刑事定年 (2010年10月期・BS朝日水曜22時枠) プロデューサー: 川島保男、高橋萬彦　 脚本：鎌田敏夫(1)、金子成人、樫田正剛 演出：佐藤祐市、後藤庸介 http://www.bs-asahi.co.jp/keijiteinen/

第1話 嘘と女
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長らくお勤めご苦労様です。
大場組の親分と新米組員の李昭信は、刑事として定年退職した
猪瀬直也の元に、鯛を持ってやってくる。先生だけが色眼鏡で
見ることなく普通の付き合いをしてくれた人だというと、これ
からは私らが力になるという。
しかし彼らが帰ると妻の早季子はあんな人たちとは付き合わな
いでと語る。
定年後の再就職に関して、直也は警察署長との折り合いが悪く
世話してくれる事はなったという。警察の捜査に効率化を唱え
ていた署長と、人間の付き合いをしてきた直也では、現役時代
は度々衝突していたのである。
捜査にはああいう人たちの力を借りなければならないときも
有るとして、人付き合いの大切さを説く。

娘の真紀は母とは会話しているのか?と尋ねる。お父さんの生活
は刑事の仕事ばかりで、私のことなど何も知らないでしょう?
という娘。万引きで捕まった事もあるし、いじめに遭い自殺寸前
まで行ったこともあるとし、自分は母と二人で育った気がする
という。
真紀は家を出て一人暮らしをしようとしている事に、直也は
それを止めようとする。妻と二人っきりになっても会話が
仕事人間の直也には会話が続かなかったのである。
両親の結婚生活を見ていると自分の結婚にも二の足を踏んでし
まうという娘。
娘は仕事のため、妻はフラダンス教室のために家を出て行く。

そんな中、直也の家に今西素子という女性がやってくる。
彼女は度々警察署にやってきては、自分が罪を犯したとして
話をしに来る常連の女性だった。また部下の多田野が押しつけ
たなと悟る直也。俺はもう刑事では無いというが、そんな事
関係ないとばかりに話を始める。

今度は何をしたのか?と問うと、ウチの人をバットで殴り殺した
という。そんな会話をしている中で、多田野が新人刑事の佐伯
正史をつれてやってくる。自分は時間の融通が利く派出所勤務
でよかったという佐伯。多田野が彼の指導係になったという。

多田野は直也に妻には文句を言っては駄目だと説く。
今まで捜査ばかりで家に一人にしていたのは夫の方であり、
寂しさを紛らわすために外に出るようになった妻に、家に居ろ
というのは酷だという。多田野は自分は妻に出て行かれた事を
告げ、この年で出て行かれると寂しい事を告げる。そんな会話
を聞いていた素子は一人になってありがたみが分かったでしょう
と告げる。

素子が人を殺したという事を語り始めると、多田野は聞かなか
ったフリをして出て行ってしまう。佐伯は直也の事を気に入る
と、多田野はアイツを好きになっても出世はしないとしながら
も多くのことを学び取れと語る。
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人情派刑事として活躍した猪瀬直也はついに定年の時を迎える。
しかし定年前に出会った人たちは、引退した後にも彼の元へと
やってきては色々と相談していく。

警察官だった直也は容疑者に対しても親身になって話を聞く
模範的な刑事だが、そんな仕事人間である彼のしわ寄せを
食っていたのが家族であるという話だった。

相談を受ける内容にしても、家族の夫婦関係だったり、子育て
に於ける内容だったりして、ナチュラルに夫である直也を
非難するようなものが有る。

内容的にはTBSが制作するような雰囲気が有るが、刑事物が大好
きなテレ朝系列の引退後の話という事で、刑事の仕事は捜査ばか
りでないという着眼点は面白い所。

柴田恭兵さんがいよいよ定年の役をやるようになったんだなと
思うとなんだかそれだけで凄い物を感じる。

新人の刑事なども絡んでくるが、大抵は現役中に一緒に捜査
する中で学び取るような物を、引退後の彼から学び取ろうとする
姿勢も面白いかな。

ヤクザと元刑事の妙な関係に加えて、なんだかんだ不平不満
を言いつつも良い家庭を築いている猪瀬家。今後は刑期を
終えた元犯罪者なんかも訪れると思うし、どういう形で直也に
人間と関わらせる機会を与えるのかが楽しみなところかな。

人が色々と出入りする家という所を見ても、その人の人となりを
見られるような感じがするな。

派手な動きや演出が無い分、如何に人間関係・会話の妙であったり、
シナリオ自身にかかる役割は大きいかも知れない。


猪瀬直也 …… 柴田恭兵 (60歳、定年退職した元敏腕刑事)
猪瀬早季子 …… 浅田美代子 (54歳、元刑事の妻)
猪瀬真紀 …… 田丸麻紀 (29歳、証券会社勤務)
多田野弘 …… 金田明夫 (58歳、直也の元同僚で親友)
佐伯正史 …… 中林大樹 (27歳、隅田川署の新人刑事)
大場義成 …… 山田明郷 (65歳、ヤクザの親分)
李 昭信 …… 春川恭亮 (21歳、大場組の新米組員)

今西素子 …… かたせ梨乃

しのへけいこ、南風佳子、森澤早苗

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