銭ゲバ

脚本/岡田惠和
プロデューサー/河野英裕、難波利昭
演出/大谷太郎、狩山俊輔

http://www.ntv.co.jp/zenigeba/


第9話 幸せはどこにあるズラ?


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自殺することを決意した風太郎は、ダイナマイトを身体中に
巻き付け、幼き頃避難所にしていた小屋へと向かう。
たかが人間が一人死ぬだけの事。ボクの考えが間違っていない
事が分かったのでやり残したことは無いという風太郎は、
決して途中で止めることはするなと緑に告げて一人小屋の中に
入っていく。導火線に着火し、ドイナマイトに引火するまでの
間、風太郎は柱に刻まれた"幸せになる"という文字を見ながら
最期の時を妄想で膨らませる。
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妄想に見た世界は、金持ちも貧乏もなく、劣等感や優越感の
ない理想の生活。

父親がきちんと会社勤めしていること。母親がきちんと手術し
成功していること。お金の大切さ、使い方をきちんと学ぶ。

面白いのはこれまで描いてきた世界の中でも特に象徴的な
エピソードやセリフを幸せ街道に乗る妄想上の風太郎のエピソ
ードに使用している事だ。

全てが対照的に描かれる。
財布を拾ったエピソード、茜や派遣の社員たちと出会うエピソ
ード。普通に会社に就職し、茜の姉・緑と逢ったり、結婚の
為に父親にあったりする。出産したり家庭を持ったり、時には
義姉に愚痴を漏らしたりして、極普通の生活こそ幸せだと
言いたげな妄想。

幼少期の父親が欺されたりしなければ、風太郎もこんな人生を
送っていたのかも知れないと思うととても切ない展開だ。

亡くなる前には走馬燈のように想いを巡らせると言うけれど、
まさにそんな展開を用意した。

彼の起こした悪の行いなど、この世の中では極一部のもので
あり、冒頭で彼が告げたたかが人間の一人が亡くなるだけと
表現していることからも、風太郎の存在が決して特別なもの
では無いとしている。それだけこの世の中の不条理な仕組み
に対して訴えたいモノが有るんだろうね。

なんだかんだ言っても最後はあの定食屋を助けたことや、その
手紙を貼り出しておく所など絆が生まれているし、萩野の奥さん
が助かり、家族の幸せが描かれた所などは、ちょっぴり幸せに
感じられる部分か。

蒲郡風太郎(23):松山ケンイチ (目尻に傷)
三國緑(24):ミムラ (長女)
萩野聡(36):宮川大輔 (刑事)
三國茜(21):木南晴夏 (次女、頬にアザ)
野々村香(16):石橋杏奈 (娘)
菅田純(25):鈴木裕樹 (刑事)
野々村晴香(34):たくませいこ (保彦の妹)
桑田春子(19):志保 (お手伝い)
蒲郡風太郎・幼少(11):齋藤隆成
三國譲次(56):山本圭 (三國製鉄)
蒲郡桃子(35):奥貫薫 (母)
野々村保彦(48):光石研 (料理店)
野々村祥子(36):りょう (妻)
蒲郡健蔵(45):椎名桔平 (父)

寺田(49):田口トモロヲ (派遣の同僚、撲殺)
萩野宏(22):近藤公園 (新聞店のお兄さん)
三國緑・幼少 : 森迫永依
白川正輝 : 田中圭
枝野良夫 : 柄本時生
萩野加奈江 : 宮本裕子
萩野正義 : 深澤嵐
田辺 : 正名僕蔵

廣川三憲、岩戸秀年、芹澤興人、小山聖人、宮坂健太、吉田翔
佐々木陽向、原田賢人、ルウク、田野辺るきあ

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