相棒9
(2010年10月期・テレビ朝日水曜21時枠)

脚本:戸田山雅司
監督:和泉聖治

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/


第2話 顔のない男〜贖罪
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作家・水元湘子の自殺を追っているウチに、彼女のアシスタン
トをしていた岡崎敦也の帰国を知って右京たちは彼に会いに
いく。しかし屋上から何者かに突き落とされ、その姿を右京は
見ていた。なんとか追いつめようとするが、屋上に着く頃には
男の姿はなかった。

すぐに鑑識が入り、捜査一課も現場にやってくる。
岡崎の部屋を調べると、宅配便の荷物が届いており、配達時間
を見ると彼が受け取れるように帰国するのを見計らって送って
いたことが分かる。おそらく犯人は、岡崎が受け取るのを待って
奪い返すために殺害したのだろうと告げる。
部屋には笠井宏樹の上司である山根部長たちの写真が落ちていた。
ここで気絶させて屋上に連れて行き、自殺したように装った
のだろうという。そしてそれを出来るのは戦闘訓練を受けた
ものだという。

内村・中園に呼び出される右京は、余計な事はするなと注意を
受けるが、右京はそれでも川芝直哉が無罪である事を証明した
と告げる。

上遠野は辻本邦明と会うと、先生(伏見享一良)もお喜びだと
言われる。

右京たちは芝浦署に頼んで、笠井の溺死事故の調書を取り寄せ
る。10月6日に港区の第一埠頭で亡くなっている事。おそらく
岡崎と同じ手口だろうという。右京はこの世に完璧な犯罪など
無いとし、事件を解決する事を誓う。

右京は米沢を連れて、岡崎が屋上から落下した稲城マンション
へと足を運ぶ。屋上まで3分とかからなかったのに、犯人は既に
居なかったこと。出口は一カ所しかなく逃げる場所など無かっ
た。
右京は落下したのとは逆方向の手すりを調べると、塗装が
剥げている事に気がつく。ワイヤーをかけて逃げたのか?
米沢はそこで指紋を検出することに成功する。すぐに照合する
と、指紋の主は上遠野隆彦である事が分かる。警視庁に平成10
年に入庁し、平成15年には警備部第六機動隊(SAT)に配属。
それ以降は記録が削除され、平成17年に依願退職している事が
分かる。
大河内に話を聞きに行くと、確かに彼は観察対象者である事を
告げ、5年前の夏に不祥事を起こしていた事を知る。SATの訓練
中に若い兵士が撃たれる事が起こり、話を聞くと極限状態の中
一人の兵士がパニックとなり銃を乱射したために、身の危険を
感じて射殺したのが上遠野隆彦だったという。15名の隊員から
話を聞いたところ全てが正当な判断だったと告げるが、一人
篠原孝介だけが上遠野の銃の腕を指摘して、肩に銃弾を当てて
沈静化出来た筈で、額を狙ったのは殺意がある為だったと
訴えたという。亡くなった木村と篠原は親友だったとの事。
結局事故は、訓練中の暴発事故として処理されたという。
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3つの自殺に見せかけた事件の中で、3人目の現場にいた犯人の
事を右京は目撃した事で、疑惑が確信へと変わっていく。
完璧な犯罪は有るはずはないとして、犯人の落ち度を探っていく
と、ついに尻尾を掴むような証拠を見つける。それは同じ警察官
による犯行だった。

物証から真相にたどり着くのは相当無理が有るような気がして
ならない内容だった。

初回スペシャルなだけに複雑で面白いドラマを作ろうとしている
努力は買うのだが、右京だけにしか分からないような所が
多く見られる。それは視聴者を全く置き去りにしているような
ものでも有る。

上遠野隆彦はマインドコントロールさせられたような格好だっ
たけど、女性の作家が大義の為の犠牲となるべき構図というの
は見えずらく、常識的にはこの時点で伏見の私利私欲のための
殺人で有ることに気がつかなかったのだろうか。

伏見が最後に私とて一粒の麦だとした事で、シナリオとしては
より深い階層の政治家の汚職の話が作れそうな感じはするが、
この話を広げるのもあまり得策ではないかな。

5年前の因縁の決着を最後のシーンで演出した所は興味深いもの
があり、自暴自棄になる上遠野隆彦に対して、これまでの上遠野
の苦しみの5年間を前面に出して、篠原に射殺させないよう
右京が説得する所はなかなか説得力のあるものだった。

それにしても右京が米沢の首を絞める辺りは、なんだか微笑ま
しいものが有ったな。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

上遠野隆彦 …… 徳重聡 (SAT)
篠原孝介 …… 阿部進之介 (SAT)

吉野湘子 …… 安藤麻吹 (女流作家)
川芝直哉 …… 恩田括 (湘子のファン)
笠井享子 …… 梅宮万紗子 (宏樹の妻)
伏見享一良 …… 津嘉山正種 (政界から引退、享子の父)
山根幸博 …… 坂西良太 (豊日商事・運輸部長)
笠井宏樹 …… 若林久弥 (豊日商事、殺される)
久慈則広 …… 加納健次 (日本国際航空調査部)
笠井大翔 …… 馬渕誉 (息子)
福間知義 …… 大川ひろし (航空幕僚副長)

木村彰吾、中山峻、若林久弥
荒井隆人、青木鉄仁、浜幸一郎、吉川勝雄


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