警視庁継続捜査班
(2010年7月期・テレ朝21時枠)

脚本:吉本昌弘(1)(3)、長坂秀佳(2)、高山直也(4)
演出:猪原達三 常廣丈太 高橋伸之
チーフプロデューサー:五十嵐文郎
プロデューサー:船津浩一、壁谷悌之

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第4話 未解決殺人〜監禁された女刑事
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IT会社の社長・若木修(28歳)は六本木で、車に乗ろうとしたと
ころを銃で撃たれる。一方大田区では建設会社の社員・佐竹晶
(28歳)が道を歩いていたところを銃で撃たれる。

新田と真奈美と矢吹は射撃訓練所で銃の練習。矢吹はかつての
事件での顛末が頭を過ぎり、銃の練習に集中できずにいた。

そんな中、捜査一課から継続班に捜査協力の依頼がやってくる。
若木と佐竹が殺害された銃は38口径のリボルバー式のもので
線条痕は10年前に片山署の巡査が襲われて奪われた銃である事。
その時の犯人はまだ見つかっていなかった。
事は10年前の10月16日、午後8時頃、ガード下で若者が騒いで
いるとの通報を受けて、西中交番の森谷英之が現場に行くも、
背後からスパナで殴られ銃を奪われたという。

すぐに森谷に事情を聞きに行くが、当時の現場は暗くて犯人の
顔を見えなかったという。真奈美はまるで犯人扱いするために
森谷は不機嫌そうに帰ってくれと追い出す。銃を持つことの
恐ろしさを忘れて欲しくないと訴える。

真奈美のプロファイルでは、人通りの少ない所で犯行を犯して
いる事から地元に詳しい人間だという。そして凶器のスパナで
背後から襲っていることから、肉体的には自信のの無い、
30歳から50歳の秩序有る計画的犯行だと告げる。しかし10年間
の沈黙の間、犯人は何をしていたのか?そして犯人には何ら
目的があるのか??

被害者の経歴を調べるも2000年から2002年の経歴が空白だった。
捜査一課の宮川に尋ねるも、目の前の事件に集中しろとして
詳しくは話してくれない。その理由はすぐに判明する。
二人は2000年4月21日に女子高生・阿久津香苗の帰宅を狙い
五人(古川雄一、田岡茂、若木修、相良文義、佐竹晶)で
被害者を拉致・監禁し、4日後遺体として発見される。犯人の
多くは良いところの息子で、面白半分で犯行に及んでいた事が
分かる。4人はすぐに逮捕され、最後の犯人古川も名古屋で
逮捕されるが、最初に逮捕された4人は主犯格は古川だと主張
したことで裁判では4人は、殺意はなく強要されたという事で
判決は2年の懲役。主犯の古川は10年間の懲役が科せられた。
10年前にこれらの人物は未成年だった為に、刑期は軽く現在
では社会復帰していた。そして古川も2ヶ月前に出所しており
今回の犯人は古川の出所を待って犯行に及んだのだろうとの
事だった。

被害者・香苗の家族である阿久津幸一と妻の良子の元を訪ねる
と、対応に出たのは良子で、夫は何処にいるのか分からない
という。あの事件のせいで家族は滅茶苦茶になり、娘の帰りが
遅いと交番に訴えるもまともに相手されなかったという。
警察がもっと真剣に取り合っていてくれたらと、良子は告げる。

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10年前に警官から盗まれた銃を使って犯罪が行われる。
一人、また一人と被害者が出てくる中で、被害者の共通点を
調べていくと、10年前に犯した女子高生殺害事件の犯人だった
事が判明する。犯人は殺されたことを逆恨みする家族の仕業
なのか?

