GOLD
(2010年7月期・フジ木曜22時枠)

脚本:野島伸司
音楽:千住明、池頼広
プロデュース:東康之
演出:河毛俊作、加藤裕将、石井祐介

http://www.fujitv.co.jp/GOLD/index.html


第11話 最終回…死なないで母と子の号泣の結末
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全日本選手権の日。
悠里は子供たちを信じているとし、必ず立ち上がってくれると
祈る中、洸が会場へとやってくる。丈治は悠里にお前の勝ちだ
と呟く。

洸は競泳場によってくると、廉を見てお前の出る幕じゃない事
を告げ、すっこんでいろろと告げる。洸も廉もスタート台に
立つ中、ホイッスルが鳴り響くが、廉はスタートせずレースを
辞退する。廉を担ぎ出したのは洸を引き出すため。しかし悠里
は廉の気持ちを考えていなかったとして反省する。まさか廉が
命を捨てるつもりでトレーニングをするとは思わなかったという。
廉のそんな気持ちに気がつかずに母親だと言える立場ではない
と呟く。

レースは洸の圧勝。日本新記録で優勝する。
優秀な経営者も優秀な母親も同じようなもので、一番大切な
事はどんな事があっても抑えるものだという惣一。それは
人の心を掴むことだという。
悠里は洸におめでとうとしながらも、彼の横を通り過ぎて廉に
対して感謝を示す。

辰也は悠里のそんな意図を知らずに離婚届を叩きつけてしまった
として、悠里から届けを取り戻してくる。リカも辞表届けを
取り戻しに行くが、悠里から秘書は私に一番近い存在であるの
だから、正しいか正しくないかは関係なく決して裏切らないと
する安心感を与えなければならないものだと告げる。辞表を
出した以上返すつもりは無いとバッサリ斬りつける。

一方その頃、聖子は息子の勝の首を絞めて殺そうとしていた。
良い事なんて一つもない。貴方だけ置いていく訳にはいかない
という。悠里が閉会の挨拶の際に歌を歌う中、聖子がフラフラ
と会場にやってきて、悠里をナイフで刺し殺そうとする。
その意図を知った丈治は彼女の前に立ちふさがって、体で彼女
の突進を止めるのだった。

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洸を主戦場に引きづり出すために、心臓に病を抱える廉を
使う母。そんな意図を知らず、周りの者達は悠里の元から
去ろうとしているが、その事実を知って改めて悠里の凄さを
感じていく。

取りあえずサプライズらしいサプライズは無かった気がする
が、分裂仕掛けていた家族というものを一挙にまとめたという
意味では、実に上手く出来た話だった。

非情に思えることでも、真剣に対峙していることで、周りの
者達はその思いを受け止めているものだなと思うと共に、
その気持ちをどのように伝えるのかが、このドラマの上手い
点だ。

全てが分裂したかと思えば全てがまた元通りに戻る。
家族とは別れようと思っても別れられないものだろうし、
子育て失敗の烙印を押される直前に、一気に形勢逆転して最高
の母親だと言わせる辺り、実に上手い盛り上げ方だった。

口だけ番長ではなく、名実共に最高の家族というものを作り
上げてしまうのだから凄い。
悠里の発言には最後まで頷かせる事が多く、選手たちに掛けて
上げた言葉"ネクストワン"で有ったり、聖子に対してかけた
言葉など、どれも説得力があった。

聖子のエピソードがやや蛇足にも思えたけれど、悠里のこれまで
の境遇が如何に凄まじいものだったのかをあぶり出す意味で、
聖子の使い方は上手く出来ていた。
また丈治との関係も上手く家族の枠に収める所など、感動する
流れだった。まぁ血液型が全て同じだったとする辺りは、
早乙女らしい奇跡なのかもしれないけどね。

朋や丈治の子供の幻想はかなり癖のある演出だったけれど、
まさか最後にファンタジー的展開になるとは思わなかった。


なんだか最近のドラマはセリフの使い方が面白い事が多い。
特に意外な人に意外なセリフを語らせる所が癖になりそうだ。

聖子が悠里に対して"知るかボケ"と静かなる怒りを込めて語っ
たり、昨日見た「ホタルノヒカリ」でも、木村多江が藤木直人
に対して味噌汁を食べさせたときにおもむろに"ギャフン?"とか
尋ねて見たり、「うぬぼれ刑事」で竹下景子さんにデブ専なのか
というセリフを語らせたり・・・

リカと悠里のやりとりは特に秀逸で、いつまでも見ていたく
なるようなものだった。この二人のキャラクターだけを抜き
取って是非とも別のドラマの脚本で採用して欲しいと思う。


早乙女悠里 …… 天海祐希 (42歳、カリスマ美容研究家)
新倉リカ …… 長澤まさみ (24歳、悠里の秘書)
早乙女洸 …… 松坂桃李 (20歳、悠里の長男、水泳)
早乙女廉 …… 矢野聖人 (18歳、悠里の次男、陸上)
早乙女晶 …… 武井咲 (17歳、悠里の長女、高飛び込み)
早乙女朋 …… 大江駿輔 (10歳、悠里の三男、体が弱い)
早乙女修一 …… 水上剣星 (享年22歳)
明石辰也 …… 寺島進 (44歳、悠里の別居中の夫、レスリング)
丹波聖子 …… エド・はるみ (43歳、スポーツクラブの清掃員)
丹波勝 …… 水野真典 (18歳、引きこもり)
相馬幸恵 …… 賀来千香子 (40歳、エステ部門の責任者)
蓮見丈治 …… 反町隆史 (38歳、元水泳選手で洸・廉・晶のトレー
ナー)
早乙女惣一 …… 夏八木勲 (父、日体協会長)
保坂次郎 …… 志賀廣太郎 (運転手)

神代麻衣子 …… 南沢奈央 (次女)

沼崎悠、唐木ちえみ、小島一華


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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