ジョーカー 許されざる捜査官
(2010年7月期・フジ火曜21時枠)

脚本:武藤将吾
音楽:井筒昭雄
企画:立松嗣章、太田大
プロデューサー:稲田秀樹、永井麗子
演出:土方政人、都築淳一、石川純一

http://www.fujitv.co.jp/JOKER/index.html 


第2話 保険金殺人に隠されたワナ
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強盗傷害の容疑者・達川学を追走する伊達とあすか。しかし
伊達は追跡途中に足が痙り、あすかは逮捕しようとする瞬間に
手錠を落とすという大失態によって容疑者は手から逃げてしま
う。しかしそこに春日恒夫(38歳)が通りかかり、容疑者を取り
押さえる。

その頃、介護施設"やまぶきの家"では、夜8時半頃天ぷら油の
火で出火し、入居者の9名の老人と、一人のスタッフが亡くなる。
すぐに捜査一課や鑑識が入るが、火元は天ぷら油で、火元の近く
のテーブルで入居者の高原スズエが亡くなっていたことから、
料理中に居眠りした事での事故ではないかとされる。

しかし死亡した9名の老人の内、5名の保険金の受取人が経営者
の名義となっていることを知る。経営者は同時期に別件で署に
居た春日だった。これは保険金を狙った事件なのか?

春日に話しを聞きに行くと、普通保険金の受け取りは血縁者
なのに何故経営者名義になっているのか尋ねる。採算度外視で
経営してきたこと、そしてホームレス同然の老人を入居させて
いたことで、当人たちがその様に言ってきたのだという言う。
施設は医師だった父親の夢であり、仕事が忙しくて倒れた父親
に何もしてあげられなかった事から、その夢を引き継いで
儲け無しでやっていたのだという。
それを聞いた井筒たちは、一応話に筋は通っているという。

春日は医大中退後にK&Mトレーディングという貿易会社で利益を
得ているという。施設は確かに採算度外視で儲けは出ていなか
った。しかし金に困った様子もなかった事。アリバイに関しても
警察署に居たために完璧なモノがある。しかし入居者たちは
火事だと知っても何故逃げようとした形跡がないのか?
鑑識からの結果で、血液からは睡眠薬等の薬物反応は一切でな
かった事から、事故で処理しようという事になる。

冴子は伊達の前に現れる。
彼女から火災の日には施設でインフルエンザの予防接種が有っ
たと聞く。
火元の最も近くにいた高原スズエの息子夫婦に会いに行く。
夫・悟、妻・利恵、娘・凜。スズエとは三年以上逢っていない
という。5年前に父が亡くなり、教立医大病院の医療ミスだと
言い始めたことで関係がギクシャクしだして、施設に送られた
という。すると孫の凜が、お祖母ちゃんは夜は食べないし、
揚げ物は嫌いだと告げる。両親には内緒で度々スズエの元を
訪れていたと告げ、折り紙の鶴を貰ったという。
医療ミスで訴えていた医者は羽鳥晴信で、インフルエンザの
担当もその医師だと言うことが分かる。

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老人ホームが全焼し、10人もの被害者を出す。
当初は事故として処理されようとしていたが、調べていく内に
保険金が掛けられていたり、医療ミスの問題が発覚したりと、
明らかに人の手を介した事件である事を掴んでいく。

ドラマとしては比較的早い段階で、誰が意図して事件を起こし
ているのかが明らかになる。それをどのようにして証拠と結び
つけていくのか。盗聴で得た情報が証拠能力を持たない中で、
新たな物証は発見されるのか。

このドラマで必要なことは、明らかに犯人ではあるけれど
それを証明できないというもどかしさだ。それ故に通常の流れ
では決して解決しない事件というものを用意し、寸止めで
事件解決への流れをストップさせる必要がある。

その変の鬱積したストレスを最終的には伊達の一押しによって
解消させるものであり、事件に於ける被疑者の憎たらしさや
狡さみたいなものが必要になってくるのだろう。

老人の命を犠牲にすることで被疑者の春日恒夫に対する憤りに
近いものが上手く描かれるが、今回の被害者家族のスズエに
してきた事自体にも微妙な感覚として残り、なんとも言えない
後味の悪さが存在する。遺族が被害者面した所で、自らも
加害者に近い面が有る所など、奥歯に物が挟まったような感じ
だった。

しかし伊達に対する過去の真相が描かれたことで、一つスッキリ
したモノがあったかな。
人を殺害した人物が何故警察官になる事が出来たのか。
実際には犯罪として扱われずに、伊達自身も三上によって守ら
れていた事。
法律では裁くことの出来無い事件の後始末だけでなく、刑罰に
値しないとした事件を偽装してしまうという事も存在していた
事で、伊達自身に興味深い罪の意識を背負い方をさせたなと
いう感じがする。

久遠が事実を知ってしまったことで協力していくみたいだけど、
あまり多くの人が関わってくるとより心情的にも複雑なものが
出てきそうな感じがする。


伊達一義 …… 堺雅人 (捜査一課・警部)
久遠健志 …… 錦戸亮 (鑑識課・巡査部長)
宮城あすか …… 杏 (捜査一課・警部補・キャリア組)
来栖淳之介 …… 平山浩行 (捜査一課・警部補)
片桐冴子 …… りょう (ルポライター・元刑事)
三上国治 …… 大杉蓮 (バーの店主)
井筒将明 …… 鹿賀丈史 (捜査一課・課長・警視正)

灘木 …… 斎藤歩 (伊達の両親を殺した?)
堀田輝生 …… 土屋裕一 (捜査一課)
永岡卓也 …… 轟泰樹 (捜査一課)
武本寛治 …… 井上正大 (鑑識)
溝口喜一 …… 佐伯新 (鑑識)
滝川美菜 …… 鈴木凜 (県警捜査一課・庶務)
弘毅 …… 山本修 (伊達の父)
光代 …… 千咲としえ (伊達の母)
少年期の伊達 …… 今井悠貴

竹島正義、越智俊光、赤丸正幸、安藤広郎

春日恒夫 …… 鈴木浩介 (容疑者)
高原スズエ …… 小貫加恵 (介護施設のお祖母ちゃん)
羽鳥晴信 …… 東根作寿英 (医者)
高原悟 …… 中村まこと (スズエの息子)
高原利恵 …… 笠木泉 (悟の妻)
高原凛 …… 大野百花 (悟の娘)
達川学 …… 林潔 (冒頭の容疑者)

評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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