フリーター、家を買う。
(2010年10月期・フジテレビ火曜21時枠)

原作 - 有川浩「フリーター、家を買う。」(幻冬舎刊)
脚本 - 橋部敦子
演出 - 河野圭太
企画 - 瀧山麻土香、水野綾子
プロデュース - 橋本芙美

http://www.fujitv.co.jp/ie-wo-kau/index.html


第2話 どうせオレは恥ずかしい息子だよ
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誠治は寿美子が鬱病になったことを知って襟を正し、再びアル
バイトを始める。アルバイトとして選んだのは資格が無くても
高額の給料を得られる工事/建設会社の仕事。

誠治は早速翌日の朝には筋肉痛で目覚める。朝食の際に、寿美
子や誠一が居る前でアルバイトを始めたことを告げ、今後は生
活費も入れるし、就職活動もすると語るが、誠一は息子の話を
一切信用することもなく、話の途中で席を立ってしまう。
誠治は母・寿美子に鬱病の薬を飲ませ、自分が薬の管理をする
事になる。

仕事場に行くと、社長の大悦からは安全確認と正確さを念頭に
入れて作業を進めるよう告げられる。
誠治が裾と袖で捲し上げている事を知ると、真奈美が語りかけて
きて安全のために裾と袖をきちんとするよう求める。安全管理
は私の仕事だという彼女は、大悦土木の社員ではなく、喜嶋建設
の社員で有ることを初めて知る。ゼネコンである喜嶋建設から
仕事を請け負っているのが大悦土木だと知った誠治。立場は
真奈美の方が上かと告げるが、そんな上下関係はなく同じ目的
に向かう者同士である事を聞く。手島からはゼネコンの人とは
ヘルメットの色が違うことを教えられる。

仕事が終わると土木の作業員たちは飲みに行くことを告げるが、
事務員のあかりはそそくさと抜け出してしまう。誠治はあかり
に話しかけて、飲み会には行かないのか?と尋ねると、逆に誠治
の事を尋ねられる。誠治は現在就活中であり、以前は四葉電機
で働いていた事を告げると、再就職が決まったら是非合コンし
ようと言われる。

翌日、路盤材が届かず、現場では仕事が出来ない状態だった。
注目した真奈美の発注ミス。大悦土木としては納期ギリギリの
仕事故に、相当な負担を強いられることになる。真奈美はとん
でもない事をしたとして謝罪し、作業員たちは仕事を中断して
帰宅する中、真奈美だけは事務所の掃除をしていく。誠治は
そんなことをしても意味がないというが、私に出来ることを
するだけだという真奈美。誠治は社長に今日の分の給料はどう
なるのか?と尋ねると、金の心配よりもやることが有るだろう
として、半人前の誠治の事をつねる。

翌日、捨てたはずのゴミが再び家の前に置かれているのを見た
寿美子は体調がおかしくなる。
亜矢子は誠治に電話し、母のことを頼むと言われる。
亜矢子はその頃、自分の息子・智也が通っている川口西小学校
のPTA室に呼び出されると、PTAの主婦たちから診療に関して
お願いされる。亜矢子が院長夫人であるという特権を使って
自分たちの診療を一番最初にして欲しいというのである。断ろ
うとするが強引に決められてしまうのだった。

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言い訳を繰り替えし、現実が見ていなかった誠治。
色々と仕事をしている人たちの意見や態度を見ているウチに、
自分自身についての認識を新たにして、姿勢を正していく。
そして初めて一つの形としての達成感を得ていく。

色んな所で人間らしさだったり、意地の悪い姑息な人たちの姿
が散見される。

ゴミの一件で隣人の問題が抽出されるが、そればかりでなく、
嫁・姑の問題であったり、プライドの高い開業医夫人の苦悩が
描かれていたり、PTAの母親たちの横暴な振る舞いが有ったり
して、人間社会に於ける個人のエゴが至るところで見られた。

ドラマとしては誠治に対して投げかけられる言葉の殆どが
正論めいていて、誠治に言い訳を許さないような囲い込みが
なされている中で、誠治としても腐ることなく食らいついていく
姿が有る。
そりゃあ香里奈様のような綺麗な人が職場にいれば頑張るだろう
と小一時間語りたくなる物があるが、現実とはこれ以上にシビア
で頑張る人にもどうにも立ちゆかないものが有るような感じも
する。

最後に誠治に仕事の達成感を実感させるための演出は、映像美
も相まってとてもすっきりするものがあるが、その辺はドラマ
らしさを感じる所か。

しかしこんな不安定な状態に於いて、母・寿美子の面倒を誰も
見ることがない現実はちょっぴりハラハラさせるものがあった。
父・誠一は息子に対しては正論を語るのに、それ以外の行動に
於いては、そんな説得力を失うような態度を見せている。

隣人の西本さんは何故寿美子に辛く当たるのか。
案外大した事のない理由で意地悪をしていたりするのだろうけど
相手にとって見れば、生死を左右する苦しみを味わっている訳で
無駄な事に必死になっているなと思う。

ドラマとして上手く描かれているのは、脚本家が女性の方だから
か、女性同士の意地の張り合いみたいな陰険さが実にリアルに
伝わってくるところだと思う。



武誠治 …… 二宮和也 (25、フリーター)
千葉真奈美 …… 香里奈 (25、喜嶋建設社員)
武誠一 …… 竹中直人 (55、誠治の父)
武寿美子 …… 浅野温子 (50、誠治の母)
永田亜矢子 …… 井川遥 (30、誠治の姉)
永田文也 …… 七海智哉 (亜矢子の夫)
永田智也 …… 橋本智哉 (亜矢子と文也の息子)
永田則子 …… 鷲尾真知子 (65、亜矢子の姑)
西本幸子 …… 坂口良子 (60、武家の隣人)
西本和彦 …… 横尾渉 (28、弁護士)
大悦貞夫 …… 大友康平 (50、大悦土木社長)
塚本学 …… 山本龍二 (53、作業員)
真田勝也 …… 嶋大輔 (45、作業員)
星野あかり …… 岡本玲 (21、事務員)
手島信二 …… 井上正大 (20、作業員・季節契約社員)
豊川哲平 …… 丸山隆平 (25、作業員・アルバイト)
山賀亮介 …… 眞島秀和 (36、喜嶋建設社員)
北山雅彦 …… 児嶋一哉 (33、ハローワーク職員)
岡野忠志 …… 田中壮太郎 (40、精神科おかのクリニックの医師)
島田彰子 …… 玄里 (20、専門学校生)

荒井武司、稲健二、内山達樹、奥野貴行、谷口一、金井駿司
金子太郎、橋本涼、菊川仁史、児島功一、藤山誠、合志英知
鮫島満博、山田規、高橋和貴、玉村一樹、二階堂修、日野出清
佐久間祐人、春山怜那、鈴木福、矢代朝子、竹岡真悟
坂本龍一、小川智弘

阿南敦子、渡辺道子、笠木泉、藻田留理子、関根洋子


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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