同窓会 〜ラブ・アゲイン症候群
(2010年4月期・テレビ朝日・木21時)

脚本/井上由美子
演出/藤田明二ほか
プロデューサー/黒田徹也、清水真由美

http://www.tv-asahi.co.jp/dousoukai/


第9話 私たちの、愛と死…最後の選択
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逃避行した朋美と杉山は気持ちのすれ違いにより、二人別々に
帰宅しようとしていた。しかし朋美は愚かな行き違いで終わらせ
たくないとして、杉山のことを探す。バスに乗っていると、
すれ違いに杉山の車が通りかかるのを見て、急いで走って追い
掛ける。幸い工事現場で立ち往生していた事で杉山と再会する。

一方真一は、福島をテレビ局に連れていった後、陽子と電話中
に倒れてしまう。福島は病院まで付き添うと言うが、スタジオ
に戻って全てを話せと告げ、投げ出せば友達を辞めると忠告
する。

杉山と逢った朋美はもう迷わないと告げる。
しかし車に乗っていると、ラジオから行方不明だった国土交通省
の福島がテレビジャパンで全ての真相を語るという報道が聞こ
えてくる。

麻美は真一の運ばれた病院にやってくる。すぐに陽子もやって
くる。寅田は治療方針について話すというと、妻である麻美を
連れていく。陽子の元に朋美から電話があると、一番大事なと
きに何をしているのかと彼女を怒鳴りつける。

テレビジャパンの報道番組に出る福島。
失踪したことは生きたかったからだという彼。菅原大臣より
インターチェンジの設置を命じられたこと。しかしそこは大臣
の後援者がアウトレットを建設しようとしている場所で、癒着
している事が明らかなこと。それを告発しようとしたら、請負
業者から悪質な嫌がらせを受け、同僚たちからも距離を置かれた
事を告げ、精神的に追い込まれた事を告げる。同窓会に出た後
自殺を考えていた時に彼女によって助けられたこと。多くの人
に迷惑をかけたことを謝罪し、退職する事を口にする。
この場に送り出してくれた友人に感謝すると告げる。

朋美と杉山も急いで病院へとやってくる。それは人生を見つめ
直した旅の終わりを意味していた。

真一は目が覚める。仲間たちが集まっているのを見ると、まだ
天国ではないのかと落胆する。福島が会見を終えたことを報告。
寅田がやってくると、真一は奇跡が起こったのか?と問う。
まさしく奇跡だと告げ、しかし今の状態を保つためには最低
三ヶ月は入院して貰うと言われる。しかし真一は一日だけ行き
たい所があるので外出を許可してくれるよう頼む。

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福島はテレビの前で真実を告白しようとする中、真一の容体が
急変し病院に運ばれることになる。
それを知った朋美たちもすぐに駆けつけていくことになるが・・

ドラマとしての興味は、朋美と杉山の件をどう終息させていく
のか。それと真一の最後をどのような形で迎えるのかという点
だった。

福島の同窓会前後の話が描かれて、同窓会の持つ意味が改めて
浮かび上がって来たけれど、最後に運命を変えてしまった
同窓会について、それぞれが気持ちを表していくところなど、
とても面白く出来た話だった。

真一が行きたいとしていた所が、牧ノ台中学校の閉校の日の
校舎だったという事で、互いに感慨深い物があるだろうし、
30年前の学生時代の映像と上手くつなぎ合わせて、思い出に
浸る辺りも良くできた構成だった。

真一の最後が眠るようにして訪れ、全員に看取られていく事。
病室ではなく、思い出の学校と共に去っていくという事で、
ある意味では真一自身が、このドラマの裏のメインなキャラク
ターでストーリーテラーの様な役目を果たした。

このドラマの好感の持てる点は、朋美と杉山の関係を最後まで
一貫して清く描いたことだろう。
ストーリー最初の頃、福島が失踪した際に"失楽園"を引き合い
に出していた時には、黒木瞳が出演した映画の様に、たがの
外れたエロチックな内容になるかと思って心配したが、キス
一つにとても重要な意味を持たせた事で、恋愛の難しさを
改めて感じさせた。

ドラマとしての結末は、先送り感も強く、今決断できないこと
を未来に持ち込んだ感じにも思えたが、再会するきっかけという
ものを上手く含ませているし、いつか結ばれたいとする気持ち
こそ生きる原動力になるのではないかという気がする。


宮沢朋美(45) …… 黒木瞳 (光和大付属病院でパート)
杉山浩介(45) …… 高橋克典 (刑事)
西川陽子(45) …… 斉藤由貴 (主婦)
大久保真一(45) …… 三上博史 (週刊プライム編集長)
宮沢誠一郎(48) …… 吹越満 (失業中、慶應出)
亀村太一(45) …… 六角精児 ("亀ちゃんの店"経営中)
杉山佳奈子(37) …… 須藤理彩 (妻)
西川正隆(47) …… 神保悟志 (外食店)
江川麻美(41) …… 芳本美代子 (真一とは別居7年)

宮沢彩 …… 大平うみ (娘)
宮沢達也 …… 嘉数一星 (息子)
福島和彦 …… 尾美としのり (国交省勤務)
板倉真理子 …… 宮地雅子 (平凡な主婦)
大野真弓 …… 大島蓉子 (光和大付属病院でパート)
島田珠恵 …… 佐藤詩子 (光和大付属病院でパート)
菊川早苗 …… 野波麻帆 (西川正隆の愛人)
竹原俊太 …… 八神蓮 (刑事、浩介の部下)
高村亜紀 …… 真野裕子 (TVキャスター)
西川真奈 …… 熊田聖亜 (愛人の娘)
浩太 …… 鈴木勝吾 ("亀ちゃんの店"従業員)
寅田富士子 …… 高橋ひとみ (医者)
広田一行 …… 八代英輝 (キャスター)

篠原愛実、出町勇人、栗田将輝、三浦透子、神崎智孝
大木優紀(アナ)、天野真佑、小林瑞紀、石坂彩乃


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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