今回脚本を担当するのは高山直也さん。

ドラマとしてのポイントは、警察官の拳銃による殺人事件で
ある事。そしてその銃を盗まれたのが10年前であるという事実
だ。

被害者の共通項から10年前の事件が浮かび上がり、大体の
動機はその時点で特定できるというもの。
しかし問題なのは何故10年が経過した今なのかという点だ。

正直、今回のドラマを見ていると人間の行動心理を無視
した流れである所は目に付く。

高校時代に付き合っていた女性が殺害された事で怒りを感じる
のは分かるのだけど、結婚を約束していたものでもないし
高校時代の恋愛に自分の人生を犠牲にしても復讐したいもの
だと思うだろうか。
10年の月日は無情なもので、普通の人間ならば怒りの気持ちも
それなりに収まり、次の人生が始まっている事だと思う。

遺族が復讐するのならば分かるのだけどね。

真奈美のプロファイルについても、基本的な所を抑えている
ものばかり。
犯人像に関して、凶器のスパナを使った事で肉体的に自信が
無い犯人像を想像し、容疑者については攻撃的で直情型の人間
なので背後から狙うものか?と分析するけど、警察官相手にまさか
正面から突入する馬鹿も居ないだろうし、正面から相手を襲えば、
顔を見られるリスクが存在する。

また理解できないのは、捜査に於いてバディを組むことが無く、
真奈美一人で思ったことを行動に移してしまう所だ。一人で行けば
当然こうなるという当たり前の結果が用意された。

そして今回の件で一番理解が出来無いのは、犯人の行動だろうか。
どの犯行に於いても有無を言わさずに殺害する姿があったにも
関わらず、最後の相良に関しては、わざわざリスクを犯してま
で真奈美たちの所まで連れてきている事。
真奈美は生きて罪を償う事だと説得工作にはいるが、3人を
殺害している人物に今更説得が届くはずもなく、最後の段階で
妙に犯人に躊躇う気持ちが存在しているところは、正直全く
理解できる者がなかった。矢吹の過去のトラウマを払拭させる
為ばかりに用意されたシチュエーションという感じにしか見えず、
不自然さが残る。

また今回のケースだと、被害者遺族が犯人なのか、それとも昔の
仲間で裁判で嘘の証言をされた事への怨みによる犯行だとして
ミスリードを求める形だろうが、肝心の流れの方にもう少し
説得力を求めたい内容だった。


貴志真奈美 …… 木村佳乃 (警部補・32歳、プロファイラー)
矢吹慎一 …… 筒井道隆 (警部補、元捜査一課のエリート)
宮川学 …… 高知東生 (捜査一課・警視・管理官)
山岸徹 …… 菅原大吉 (捜査一課・警視正・理事官)
友枝達也 …… 南圭介 (捜査一課・警部補)
仲田周平 …… RIKIYA (捜査一課・警部補)
古崎仁美 …… 笛木優子 (警視庁広報官)
高木真人 …… 田島優成 (警部補、IT捜査の専門でリサーチ担当)
水城紀子 …… 余貴美子 (班長・警視、仕事にはシビア)
岩瀬厚一郎 …… 平泉成 (真奈美の良きアドバイザー)
新田明彦 …… 伊原剛志 (警部・チームリーダー)
秋本祥子 …… 小柳こずえ (ジャーナリスト)

森谷英之 …… 半海一晃 (元警察官、拳銃を盗まれる)
阿久津幸一 …… 松澤一之 (父、脳梗塞で倒れる)
阿久津良子 …… 山下容莉枝 (母)
阿久津香苗 …… 水月沙織 (女子高生、10年前に襲われる)
萩原達也 …… 細山田隆人 (香苗の恋人、看護師)
田岡勝俊 …… 佐藤誓 (茂の父)
久保寺 …… 高橋伸之 (弁護士)

相良文義 …… 増田修一朗 (広告会社勤務)
若木修 …… 丸山敦史 (IT会社社長)
佐竹晶 …… 高山猛久 (建設会社社員)
田岡茂 …… 秋山育輝 (証券会社のトレーダー)
古川雄一 …… 古澤蓮 (「女子高生殺害事件」の主犯?)


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