刑事定年 (2010年10月期・BS朝日水曜22時枠) プロデューサー: 川島保男、高橋萬彦　 脚本：鎌田敏夫(1)(2)(3)(6)(7)、金子成人(5) 樫田正剛(4)(8)(9)(10) 演出：佐藤祐市、後藤庸介 http://www.bs-asahi.co.jp/keijiteinen/

第10話 夫婦裁判
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多田野が直也の元に駆け込んでくる。
助けてくれという彼。妻が離婚したいと言っているとし、その
原因は写真を見られたのだという。その写真の相手を浮気相手
だと思っていると。押し入れの小物入れの中に入れていたと
いう多田野。その写真を見て直也は、彼女のことは絶対に秘密
だという。彼女は刑事の捜査には欠かせない情報屋のネタ元で
あり、彼女との関係は刑事として墓場まで持っていくべきだと
いう。
5年前に3度目の結婚をした彼女とはそれきり会っていないと
いう。不思議な人だったという二人は、美人だった彼女との
思い出に浸る。多田野は密かにタイプだった。

そんな中、多田野の妻・靖子がやってくる。
早季子はどうしたのか?として二人の様子を心配して二階まで
やってくると、多田野夫婦が離婚の危機だと告げる。
靖子を落ち着かせるために直也が対応に出ると、あの人は後ろ
めたいので出てこないのねと告げる。直也は今晩は彼のことは
オレが預かるので、靖子は早季子と一緒に過ごして相談して
欲しいと告げる。

多田野は直也に離婚後の夫婦関係について尋ねる。
多田野も1年後には直也と同じく定年が待っていた。毎日家に
居るなんて想像が付かないという彼は、妻と一緒にいても
話しをすることがあるだろうかと心配する。しかし直也は今から
そんな事を気にしている多田野ならば大丈夫だと語る。

翌朝、直也の元に電話が鳴る。
履歴書を出していた店から採用の話しが来たのである。しかし
希望していた職種とは違うために少し考えさせて欲しいと
告げる。
そんな中、真紀の悲鳴が聞こえる。
窓の外には、町内会長の江田島からの知らせを受けて、大場の
親分や佐伯、李などが来ていた。もめ事だと聞いて来たという
一行は、この争いを仕切らせてもらうという。今からこの家に
簡易裁判所を作るとし、奥さん達にもその事を告げてあると
いう。

そんな中、早季子と靖子がやってきて、全ての話を聞いたと
いう早季子は全面戦争だと意気込んでいた。
直也はすぐに寝ている多田野を起こし大変な事態になっている
事を告げる。
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定年を前にして多田野夫婦が一枚の写真をきっかけに離婚
騒動が持ち上がる。猪瀬家だけでなく、それを知った町内会長
を始めとした仲間達は、それを仲裁すべく双方の意見を聞き
判決を言い渡すという、言わば裁判形式で決着を付けることに
なる。

定年であり刑事という事を念頭に置いて、働いている時と
リタイアした後の生活の違いを通して、夫婦の間に起きるすれ
違いを上手く描いた最終話だった。

そんなテーマは一貫して描かれてきたことでもあるけど、
形を変えて定年後の夫婦関係を考えさせる辺りは見事な話しの
流れだと思う。

刑事としての使命感を定年後も持ち合わせている事への、不器
用さと誠実さが表裏一体の形で存在し、とても複雑な感情に
させてくれる。
よりよい生活のためには刑事としてのプライドを捨てなければ
ならない部分もあるだろうし、かといって自分の今までの人生
そのものを否定されたくない気持ちも当然存在するだろうし、
その辺の気持ちへの決着の付け方が、今回の見所でもあったと
思う。

多田野が写真の相手のことを話そうとする中で、直也がそれを
止めようとして多田野のズボンを引きずり下ろしてしまう所は
かなりツボに入って爆笑した。

男が仕事の件で踏み込んで欲しくないとする気持ちと、旦那
の事は全て知っておきたいとする妻の気持ちの衝突ぶりが
面白く現れたのでは無かろうか。

是非ともシーズン2を地上波で放送して欲しい。