相棒9
(2010年10月期・テレビ朝日水曜21時枠)

脚本:戸田山雅司(1)(2)(9)、太田愛(3)(5)、櫻井武晴(4)(6)(8)
徳永富彦(7)
監督:和泉聖治

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_09/



第9話 予兆
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2010年夏。
神戸は朝早く繁華街を歩いていると、偶然女性が横たわるのを
見かける。寝ているものかと思い声を掛けると、なんと女性は
血を流して亡くなっていた。

すぐに鑑識が入る。
被害者からバッグや財布、そして免許証などは見つからなかっ
た。米沢によると死因は後頭部の打撲による脳挫傷だという。
捜査一課の伊丹は、何故神戸が朝早くにこんな所を彷徨いて
いたのか疑問に思う。
神戸は右京と合流すると、遺体を発見したときに何か妙な感覚
が残ったという。右京はそれは大事なサインである可能性が
高いという。

被害者の女性は未だ身元不明。25歳から30歳で、体内からアル
コールや薬物は検出されていない。死亡推定時刻は深夜24時
から1時までの間だった。
神戸は米沢から遺体の写真を見せてもらうと違和感を覚えていた
原因が分かる。
胸元のカットが多い割にネックレスなどの装飾品
を身につけていない事。紫色のヒョウ柄のワンピを着ているのに
リップグロスの色が大人しい事。アイシャドーを塗っているのに
アイラインやマスカラを付けていない事
。米沢と右京は、そんな
女性的な視線で見ている神戸を感心する。

伊丹は、
会員制シングルズバー日高千広から、被害者の女性
について聞き込みを行う。すると彼女は会員であり、名前は
中路絵利子(28歳)・杉並区に住んでいることが分かる。
すぐに部屋を捜索すると、地味な服と派手な服が両極端にタンス
の中に入っており、二つの顔を持っていたことが分かる。
しかも彼女は
警視庁の長官官房付き総務課に勤めている人物だ
と知る。
伊丹は上司に報告すると、この案件は警視庁の人間が夜の町で
男を漁っていたとするスキャンダルに発展する可能性が有り、
事件の情報が外部に漏れるのを避けろという。

右京らは警視庁に聞き込みに行こうとするが、予め小野田に
許可をもらおうとする。すると小野田のオフィスには
長官官房
高野友彦が電話に出る。高野は後日都合の良い日時を知らせる
として、すぐに聞き込みすることを許可しなかった。

被害者の部屋からブランドものと領収書、カードなどの書類が
出てくる。かなり本人は几帳面な存在である事が分かる。
領収書から殆どの品が本人が購入している事を裏付けていたが
一つ包装紙を取ってあるブランドものの装飾品が有ることに
気がつく。神戸ははこれだけは誰かにプレゼントされたものだ
ろうと告げる。

警視庁の人間が殺されたのを知り、
金子文郎は高野に対して
右京らの捜査に手を貸してあげるよう告げる。
ネックレスの送り主は指紋から
藤崎利孝だと判明する。藤崎は
警務部訟務課の人物でかなりのエリートだと判明。
角田は昨年結婚した人物で、彼の媒酌人をしたのは、
警視総監
田丸寿三郎である事を告げる。
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神戸が偶然女性の遺体を発見する。
女性は警察庁に勤める職員であり、女性の部屋を調べて
いくウチに、彼女には二つの顔が有るであろう事を知る。

被害者が警察庁の人間ということも有り、警視庁の人間である
右京達も容易には調べる事が出来ない状況の中で、捜査を強い
られるという展開だった。
警視庁と警察庁の対立の構図が有ることが描かれ、互いの思惑
の違いみたいなものを感じる作りだった。

背景に有る物は大きいが、結果的に夫が不倫していると勘違い
した妻が殺害に及ぶというオーソドックスなもの。

警視庁組織内の問題は良く描かれるけれど、警察庁との関係が
描かれるというのも珍しい事かな。過去には何度かそんな事情に
触れたエピソードは有ったけど、視聴者的には正直、分かりづ
らくて紛らわしいものがある。

右京と小野田の意見が衝突し、特命係が誕生する経緯として
20年前の外務省高官公邸での人質籠城事件を取り上げられていた
けど、シーズン1の11話"右京撃たれる! 特命係15年目の真実"
と12話の"特命係、最後の事件"
でその辺の事件の詳細が描かれた。

相棒も最初の頃は、ずっと入り口に掲げられていた特命のボード
が割れていて気になる所があったけど、その経緯が描かれた事で、
とても興味深いものが有ったのが思い出される。

さて事件としては、女性の化粧だのファッションなどのコーデ
ィネートな話に言及していくるということで、太田愛さんなど
の女性脚本家が担当した話かと思ったけど、戸田山雅司さん
担当の回だった。

すっぴんだとしゃくに障るという辺りの女性心はイマイチよく
分からないけど、そんな要素を描くのならば、もう少し正妻と
被害者の間の年齢の差みたいなものを感じさせる方が良かった
のかもしれない。
吉田羊さん綺麗だし、嫉妬するような感じには見えなかった
かな。

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
神戸尊 …… 及川光博 (警部補・特命係)
宮部たまき …… 益戸育江 (小料理屋"花の里"。元右京の妻)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
三浦信輔 …… 大谷亮介 (警視庁刑事部捜査第一課員)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長)
中園照生 …… 小野了 (警視正)
小野田公顕 …… 岸部一徳 (警察庁/警視監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警察庁長官官房室長)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)


中路絵利子 …… 高尾祥子 (被害者、警察庁総務課)
高野友彦 …… 高杉航大 (長官官房)
藤崎俊孝 …… 志村東吾 (警視庁警務部)
田丸寿三郎 …… 品川徹 (警視総監)
住吉実史 …… 草野とおる (総務課長)
藤崎真由子 …… 吉田羊 (俊孝の妻)
日高千広 …… 鈴木博之 (シングルズバーの店長)
金子文郎 …… 宇津井健 (警察庁長官)
陣川公平 …… 原田龍二 (警視庁)

若井尚子


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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