相棒9 (2010年10月期・テレビ朝日水曜21時枠) 脚本:戸田山雅司(1)(2)、太田愛(3)(5)、櫻井武晴(4) 監督:和泉聖治 http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/

第5話 運命の女性
--------------------------------------------------------
警視庁の経理課の陣川公平は、友人である今市宏の披露宴に
出席するために、南急グランドホテルに来ていた。披露宴も
終わりロビーのホールで友人達と話し合っていたところ、指名
手配犯の黒田猛(27歳)と似た人物を見かけて声を掛ける。
しかし実際には鯨岡学という人物で、陣川の人違いだった。

陣川は帰りに"花の里"に立ち寄り、右京と神戸に友人の披露宴
での事を語り始める。今日は"花の里"の開店記念日でも有り、
更には式で縁起の良い物をもらったとしてブーケを見せる。
普通は女性が受け取るものではないのか?というつっこみに対し
て男性が受け取るとどうなるのか?と尋ねると、神戸は運命の人
との出会いがあるかもと告げる。
陣川は酔った状況で、北沢駅前のタクシー乗り場からタクシー
に乗るも、引き出物を思わず置いたままタクシーに搭乗して
しまう。

陣川は自販機の前で、紙袋を見つけて不審物ではないかと疑う
も、たまたま500円玉を自販機の下に落として探していた篠原
奈緒のものだと分かる。奈緒は思わず置き引きだと叫ぶも、
陣川は警察手帳を見せ誤解であることを知らせる。
奈緒はお詫びに食事を奢るとして二人でレストランに入る。

翌日、陣川は特命係にやってきて右京たちに運命の出会いがあ
った事を知らせる。神戸の予告が当たったとするが、帰ったら
空き巣の被害にあった事を告げる。しかし部屋からは何も盗まれ
なかったという。鍵穴にも無理矢理こじ開けたような傷の跡が
無く、陣川が落とした鍵を使って入ったのだろうとの事だった。
しかし右京たちは鍵を落としたのではなく、侵入目的で盗み
取ったのではないかという。
右京たちは陣川の部屋に行き、何も盗まなかったのは取る価値
の有るものが無かったか、探していたものがなかったのかでは
無いかという。
右京は昨日の引き出物袋が無いことに気がつく。置き忘れた
とし、昨日は奈緒と一緒に何処で忘れたのか必死に思い出した
という。
右京らは、陣川が奈緒と出会っていなければ空き巣と鉢合わせ
するはずであり、彼女が意図的に空き巣にはいるために仲間と
協力したのではないかという。しかし陣川は荒唐無稽な話だと
一蹴する。

笹塚署の遺失物の届けを調べに行くと、引き出物は有るが、
全く知らない人たちの名前が書かれていた。しかし昨晩、
"花の里"で陣川がブーケを醤油に浸した時の花びらが入って
いる事に気がつく。誰かのものと取り違えて持ってきたのだろう
という。署員に話を聞くと、他にも引き出物を無くしたという
女性がやってきたという。彼女はプレミアの札入れが入って
いるとしたが、中には入っていなかったとのこと。恐らく取りに
来たのは奈緒だろうという事になる。
--------------------------------------------------------

警視庁の陣川公平くんが友人の結婚式に出席したことから、
事件に巻き込まれていく。陣川の持っていた引き出物袋に入った
財布を狙う女性の姿が有ることを知り捜査する。式の帰りに
運命的な出会いを果たした篠原奈緒がその当事者である事が
判明。彼女は前科が有り、一年前に出所したばかりの女性だった。

スリのプロで更生したかに思えた女性は、再び犯罪に手を染める。
犯罪からの更生の難しさを感じると共に、一度犯罪に手を染めると
すり寄ってくる人物がその更生を許そうとしない所があって
泥沼に入っていく姿はちょっぴり可愛そうな感じだった。

最初に石井久雄から財布を抜き取ったときの心情と、
陣川と出会った後に再度犯行を繰り返す時の彼女の心情の違い
がこのドラマの肝でも有った。

当然ながら友達の話として語る段階で、一連の件から手を引い
ていれば、彼女自身が陣川との関係を深めるのは難しいにして
も、捕まる事は無かった訳で、陣川への気持ちが切なく表れた
感じだった。

彼女一人で巨額の金を得る為に割り符を盗んだとも考えられた
けれど象牙など受け取ったところで、それを売りさばくのは
いっかいのスリでは難しいものが有るか。

このドラマの面白い所は、密輸入している石井は、財布の中身
の割り符にばかり視線を傾けている事であり、浅野自身は
財布にばかり視線を落としていること。そんな状況を上手く
すくい取って相手を騙していく所は、さらりと描かれていたけど
面白い部分だった。

基本的に陣川くんは、存在自体が興味の対象なので、内容は
有る程度散漫でも問題はないのかも。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)

陣川公平 …… 原田龍二 (捜査一課・経理)
篠原奈緒 …… 京野ことみ (本名:桧原奈緒、スリのプロ、29歳)
堀田刑事 …… 樋浦勉 (青山署・盗犯係)
浅野亘 …… 鈴木豊 (奈緒を脅して石井から財布を盗ませる)
坂田 …… 九十九一 (警視庁・生活環境課・課長)
石井久雄  …… (61歳、石井貿易社長、過去に旅券法違反)
鯨岡学 …… 阿部亮平 (指名手配犯、黒田と間違えられる)

史朗、高松しげお、平川和宏、舘昌美、たなべ勝也、桐生コウジ
松井正樹、上谷健一、杉村好江、菊池隆志、藤原正和
竹垣綾香

評価：★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)