小公女セイラ

脚本:岡田惠和
プロデューサー:磯山晶
演出:金子文紀、吉田秋生

http://www.tbs.co.jp/seira2009/


第10話 奇跡の大逆転!美しき復讐が始まる

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セイラは学院を飛び出し教会へとたどり着くと、椅子で眠って
しまい、4日間全く目を覚まさない状況が続く。
栗栖慶人は、セイラが黒田龍之介の娘だと言うことを知り、
彼女の行方を捜させる。

学院では経営危機の中、千恵子は笑美子に誰かに学院を買い取
ってもらうしかないという。残してくれる買い手を探すこと。
もしもそんな人物が居ても我々は学院に留まることは出来無い
事を告げる。

昔千恵子は教師になりたいという事をセイラの母・薫子に話した
時に歴代の院長は代表生徒がなる習わしになっていたので、
貴方にはなる資格が有ることを告げられた事を思い出す。

一方セイラは夢の中で母親と面会していた。そろそろ起きなさい
と声を掛けられる彼女。精一杯正しくあろうとした事を告げ、
しかしそれを貫くほどに周りを不快にさせた事を告げる。
そして正しいことは決して一つではないことを学んだこと。
薫子は人それぞれ正しい事があると分かったことは素晴らしいと
言うが、人に併せるだけではダメだという。自分を信じなくて
どうするのかと言い、自分の信じるよう生きろと声を掛ける。

セイラが目が覚めるとそこには栗栖慶人が居た。
過去にセイラと対面していたことが有ることを告げ、助けに来た
事を語る。
セイラは栗栖慶人と一緒に彼女の屋敷に戻る。
一方、セイラが栗栖慶人と一緒に居ることを知って千恵子は
不審に思う。私に何処まで迷惑を掛けるのかとして、またしても
学院の評判を落とされたら困るとして彼女を連れ戻しに行くこと
になる。
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細かいツッコミの多い最終回だが、起死回生の大逆転ドラマと
いう意味ではそれだけに見応えは有った。

大抵貧乏な境遇にあるものが一時の幸せの展開を味わうという
シチュエーションも有るけれど、このドラマはその全くの逆を
行き、金持ちのものが一時の間全てを失うことで自分には無か
った世界観・価値観を味わい、人間的に成長するという物語
だ。
ただ金持ち故の放漫さ傲慢さを持ち合わせている訳ではなく、
元々権力や身分の違いを分け隔て無く接していることも有って
そんな彼女を突き落とす事への不条理さを感じる設定である事。

千恵子が薫子に対して貫き通す嫉妬心とそれを娘のセイラに
転嫁する辺りの説得力がイマイチ足りなかった。
もう少しドラマの中では薫子に対してどんなに努力しても
勝てない事を描くべき展開であったのかも知れない。
最後の最後まで薫子の寛容さと千恵子の引っ込み思案な一面が
見られただけで、それを憎しみへと昇華されるべきエピソード
が存在しない点が不条理な点として描かれている。

最後にセイラが千恵子と薫子の因縁を聞くときにその全容が
明らかにされるかと思って期待されたが、バッサリとカット
されていた事で殆ど肩透かしの状態だった。

また栗栖慶人が"魔法使い"で有った点も欲を言えば自分から
語られるべきものではなく、何かのきっかけでそれが分かって
行く展開を用意して欲しかったが、日本のドラマの短さを考える
とそれは無理なものかも知れない。

そしてなんといってもこのドラマに関わってくる人物が金持ち
か貧乏人という両極端な立場である所は、この原作の持つ特徴
かも知れないが、ドラマ化に際してはやや不自然に思えるとこ
ろが多かった。特に亜蘭先生が、ノーブル学院の理事長だった
というオチは、ちょっと厳しいものがあったな。

真里亜に対するペナルティが皆無な点もちょっと残念だが、
最後はかをりを引き合いに出して、同じ舞台に引き出した所は
日本版アレンジの中では興味深かった所かも知れない。

黒田セイラ …… 志田未来 (16歳・資産家の父・龍之介と母・薫子)
三浦カイト …… 林遣都 (18歳・ミレニウス女学院の住み込み使用人)
亜蘭由起夫 …… 田辺誠一 (フランス語教師)
東海林まさみ …… 岡本杏理 (16歳・超引っ込み思案のおっとり屋)
水島かをり …… 忽那汐里 (16歳・人と群れることを嫌い、孤独を愛する性格)
武田真里亜 …… 小島藤子 (16歳・成績もルックスも学院 No.1 と自負)
本庄杏子 …… 朝丘マミ
横尾満美子 …… 麻生夏子
清水尚美 …… 菊里ひかり
神宮りおん …… 指出瑞貴
川原比奈子 …… 篠原愛実
朝比奈真琴 …… 高月彩良
黒田龍之介 …… 谷中敦 (セイラの父親、インドで事故死)
小沼誠一郎 …… 大和田伸也 (ミレニウス女学院の料理担当)
黒田薫子 …… 黒川智花 (セイラの母親。病死)
小沼日出子 …… 広岡由里子 (洗濯・掃除などの雑用)
三村笑美子 …… 斉藤由貴 (妹、古文担当の教師)
三村千恵子 …… 樋口可南子 (姉、学院長)

熊谷綾 …… 池田愛
小柳あゆみ …… 石橋菜津美
桜井ナナ …… 岸井ゆきの
堀場玲 …… 中村有沙
中谷美鈴 …… 西崎莉麻
森川裕子 …… 増元裕子
新田春美 …… 増山加弥乃
横田ケイ …… MIO
横田メイ …… YAE

少女時代のセイラ …… 中山凜香
少女時代の三村千恵子 …… 溝口まりも
少年時代の亜蘭 …… 相澤瑠星

栗栖慶人 …… 要潤 (富豪)
柏原 …… 小泉博 (執事)

ふせえり、武野功雄、下村彰宏、小貫加恵、青木和代、島ひろ子

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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