フリーター、家を買う。
(2010年10月期・フジテレビ火曜21時枠)

原作 - 有川浩「フリーター、家を買う。」(幻冬舎刊)
脚本 - 橋部敦子
演出 - 河野圭太
企画 - 瀧山麻土香、水野綾子
プロデュース - 橋本芙美

http://www.fujitv.co.jp/ie-wo-kau/index.html


第1話 明るかった母さんが壊れた…!
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いつもソコソコの人生を送ってきた武誠治。
父は二流商社に勤務し、母は専業主婦、そして開業医の夫に
嫁いだ姉。ソコソコの高校に進学し、一浪の後ソコソコの大学
に入学。卒業後に部品会社に就職が決まり、ソコソコな人生を
送ってきた。
会社の新人研修では、社会に出たら不条理な事もあるという事
を指導される。教官はどんな事があっても他人を責めることなく
己を責めろという。
3ヶ月後、研修も終わり四葉電子の本社で働く事になる。
誠治は自分なりに欠点を修正したフォーマットを進言するが、
上司の部長から慣例があると言われ却下される。しかし別の
社員に対しては、そんな慣例など一切気にすることなく許可し
ている上司。同僚の川口からは、もっと上手く上司に取り入れ
と言われるが、そこまでしてしがみつくような会社では無いと
言う誠治。
会社終わりには、部長が率先して打ち上げの飲み会を会社内
で開かれるが、先に帰ることは許されず、更にビールは飲んだ
分だけ払うようにしないかという提案も却下される。

3ヶ月で仕事を辞める誠治は、食事の際に両親にその事実を
告げる。母は応援してくれるが、父・誠一は再就職のアテが
有って辞めたのか?と言われ、だれでも不平不満を持ち合わせ
ながら働いている事を告げられる。どんな会社に勤めてもお前
みたいな奴は上手くいかないと言われる。仲を取り持つ母・寿
美子は、自分で決めたことだからとして誠治を指示する。

翌日から再就職活動を始めるが、全く合格出来無かった。
ハローワークに通い職員の北山からは、三ヶ月で辞めたとなる
と根気のない若者だと思われる分不利だという。誠治は企画開発
の仕事を希望し、あくまでその希望は変えるつもりは無いと
いう。該当する会社が登録されて折らず、帰宅することになる。

夕飯の席で、誠一は息子を支持する寿美子に対して、お前は
社会の厳しさが分からないと告げる。息子に対して、お前みたい
な奴は穀潰しと言うんだと告げ、自分は家族に苦労掛けまいと
して頑張ってきたこと。唯一達成できなかったのはマイホーム
を持つことが叶わなかっただけだという。しかし家賃は社宅で
月5万、年に2回も旅行に連れて行っている事を告げると、誠治
は会社で威張れないからと言って自宅で威張るなと告げる。
これからは部屋で食事を取るとする誠治に対して、毎月食費は
2万円を入れろと要求する。誠治は2万ではなく3万振り込んで
やると大見得を切る。

職探しをしている際に、誠治は隣人の西本幸子に話を掛けら
れる。現在仕事を辞めてフリーターをしている事を告げる。
誠治はコンビニでアルバイトをしながら、就職活動を行う。

一年後、誠治は未だに就職できずにいた。
姉の亜矢子は母親との電話の中で、弟の甘っちょろい性格を
非難する。誠治の頑張りなど頑張りとは言えないという。母は
今までもなんだかんだ言ってやってきたので大丈夫だというが・・

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これまでソコソコの生活を送ってきた武誠治だが、就職に於いて
気に入らない会社に入社してしまった事で、彼は別の会社に
入り直そうとする。しかし現実は厳しく、一年たっても新しい
就職先が見つからないことで、やがて典型的なニートへの道を
歩んでいく。自堕落な生活が続く中で、母の様子がおかしい
ことに気づく。

