当のお父さん

--------------------------------------------------------
今日で店を辞めると言い出した春男は突然出て行く。
さちに逢った栞は、彼女に本当のことを告げてしまう。春男は
さちの本当のお父さんだという。しかしそれ以上は言及せず、
さちも言葉の意味をどう捉えるべきか悩む。
勇樹から感情だけでどうこうできる問題ではないこと事を注意
される。
栞は帰宅した春男に何故店を辞めたのか問う。あのまま居ても
親子の邪魔をするだけだと告げ、別の仕事を探すと語る。
そして改めて心配してくれたお礼を告げる春男。

春男は仕事を探していると"下総屋食堂"の店長が腰を痛めて
休業しようとしているのを目撃。一人では店を続けるのが困難
だと知り住み込みで手伝うことになる。
--------------------------------------------------------

いよいよ最後、春男とさちの関係はどうなるのか。

色々と忘れかけていた要素が最終回になって突然飛び出して
来た感じ。しかしよく考えてみると唐突感はなく、有る意味
理解できる心情として存在しているから上手いやりかただ。

春男が真理子の為に人殺しをして稼いだ金の行方。
そして未だに燻り続けていた山倉殺害に対する恨み。

二人が一人の娘の成長を見守っていくのでも良かったと思う
けれど、脚本家である尾崎将也さんは、一人を脱落させてしま
った。

二人の強面の男性たちの対立の関係が最後には、きっちりと
信頼関係として結ばれている事が描かれ、寧ろ必要な存在として
描かれていた所が良かったと思う。

最後まで春男は自分の汚れた手ではさちに触れることを許さな
かった彼の心情が涙腺を緩ませ、亡くなろうとしている時に
さちから歩み寄り、意識の無い春男が僅かだが手を握るシーン
などとても良くできた場面だったと思う。

ドラマとしての興味はさちがコンクールにどんな絵を描いて
提出したのかなという事か。
春男を優遇した描き方をすると康史に対して申し訳ない気持ち
がしてくるし、さちはどんな描き方をするのか興味深いもの
が有った。
結局天国の真理子が二人の父親と娘を見守っている感じの絵
だったこと。最後にちょっと寂しいけど真理子の元に行けた
事で収まり所としては決して悪くはない。

さちは春男のことをどう見ているのかにも興味の視線は集中
される。栞に本当の父親だと言われても、さちの年齢を考慮
すると何処までその意味を実感できるのか不安なものがあった。
ただそれを踏まえて似ている部分が多いと告げた辺りは、
もしかすると栞に言われる前からその辺の事情は感覚的に
察していたのかも知れないね。

栞の春男を眺める視線、そして春男とさちの関係を眺める視線
にも妙な説得力があった。好奇心旺盛な女性という事で
ちょっと場違いな関わり方をするのではないかと思ったが、
やっぱり吉高由里子の使い方は、このドラマでも秀逸だった。

康史と佳奈子のフォローの話もあったし良かったね。

それにしてもあの視聴者プレゼントはやっぱりインパクトあるな。

佐倉春男 … 阿部 寛 (元ヤクザ。800万のため殺人)
村上さち … 大橋のぞみ (真理子の娘。父は不明)
西田 栞 … 吉高由里子 (フリーター)
小島勇樹 … 遠藤雄弥 (フリーター)
高村真理子 … 紺野まひる (病気で亡くなる。春男の彼女)
安岡竜也 … デビット伊東 (春男のヤクザ時代の仲間)
高村佳奈子 … 白石美帆 (真理子の妹)
村上康史 … 遠藤憲一 (むらかみベーカリーの主人)

山中恵一 … 村上剛基 (むらかみベーカリーの従業員)
田村絵美 … 長井梨紗 (むらかみベーカリーの従業員)
松下美代 … 福井仁美 (むらかみベーカリーの従業員)
三枝圭子 … 中島ひろ子 (竜也の彼女?ムーンライトで働く)

波岡一喜、依田英助、柴田次郎、小山田将、安室満樹子
高松克弥、若林幸樹、近藤ダイスケ、内藤羊吉

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system