銭ゲバ

脚本/岡田惠和
プロデューサー/河野英裕、難波利昭
演出/大谷太郎、狩山俊輔

http://www.ntv.co.jp/zenigeba/


第3話 罠!美しい心が欲しいズラ


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風太郎はなんとか三國家に入り込むことに成功するが、茜以外
からは信用を得られていなかった。朝食も別の食卓で取ること
になる。風太郎は三國家に入る際ある条件を出す。このまま
三國造船の派遣社員として雇ってくれと言うモノだった。

そんな折り、三國造船の前では派遣社員達が不法な派遣社員
切りに対して呼びかけを行っていた。風太郎は我関せずと
ただ通り過ぎようとするが、その時呼びかけを行う派遣社員の
田辺から声を掛けられる。
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風太郎が三國家に信用させるために仕掛けた展開だった。

貧乏からにじみ出てくる金への野心をどのようにして払拭し
茜以外の緑や譲次から信用を得ていくのか。

ドラマとしてよく描けているところは、風太郎自身もこんな
自分が信用されない事は重々承知している事であり、とても
現実的な視点を持ち合わせている事である。
それを知りつつも金という物に恨みを抱きつつ戦いを挑んで
いる現実が面白く描けている。

不当解雇を訴える労働者達を見て、風太郎の行動はといえば
無駄なことをして訴えているとしか思えないような冷めた
態度だ。貧富の差や労働格差など、さも当たり前の様な
感覚で他人行儀に眺める彼の視線には、これまで自らが体現
してきた事に比べれば何でもない様な馬鹿な態度にしか映らな
いのだろう。格差なんて昔から有ったと告げる彼の脳裏には、
訴えただけでは決して現実が好転する事はないという諦めに
似た現実が深く刻み込まれているのだと思う。

時代性なんかも上手く勘案され、派遣切りに対する社員たちの
行動に上手く便乗した作戦はなかなかよく描かれていた。
それと共に金さえ有れば人を動かすなど訳はないと言いたげ
な態度がまた凄くリアルなのだ。

どのように白川を殺害したのかとか一切省略した描写に留まっ
ている辺りも好感が持てる。

風太郎のキャラクターのよく描けているところは、意外と
冷徹で戦略的な思考を持っていると思わせ、意外と人間的で、
抜け目のない作戦の裏には、マヌケなオチが付くところだと
思う。

作戦を見せた後、感情を隠すことなく頬を緩めてしまうところ
を、お手伝いの桑田春子に見られてしまったり、派遣の田辺を
使った後に、その作戦を白川に見られていたりする。
更に穴を掘って死体を埋めた後の汚れた服を春子に見られてい
るのだから、なんともマヌケである。
そうやって不器用に生きてきたんだろうなと思う反面、野々村
家との出会いをどのように処理していくのか見物だ。
有る意味、金のためにこの家族さえも飲み込んでいく展開に
なったりするとドラマとしてはこのキャラクターの凄さを見たな
という気になるんだろうね。

蒲郡風太郎(23):松山ケンイチ (目尻に傷)
三國緑(24):ミムラ (長女)
萩野聡(36):宮川大輔 (刑事)
三國茜(21):木南晴夏 (次女、頬にアザ)
野々村香(16):石橋杏奈 (娘)
菅田純(25):鈴木裕樹 (刑事)
野々村晴香(34):たくませいこ (保彦の妹)
桑田春子(19):志保 (お手伝い)
蒲郡風太郎・幼少(11):齋藤隆成
三國譲次(56):山本圭 (三國製鉄)
蒲郡桃子(35):奥貫薫 (母)
野々村保彦(48):光石研 (料理店)
野々村祥子(36):りょう (妻)
蒲郡健蔵(45):椎名桔平 (父)

寺田(49):田口トモロヲ (派遣の同僚、撲殺)
萩野宏(22):近藤公園 (新聞店のお兄さん)
三國緑・幼少 : 森迫永依

白川正輝 : 田中圭
田辺 : 正名僕蔵

窪寺昭、増田具佑、布施曜子、染谷夏子

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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