チャンス
(2010年7月期、NHK土曜21時枠)

原作:小林慧
脚本:長川千佳子
演出:本木一博
音楽:小林洋平

http://www.nhk.or.jp/dodra/chance/


第1話 命の出会い
--------------------------------------------------------
2008年10月。
鳳証券に勤める藍田沙矢子は、この日リーマンショックの損失
を取り戻すべく、モンゴルの平成レジャーに投資する。
一気に2億5千万の含み益が出たことで、一気に買い戻しを行う。
しかしその後、組織的に株価をつり上げたものが居るとして
一気に損失額は膨らんでしまう。2億強の含み損。
投資家である堀秀彦に謝罪に行く沙矢子。堀は怒りもせず、
すぐに追証(追加保証金)を振り込むという。株の投資は全て
自己責任だという。沙矢子にはこれまで沢山良い夢も見せて貰
ったとして、こんな時もあると慰める。

しかし追証は振り込まれておらず、山田から早く追証を急がせろ
と指令が来る。北海道のホテルに泊まっていると聞き、沙矢子
は現場に行くと、外には救急車と人だかりが有る。部屋の中で
自殺したものがあると聞くと、運ばれてくる遺体の首には
見たことのあるマフラーが撒かれていた。自殺したのは堀だった
のである。

2009年2月。
沙矢子は傷心のまま、自殺しようとして雪道を歩く。
意識が遠のく中、気がつくと彼女は浦賀に有る寺山牧場の馬小
屋にいた。牧場の主人、寺山俊夫と日出子はびっくりして
声を挙げる。馬はとても臆病な生き物で、いきなり馬小屋に
入ると後ろ足で蹴られて亡くなることも有り得るのだという。
入った馬小屋が気の優しい馬のハルコで良かったという。
ハルコが一緒に寝てくれたから助かったのだと言われる。

ハルコの元に再び訪れると、沙矢子は馬に謝罪し、そしてお礼を
告げる。そんな二人の姿を寺山夫婦は不思議そうに見ていた。
沙矢子は夫婦に、馬小屋の仕事を手伝わせて欲しいと頼む。

東京から来て迷ったなんて本当のことなのか?と日出子。
しかしハルコが懐いたのだから悪い人間では無さそうだという
俊夫。ハルコは10歳の牝馬で、人間で言うと30歳くらいだと
いう。ここは繁殖牧場で牝馬にサラブレットの子供を産ませる
牧場だと聞く。引退した競走馬などがここには居るとし、
ハルコには子供が居ない事を聞かされる。

翌日ハルコが熱っぽいとして、俊夫は馬を冷やしていた。
俊夫は沙矢子に、死ぬ気だったのか?と尋ねると、どんな理由
であれ、命は一つであり、精一杯生きなければならないことを
告げられる。しかし助かって良かったと。

翌日沙矢子は寝坊して馬小屋に行くと、様子がおかしいことに
気がつく。ハルコは今日牧場を出て行くという。沙矢子は
ハルコが子供を産まないから処分されるのだと分かり、その
行動を非難するが、子を産まないハルコを養う余裕はないと
言われる。すると沙矢子はハルコは私が買うという。いくらか?
と問い詰めると、素人が口を出すなと声を荒げる俊夫。それでも
食い下がる沙矢子に、3ヶ月のエサ代である15万円を払えば
処分しないと言われる。ハルコは命の恩人で自分が面倒を
見るとするが、えさ代は毎月かかるし大変だという。沙矢子は
自分は東京の証券会社に勤めており、入社以来育ててくれた
大切な客を自分の失態で失ってしまった事を告げ、ハルコには
生きていて欲しいと願う。

--------------------------------------------------------

東京の証券会社で働く沙矢子は、自分の見誤った判断によって
大切な顧客を自殺へと追い込んでしまう。傷心の中彷徨い
歩いた中で、一件の牧場にたどり着き、競走馬とそれを世話す
る一組の夫婦との運命的な出会いが有るのだった。

自分の事を助けてくれた馬ハルコ。
そんなハルコが処分されそうになっている所を助けた沙矢子。
見事なまでに補完関係にあり、運命的な絆という物を感じさせる。

競馬に興味のない人でも、北海道の美しさと馬の愛らしさなど
それだけ見ても癒される物がある。

殺伐とした証券会社での生死を分けるような世界とは舞台は
一転し、自然溢れる中での愛らしい出会い。しかしそんな世界
に於いても崖っぷちの様な状況で、夢を求めて日夜足掻いてい
るという内容だ。

同じ夢を求めるのならば、コンクリートのジャングルなのか、
吹雪の中での自然豊かな田舎なのか。両極端な世界観を行き来
する事での、ちょっとしたオン・オフの感覚が味わえるもの
だし、上手く栄養剤の様な役割を果たす。

証券会社での顛末に関しては、これからも難局が待ち受けている
気配がプンプンしてくるが、沙矢子はどうやら父親の代から
証券会社に勤めているようで、その辺の関連から味方してくれる
人物の存在も有って、なんとか食いつないでいく様子。

人は守るべき物が有ると強くなるというが、馬のえさ代も
稼がねばならない状況の中、馬を守るために沙矢子の奮闘が
見られるのかも知れない。
気になるのは、加賀まりこ演じる御園隆子の存在だね。
カメラマンという設定だが、彼女はどんな役割を果たすのだろ
うか。


藍田沙矢子 …… 藤原紀香 (鳳証券に勤めるキャリアウーマン)
藤本建治 …… 市川亀治郎 (東京ファンドコンサルティング代表)
木暮 淳 …… 堀部圭亮 (バー・アリソンのマスター)
寺山俊夫 …… 大地康雄 (北海道日高の生産牧場主)
寺山日出子 …… 宮下順子 (俊夫の妻)
三津井 隆 …… 浅野和之 (鳳証券専務)
桜田時生 …… 瀬川亮 (北海道門別競馬場の騎手)
御園隆子 …… 加賀まりこ (高名な女性カメラマン)
木川仙次郎 …… 宇津井健 (中央競馬のベテラン調教師)

山田忠彦 …… 升毅 (鳳証券上司)
堀秀彦 …… 小野寺昭 (投資家)
江藤卓巳 …… 滝藤賢一 (藤本の秘書)
熊田真澄 …… 日向とめ吉
池田 …… 後藤公太 (鳳証券)
近藤 …… 石坂晋輔
山口獣医 …… 伊藤哲哉
堀耀子 …… 泉晶子
松本 …… 諏訪太朗 (投資家)
岩田 …… 山崎大輔 (投資家)
岩田の妻 …… 梅沢昌代


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system