相棒9
(2010年10月期・テレビ朝日水曜21時枠)

脚本:戸田山雅司(1)(2)、太田愛(3)
監督:和泉聖治

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/


第3話 最後のアトリエ
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銀座山形屋で、榊隆平はスーツを新調する。店員は彼の服が
絵の具で汚れているのを見て、画家の方なのか?と尋ねる。

一方
石原記念美術館に足を運ぶたまきと右京。
現在ここには
有吉比登治の生涯唯一描かれた作品が展示されて
いるという。日芸院展に於いて10代で受賞するも22歳の時に
亡くなったという。しかしこの度、彼の未発表作品が見つかり
回顧展が開かれると右京に説明するたまき。その回顧展に際し
て、本も出版されるという。

その頃、イベントを手がける会社
"三木プランニング"の社長・
三木昌弘(42歳)が何者かによって灰皿で殴られ死亡する。
すぐに鑑識の米沢や捜査一課の刑事が現場検証に入り、遺体
を調べると死後12時間前後経っているという。凶器の指紋は
拭き取られていた。
アシスタントをしている
平野雅子に話を聞くと、社員はみんな
7時頃帰宅したが、社長は一人デスクに残って仕事をしていた
という。伊丹はオフィスの窓が開いていることを気にするが、
社長は喫煙家なので、よく窓を開けていたとの事。

米沢は右京の元を尋ね、三木殺害事件についての疑問点を相談
する。殺されたオフィスを調べると指紋が二カ所拭き取られて
いたという。一つは凶器の灰皿で、もう一つは電話機だったと
いう。しかし通話記録を調べると何処にも掛けた様子はないと
の事だった。
現場にはエンターメディア出版の新刊案内の冊子が落ちていた。
コーヒーがかかって汚れていたもの。この出版社では新刊と
して5冊が発売されており、この冊子は有吉比登治の事が書かれた
本の中に挟まれていた物だという。

右京と神戸はたまきの店で話し合う。
有吉は病が発覚した後、軽井沢で療養していたという。
そこでアメリカ人の女性と恋に落ちるが、病気のせいでその恋
は実らなかったという。失望のあまり遺作となった絵
"晩鐘"
引き裂いて亡くなったという事が、本にも書かれているとの事。
その小説は榊隆平との手紙のやりとりが元で描かれており、
その絵は今度の回顧展でも展示されるとして、世間からの注目
を集めていた。

平野から話を聞くと、出版された本がダンボール箱で送られて
来たが、三木はその本を読んでいないという。事件の日には
来客は居なかったとの事。この回顧展の仕事は三木が一人で
請け負っていたので他の社員は仕事の引き継ぎに困っているとの
事だった。

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アート関係の企画を手がける会社の社長が殺害される。
彼らの会社が手がけていたのは、若くして亡くなった夭折の
天才画家・有吉比登治の回顧展。それに際して発売された
有吉比登治の生涯を描いた小説本。その新刊から落ちたとされる
書籍の新刊案内が現場に落ちていた。果たして殺人に関係する
ものが有るのか。

画家・有吉比登治の生前描いた絵は一枚しか無かったところか
ら、突然秘蔵と称して25点の絵が出てきたという事で、随分
胡散臭さが漂うものが有った。有吉が描いていたという絵は
実は榊隆平が描いているのかとさえ思う所があった。

手紙に綴られた本人同士が分かる言葉の意味。
有吉比登治という人物は生前どんな性格をしていたのかなど、
事件解決の段取りよりも、そういった世界観や人物像に迫る
所を楽しむ様な内容となっていた。

回顧展の宣伝の為に芸術を意図的に傷付けようとしている男たち。
そういうインパクトを演出しないと人が集まらないというのも
寂しい現実だが、芸術はそんなパフォーマンスにより価値が
上下するのではなく、価値は人々の心に訴えるもので有って欲し
いですね。

日本では異常にゴッホなどの絵が人気が有るとされていて海外
では疑問にもたれる事が有るけど、日本人はゴッホの生き方、
人生観に共感している人が多いのだと言われる。このドラマでも
殺された社長は、天才のストーリーを見に来るのだと言って
いたし、同様の傾向が有るのかもしれないね。

やや推論同士を戦わせる内容で、物証は少なく、科学的捜査
からのアプローチはかなり控えめ。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)


榊隆平 …… 米倉斉加年 (画家、有吉と友人)
三木昌弘 …… 貴山侑哉 (三木プランニング)
有吉比登治 …… 水谷百輔 (夭折の天才画家)
平野雅子 …… 建みさと (三木のアシスタント)
白藤譲 …… 矢柄次郎 (有吉比登治の回顧展を開催)
江頭 …… ト字たかお (大蔵画塾)

柄沢次郎、島嵜寿、藏内秀樹、関川慎二
荒谷清水、岡田啓壱、新虎幸明、ミシェル


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