小公女セイラ

脚本:岡田惠和
プロデューサー:磯山晶
演出:金子文紀、吉田秋生

http://www.tbs.co.jp/seira2009/


第7話 誰も盗めない宝物

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路美の面倒を見たセイラ。路美の父・鈴村隆は娘に頼まれると
学院に払う高額の寄付金と条件に、セイラを路美が入学する
時まで学院に居させることだという。
しかしそれを聞く前にセイラは学院から去ってしまう。
院長・千恵子はカイトにセイラを探して連れ戻せと告げる。

笑美子は千恵子の顔色を伺いながら、姉に進言する。セイラは
フランス政府の助成金の件や今回の寄付金の件で十分学院には
貢献している事。もう少し優しくしてあげても良いのではない
かという。すると私には私の考えがあると千恵子は語る。

セイラは亜蘭からもらった本だけを持って学院を去る。
パンに臭いに誘われてきた一軒の店。お金がなかったが、偶然
にも店の前に500円玉が落ちているのを見つける。店の主人に
その事を告げると、まるでおとぎ話の主人公みたいな子だと
言われてパンを分けてもらえる。そのパンを持って歩いている
と腹を空かせた子供の兄妹の姿を見掛け、セイラは分け与える。

自転車とぶつかりそうになりセイラは足を挫いてしまう。
そんな中雨が降ってきたために公園で雨宿りをしていると、
そこにカイトが迎えに来る。事情を話して学院に戻るよう説得。
何よりもセイラが居ないとつまらないとしてセイラを戻らせる。

院長から鈴村から言われた条件の話を告げる。貴方が望む以外
はここにいるのが条件だと。あんな小さい子にそこまでさせる
とはと院長は呆れた顔をする。そして何の挨拶もなしに出て行く
のは、礼儀を重んじる学院では有り得ないとして、注意する様
告げられる。カイトからはセイラと院長は似ていると言われる。
絶対に自分を曲げない信念があると。

そんな中、カイトの幼馴染みのゆかりが学院にやってくる。
彼女は冬休みの間、この近くの屋敷でアルバイトしているという。
カイトが戻るまではここに居るとして居座る覚悟だった。
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今回はセイラに新しいライバルが登場する話だった。
とはいえ一度切りの登場なのか。

冒頭でセイラが学院を抜け去り戻ってくるまでの顛末は、
時代性を感じる設定を近代日本にアレンジして当てはめたモノ
だが、実に滑稽な話になった。
お腹の空いたセイラは500円玉を拾った時、どういう態度を見せる
のかが一連のエピソードの肝ではあるのだが、結局パンを買う形
になる。大抵はセイラの心に打たれて無料で与えるのだと思う
が、おとぎ話の主人公のようだと訳の分からない論理を突きつけ
つつ、きっちりお金を取っている。
またその後に出てくる腹を空かせた子供の登場には笑えた。
せめてホームレスの人に分け与えるくらいの設定にすれば
良いものを、何のかわいげもなく、遠慮もない子供たちにパンを
分け与えた上、逆にパン一個残された事でセイラがお礼を言って
しまうという。

なんか世の中間違っていないかと言わざるを得ない設定の数々。

学院内では新たなセイラのライバルの登場がセイラだけでなく
学院全体を騒動に巻き込んでいく。

ゆかりが学院に来るという強引な設定に加えて、金持ちと貧乏人
の格差社会を恨んで、その象徴だと思っている院長のブローチ
を盗むというモノ。

確かに言葉だけ拾い上げてみると、成績優秀なものに与えられた
プローチの誇らしさは分かるし、その誇らしさはブローチその
ものに有るのではなく心の中にあるとするのは良くできている。
ただその心の中に誇らしさを汚すだけの行動を取っていないのか
と今一度問い直す必要のあるキャラクターだけに、多少微妙な
感じがしてくる。そもそも成績優秀な人物に与えられるので
有って人間性には何ら加味されたものが無いのがこのブローチ
の持つ価値であるという事だ。

唯一ドラマで興味深くなったのは、利害が一致した事で学院の
生徒が形式的にセイラを敵対するゆかりを排除しようと動いた点
か。

ゆかりの存在はカイトを巡ってセイラと対峙する事にあったし
その中でセイラのカイトに対する気持ちが何処にあるのかを
引き出すために使われた感じ。
都合良く出たり入ったりするキャラクターなので、なんの感情も
移入できるハズもないもので、ドラマでは悪役をもう少し魅力
有る風に描かないと厳しいかなという気がする。

黒田セイラ …… 志田未来 (16歳・資産家の父・龍之介と母・薫子)
三浦カイト …… 林遣都 (18歳・ミレニウス女学院の住み込み使用人)
亜蘭由起夫 …… 田辺誠一 (フランス語教師)
東海林まさみ …… 岡本杏理 (16歳・超引っ込み思案のおっとり屋)
水島かをり …… 忽那汐里 (16歳・人と群れることを嫌い、孤独を愛する性格)
武田真里亜 …… 小島藤子 (16歳・成績もルックスも学院 No.1 と自負)
本庄杏子 …… 朝丘マミ
横尾満美子 …… 麻生夏子
清水尚美 …… 菊里ひかり
神宮りおん …… 指出瑞貴
川原比奈子 …… 篠原愛実
朝比奈真琴 …… 高月彩良
黒田龍之介 …… 谷中敦 (セイラの父親、インドで事故死)
小沼誠一郎 …… 大和田伸也 (ミレニウス女学院の料理担当)
黒田薫子 …… 黒川智花 (セイラの母親。病死)
小沼日出子 …… 広岡由里子 (洗濯・掃除などの雑用)
三村笑美子 …… 斉藤由貴 (妹、古文担当の教師)
三村千恵子 …… 樋口可南子 (姉、学院長)

熊谷綾 …… 池田愛
小柳あゆみ …… 石橋菜津美
桜井ナナ …… 岸井ゆきの
堀場玲 …… 中村有沙
中谷美鈴 …… 西崎莉麻
森川裕子 …… 増元裕子
新田春美 …… 増山加弥乃
横田ケイ …… MIO
横田メイ …… YAE

少女時代のセイラ …… 中山凜香
少女時代の三村千恵子 …… 溝口まりも
少年時代の亜蘭 …… 相澤瑠星

鈴村隆 …… 安田顕
鈴村路美 …… 春日香音
田所ゆかり …… 日向千歩 (幼馴染み)
栗栖慶人 …… 要潤

ふせえり、鯨井未洋斗、中島まりな、浅丘ルリ子

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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