チャンス
(2010年7月期、NHK土曜21時枠)

原作:小林慧
脚本:長川千佳子
演出:本木一博
音楽:小林洋平

http://www.nhk.or.jp/dodra/chance/


第4話 夢と欲望の行方
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競走馬・チャンスは地方競馬・門別でデビュー戦の2歳新馬戦
で見事な差し足を見せるも3位、第2戦であるルーキーチャレン
ジで見事初優勝を飾る。
そして第3戦のグランシャリオ特別戦で、2位に数馬身差を付け
て圧勝する。
東京で中継を見ていた沙矢子たちは大喜び。桜田からも連絡が
有り、中央競馬の騎手試験を受けるという。チャンスと出逢っ
て、このままじゃいけないと思ったとの事。

その頃藤本は会長から20%の株式を取得した事で喜多社長に
証人を求める。
鳳証券の役員会議では、藤本の発言で役員たちは騒然とする。
このままではこの会社は生き残ることは出来無い事。かつて
この会社の社員で有った自分も今の姿を見たくないこと。
自分が経営権を取得すれば、ROAの高い証券会社に生まれ変わ
らせるという。

それを受けて経営陣たちは、藤本は乗っ取りを考えていると
告げ、防衛プロジェクトを発足する。藤本は恐らく改選期を
狙い議決権を抑えようとするハズであり、鳳証券側の推薦する
取締役たちを否決するようし向けるハズだという。株主たちか
ら委任状を集めて、票を確保しようという。

一方藤本の秘書・江藤も藤本に株主リストを渡し、その中でも
創業者一族に目を付ける。鳳浩二郎に接触し、傍系だからと
言って経営の外に出している現状を非難。自分に委任状を
用意してくれれば取締役の座を用意すると告げる。

委任状取り合戦が開始される。
沙矢子は先代からの付き合いである丸山鉄工の社長・丸山啓二
の元を訪ねる。昨日江藤という男から話を持ちかけられたが
自分は昔から付き合いのある沙矢子を指示するという。
沙矢子は会社に戻ると偶然エレベーターで、山田忠彦と逢う。
彼に乗っ取られようとしている事を対して嫌ではないのか?と
尋ねるが、資本主義の宿命だとして運命を受け入れていた。

社員株主合同セミナーが開かれ、藤本は現在の経営陣が赤字
を出している事を訴え・非難する。沙矢子はその場で挙手し
藤本に疑問をぶつけてみる。貴方は一儲けしたいと思っている
だけなのではないか?というもの。しかし藤本はそれを否定せず
会社を勝たせる事が渡しの利益に繋がるものだという。
藤本は会場にいるものたちに、短期間で黒字にして上場する
まで持ち上げる事を約束する。そんな話を聞いていたセミナー
の出席者たちは、今の経営体質は古すぎるとして、藤本に賛同
を示すのだった。

沙矢子は藤本に個人的に逢い、何が目的なのか尋ねる。
時流に逢わせてタフな企業にすること。会社と社員に幸せを
生み出す為だという。話は2001年9月11日の話へ。
当時N.Yに居た藤本はマンハッタンの高層ビルの中で、煙が
上がる惨劇を見たという。恐怖に震え上がったが、同僚たちは
喜々として端末に飛びついていたという。恐怖を感じるヒマ
などなかったとの事。そこでは莫大な金が動いており、世界中
の何処でも、その動きで興奮を味わった事が居たはずだという。
それは沙矢子も同じで、平成レジャー株の際に、そんな興奮を
味わったのではないか?と言われる。あれが私達の住む世界
だと言われ、言葉を失うのだった。

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鳳証券が東京ファンドの藤本によって乗っ取られようとしてい
る現実を知り、社員一同抵抗を試みるが、手段を選ばず目的を
果たそうとしている藤本に対して、苦汁を飲まされることに
なる。そんな中、順調に中央への道を歩んでいたチャンスにも
トラブルが発生していく。

前半は証券会社のゴタゴタ話を描き、疲れ切ったところで、
競走馬の話で洗い流させるような展開だった。ただ今回は
これまでと違って、チャンス自身にもトラブルを発生させて
一瞬ヒヤリとさせる様な展開を用意した。

人の繋がりなど金の前には脆いという切ない現実が描かれた。

沙矢子と藤本の中にある共通した意識を描くことで、沙矢子
自身に今の自分に対して迷走した状態を投げかけ、苦悩する
機会を与えたこと。チャンスのオーナーとして、今の仕事を
辞めるわけにも行かない状況によって、より息苦しい現状を
描いた。

一方意外なのは木暮にも、セカンドチャンスを求めるような
展開が用意されたことか。

誰もが挫折を経験し、次のチャンスに向けて走り出すという
事がこのドラマのテーマでも有るので、この流れも興味深い
が、木暮に関しては彼の背景もあまり描かれることもなかった
事もあって、やや現状や全体像が見えづらいものがあった。

レース場の描き方も、普段見る競馬中継と違って、とても
綺麗な撮り方をしていたし、馬が関わってくるシーンは、
気難しいファンド関連の話と違って、スッキリとするものが
あるので、とてもバランスよく描かれていると思う。

しかし沙矢子は今の仕事を辞めてしまったけど、中央競馬へ
馬を走らせる為のオーナーの年俸の件はクリア出来るのか?


藍田沙矢子 …… 藤原紀香 (鳳証券に勤めるキャリアウーマン)
藤本建治 …… 市川亀治郎 (東京ファンドコンサルティング代表)
木暮 淳 …… 堀部圭亮 (バー・アリソンのマスター)
寺山俊夫 …… 大地康雄 (北海道日高の生産牧場主)
寺山日出子 …… 宮下順子 (俊夫の妻)
三津井 隆 …… 浅野和之 (鳳証券専務)
桜田時生 …… 瀬川亮 (北海道門別競馬場の騎手)
御園隆子 …… 加賀まりこ (高名な女性カメラマン)
木川仙次郎 …… 宇津井健 (中央競馬のベテラン調教師)

山田忠彦 …… 升毅 (鳳証券上司)
堀秀彦 …… 小野寺昭 (投資家)
江藤卓巳 …… 滝藤賢一 (藤本の秘書)
熊田真澄 …… 日向とめ吉 (バー・アリソンの従業員)

福島 …… 大治幸雄 (鳳インベストメンツ)
鈴木 …… 川野直輝 (鳳インベストメンツ)
若林 …… 須田邦裕 (鳳インベストメンツ)
佐々木 …… 松下恵 (鳳インベストメンツ)

厩務員・及川 …… 鬼界浩巳
阪上由起夫 …… 大高洋夫 (調教師)
喜多静雄 …… 田口主将 (鳳証券・社長)
清水谷正彦 …… 上杉祥三 (鳳証券・重役)
鳳浩二郎 …… 古谷敏 (鳳証券、傍系)
丸山啓二 …… 花王おさむ (丸山鉄工)
堀耀子 …… 泉晶子 (秀彦の妻)
笠原直道 …… 高川裕也 (木川の弟子・中央の調教師)
富田 …… 市瀬秀和

中野剛、渡辺道子、種村江津子、犬飼若博、前川正行
大波誠、松柚子葉、古川浩、廣田直敬


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