ドラマとしては比較的ほのぼのとしたドラマになるのかと思って
いたけど、予想は裏切られて橋部敦子さんらしく、骨太のドラマ
になりそうな感じ。
武誠治の生ぬるい性格をたたき直していくドラマなのかと
思っていたけど、突然母・寿美子の様子のおかしさに、ちょ
っと緊張感の走るような展開になった。

ただただひたすら武誠治の不必要なプライドと、父親の威厳を
見せられるような展開で、衝突する家族の問題を明るく見守る
母親ばかりがすべての問題を引き受け、そして最後には壊れて
しまう。

専業主婦の母親は特に家庭以外に逃げる場所が無く、すべての
攻撃を受けた結果、蓄積していたストレスが現れた格好だろう。
問題は隣人にありとばかりに描かれているけど、息子や夫にも
問題があることは明らかで、家庭の象徴として存在している母親
が崩れていくことで、この家庭は一体どうなってしまうのかと
先行き不安にさせるものが有った。

ドラマを見ていると言葉の一つ一つが時に刃の様に他人の心に
突き刺さる様子が描かれているし、ちょっとした他人への配慮
の心が人間社会においては必要だと思わせる。

言っていることは正しくても、父・誠一もまたそんな配慮に
欠けた人物で、こういう人物は確かに居るなと思わせた。

建設現場に真奈美のような美人が居る辺りは、少々ドラマだね
という感じだけれど、彼女の存在は自堕落な生活をしていた
認識の甘い誠治の性格を上手く軌道修正させてくれそうな存在
だね。

誠治が仕事を辞めて以降、彼のアルバイトをする態度は嫌悪感
を覚えるものがあったけど、気分転換のために友人たちに連絡
するもみんな社会人として働いていたり、元彼女に逃げようと
した所で、新たな彼氏が出来ている所など、時は確実に
進んでいることを臭わせて、なんだか切なくなる部分も有った。
社会に取り残された感じを受けるだろうね。


武誠治 …… 二宮和也 (25、フリーター)
千葉真奈美 …… 香里奈 (25、喜嶋建設社員)
武誠一 …… 竹中直人 (55、誠治の父)
武寿美子 …… 浅野温子 (50、誠治の母)
永田亜矢子 …… 井川遥 (30、誠治の姉)
永田文也 …… 七海智哉 (亜矢子の夫)
永田智也 …… 橋本智哉 (亜矢子と文也の息子)
永田則子 …… 鷲尾真知子 (65、亜矢子の姑)
西本幸子 …… 坂口良子 (60、武家の隣人)
西本和彦 …… 横尾渉 (28、弁護士)
大悦貞夫 …… 大友康平 (50、大悦土木社長)
塚本学 …… 山本龍二 (53、作業員)
真田勝也 …… 嶋大輔 (45、作業員)
星野あかり …… 岡本玲 (21、事務員)
手島信二 …… 井上正大 (20、作業員・季節契約社員)
豊川哲平 …… 丸山隆平 (25、作業員・アルバイト)
山賀亮介 …… 眞島秀和 (36、喜嶋建設社員)
北山雅彦 …… 児嶋一哉 (33、ハローワーク職員)
岡野忠志 …… 田中壮太郎 (40、精神科おかのクリニックの医師)
島田彰子 …… 玄里 (20、専門学校生)

新人研修の指導員 …… 竹下宏太郎
矢沢 …… 内野謙太 (四葉電子の社員)
川口 …… 和田正人 (四葉電子の社員)
四葉電子の部長 …… 半海一晃
コンビニの店長 …… 津村知与支
豊中ミチル …… 高部あい (誠治の元彼女)
面接官 …… 桜井聖
量販店「KUROGANEYA」の店長 …… 矢柴俊博

荒井武司、稲健二、内山達樹、奥野貴行、谷口一、金井駿司
金子太郎、橋本涼、菊川仁史、児島功一、藤山誠、合志英知
鮫島満博、山田規、高橋和貴、玉村一樹、二階堂修、日野出清
佐久間祐人、春山怜那、鈴木福、矢代朝子、竹岡真悟
坂本龍一、小川智弘


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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