相棒9
(2010年10月期・テレビ朝日水曜21時枠)

脚本:戸田山雅司(1)(2)、太田愛(3)(5)、櫻井武晴(4)(6)
監督:和泉聖治

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/


第6話 暴発
--------------------------------------------------------
麻薬の売人・後藤幸一から男・呉純一(26歳)は麻薬を購入する。
その取引の様子を右京と神戸は、
組織犯罪対策五課と協力して
ビデオカメラに納める。右京は売った男を確認するとして、
尾行すると後藤は二見興業に入っていく。
組織犯罪対策五課の内偵調査の結果、
関東貴船組系二見会
構成員は10人の内、5人が麻薬の売買に関わっていた証拠を掴む。
事務所には10人全てが揃っているために、陣頭指揮を執る角田
六郎は、部下達へ突入の準備をさせる。

いざ踏み込むが、その場には9人しか居なかった。
二見祥之(47)、松井嘉明(45)、小畠典弘(41)、神田慎介(43)
後藤幸一郎(36)、高杉洋二郎(28)、大崎昇(31)、窪田勝郎、
与野雅史
。もう一人は何処にいるのか?と探すと箱の中に入った
一体の遺体を発見する。

心臓を銃で撃ち抜かれていた。9人の検挙したヤクザから事情
聴取をする。9人が9人麻薬の取引していたことを認めるが、
殺人罪に関しては一貫して黙秘を貫く。鑑識作業で火薬の発射
残渣を調べると、誰一人からも検出されなかった。
死亡推定時刻は昨日の朝9時から11時。夜8時に突入したので、
みんな洗い流したのであろう事が伺えた。

そんな中、殺しが発生したと聞いて捜査一課の伊丹たちは、
殺しの線でこの件を引き継ぐという。角田は内村、中園の元に
いくと、これは五課の案件だと主張するが、内偵中に死亡事件
が起こるとまずいのではないか?として、一課に引き継ぐよう
丸め込まれていく。

鑑識の米沢から、殺しに使われた銃弾が体内から見つかり、
線条痕が押収した銃と一致した事が分かる。

そんな中、
厚生労働省の関東信越厚生局麻薬取調部捜査一課
(以後、麻取)の
五月女雄が警視庁にやってくる。角田も呼ば
れて話をすると、五月女は一年間内偵調査をして来たことを
告げ、薬物容疑の送検には麻取にさせて欲しいと頼む。変わり
に内偵調査で得た資料の全てを提供するとし、その中には薬物
の入手ルートも全て書かれていると告げる。
角田は組織犯罪対策部長の
川上博康に相談に行くと、麻取との
良い関係を築くことも必要だとして、その提案を受ける事を
告げる。

右京たちは五課の捜査の協力のために、麻薬の取引をしていた
呉純一(26歳)の家宅捜索をする。彼には逃げられたが、彼には
協力者が居ることが分かる。そんな中、突然五課は全員が麻薬
調査から引き上げる事を電話で受け、調査に当たっていた大木
小松は、捜査を中断させる。右京たちが継続して調査に当たる
が・・・

--------------------------------------------------------

組織犯罪対策五課の捜査に協力していた特命係。
その内偵調査をしている中で、一人の人物が亡くなるも、9人
居る組員は一貫して口を割らず、捜査を妨害する。
そんな中、警視庁内部でも、殺人課と麻薬課の対立。そして
殺人を巡って、殺人罪として問えるのか、それとも過失致死
なのかで複雑なやりとりが行われる。

事件自体は大した面白みが含まれている物語ではなかったけど、
一つの死を巡って複雑な葛藤が有った。

右京は右京らしい心情の元で行動を取ったし、麻取の五月女も
捜査官の遺志を汲んで最良の措置を執ろうとする。

こういう時の右京の頑固さというか、融通の利かないところは
もどかしさばかり感じるけど、捜査官が勝手に事件のシナリオ
を組み立てる事への警鐘を描いたもので、ここで右京の気持ち
に妥協が入ると、彼の人物像に対してブレが出てくるので、
こういう描き方は有る意味仕方がない事。

麻取が取った行動は、捜査官・鎌田の事を考えたが為のもので
決して自らの組織の保身ばかりではない所が、よりドラマを
複雑なものへと追い込んでいたし、右京の取った立場は鎌田に
残された遺族に対する気持ちを汲む物で、取り残された者たち
から見れば、右京の取った行動こそ正しいものだと言える。

ドラマとして上手くできていたのは、これまでなかなか活躍の
見せなかった右京と一課以外の刑事達の活躍にも焦点が当たった
点だと思う。角田ら組織犯罪対策五課が取り上げられるのも
珍しいし、流されるばかりの一課のキャラクターも、今回の伊丹
を筆頭として、組織としてではなく右京に追従するものが有って
新鮮なものを感じた。


杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)


五月女雄 …… 尾美としのり (厚生労働省麻薬取締部捜一課長)
鎌田健作 …… 山口祥行 (潜入捜査)
後藤幸一 …… 大柴隼人 (二見会 / 麻取に情報を流す)
川上博康 …… 重松収 (角田の上司)
志村利恵 …… 田村直子 (潜入捜査)
呉純一 …… 賀川黒之助 (潜入捜査)

賀川黒之助、中野裕斗、荒木誠、高橋俊次、松永隆憲


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system