ジョーカー 許されざる捜査官
(2010年7月期・フジ火曜21時枠)

脚本:武藤将吾
音楽:井筒昭雄
企画:立松嗣章、太田大
プロデューサー:稲田秀樹、永井麗子
演出:土方政人、都築淳一、石川純一

http://www.fujitv.co.jp/JOKER/index.html 


第9話 時効…真実に怒りの裁き!
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冴子がナイフに刺されて死亡する。伊達はそんな彼女の死を
目の前にし、あすかも駆けつける。あすかは殺害した犯人が
伊達さんではないですよね?と確かめた上で、9時にこの場所に
来れば兄の事件の真相が分かると冴子からメモを渡された事を
語る。伊達は冴子の傷を見て、宮城が殺されたときと同じ手口
だと告げる。

死亡推定時刻はPM9:00。サバイバルナイフの様なもので刺され
た後、突き上げられているという。
事件から三日が経過するが目撃情報は無い。これはプロの犯行
だという井筒に対して、あすかは警察官の可能性も有るという
事か?と告げる。

そんな中、一人の女性・節子が署にやってくる。
2005年に時効が成立した事件で新たな情報が見つかったという。
節子は20年前に殺害された18歳の女子大生・小原美咲の母だった。
大学に入学したばかりで殺害されたもの。
海で遊んでいる少年たちが袋の中から遺体の右腕を見つけた
もので、遺体からは容疑者のDNAが採取されるが該当者は見つか
らなかった。
節子は20年前に美咲が書いたという手紙が届いたのだという。
未来郵便と呼ばれる物で、高校の卒業式に友人と一緒に20年後
の自分に宛てて書いたモノだという。事件の一ヶ月前に書かれた
ものだと分かる。その手紙には"許されないことをした。あの人
とどうなっているのだろうか?"と書かれていた。具体的な名前
は書かれていなかったが、S先生が関わっている事がイニシャル
として描かれていた。

伊達は平成2年4月14日、横浜女子大生バラバラ殺人事件について
事件を追わせて欲しいと井筒に直訴。井筒も好きにしろと
容認するのだった。しかしあすかからは、何故冴子の事件を
追わないのかと責められ、冴子は今でも伊達のことを好きだった
事を聞かされる。しかし伊達は私情を挟むなとして、捜査の鉄則
を告げる。

あすかは一人で三上のバーで飲む。
伊達のことが良く解らないと愚痴を漏らすと、三上は冴子が
殺害された翌日の伊達の事を語って聞かせる。冴子がいつも
飲んでいたウィスキーを飲んで1時間近く涙を流しながらはき
続けていたという。そういう男だと告げる。
あすかは伊達が現在担当している事件を語ると、それは冴子が
担当した最後の事件で、時効になった事を冴子が悔やんでいた
事を語り、アイツなりの弔い合戦なのだろうと告げる。

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20年前に殺害された女子大生の事件は既に時効を迎えているが、
新たな証拠が発覚したことによって、真相究明に於いて急速に
事態が進展していく。遺族はせめて犯人からの謝罪が欲しいと
するが・・・

冴子の弔い合戦との関連を付けて、このドラマのパターンを
踏襲して描かれた話だった。

ドラマとしてはこのドラマの主柱として存在している夏樹殺害
事件に関する真相が大きく進展したこともあって、やや時効
事件に関しては野暮ったく感じる部分もあったが、一通の手紙
の存在だけで当時未解決だった事件が解決を見せるという事で
アイディアとしては面白い物があった。

本来この状況であるならば、時効事件は相当存在感を失う筈
だと思うが、やはり容疑者に佐野史郎さんを据えた事で、
この事件に関しても存在感を発揮する物があった。

いざという時にこそその人の人間性が表れてくるものだと思うが、
今回伊達という人物の性格に迫るもので、目の前でかつて恋人
関係にあった女性が殺害された事実があるにもかかわらず、別の
事件を扱い、その件を私情を挟む事は出来無いとのセリフが
飛び出す伊達。
伊達自身の静かなる闘志が見て取れる所や、より事件や犯罪、
罪の本質というものを考えさせられるもので、ドラマとしての
クオリティも上手く保っていたと思う。

基本的にこのドラマでしていることは、どれも胡散臭さが残る
もので、それを行う人物に関しても何処まで信用が置ける人物
なのか分からない所がある。そういう意味では、井筒と三上が
どんな人間なのか、言葉だけでは幾ら説得されても信用しきれ
ない部分がある事で、最後までどの人物が犯罪に加担している
のか興味を上手く引き続けていると思う。

それにしても携帯電話が普及しているのだから、みんな連絡を
取り合って欲しい。プロの犯行だと言われている中で、単独の
行動は厳禁って感じがするな。
そういう意味では今回二つの事件を扱うことで、登場人物を
上手く一つの事件に集中させる事無く、拡散させる意図が存在
していたのかもしれない。


伊達一義 …… 堺雅人 (捜査一課・警部)
久遠健志 …… 錦戸亮 (鑑識課・巡査部長)
宮城あすか …… 杏 (捜査一課・警部補・キャリア組)
来栖淳之介 …… 平山浩行 (捜査一課・警部補)
片桐冴子 …… りょう (ルポライター・元刑事)
三上国治 …… 大杉蓮 (バーの店主)
井筒将明 …… 鹿賀丈史 (捜査一課・課長・警視正)

堀田輝生 …… 土屋裕一 (捜査一課)
轟泰樹 …… 永岡卓也 (捜査一課)
武本寛治 …… 井上正大 (鑑識)
溝口喜一 …… 佐伯新 (鑑識)
滝川美菜 …… 鈴木凜 (県警捜査一課・庶務)
宮城夏樹 …… 丸山智己 (あすかの兄、殉職)

竹島正義、越智俊光、赤丸正幸、安藤広郎

鈴川孝太 …… 佐野史郎 (元子安台高校教師、現在ギャラリー)
小原節子 …… 梅沢昌代 (母)
小原美咲 …… 森口彩乃 (18歳の時殺害される)

伊勢田隆弘


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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