君たちに明日はない
(NHK/2010年1月期・土21)

脚本:宅間孝行
演出:岡田健
音楽:松本晃彦
原作:垣根涼介

http://www.nhk.or.jp/dodra/kimiasu/


第1話 怒る女〜リストラ請負人に初めての強敵現る

--------------------------------------------------------
村上真介は出社する際、階段で荷物を重そうにして運ぶおばあ
さんを見掛けるが、急いでいた事もあり声を掛けられずにいた。
彼の変わりに声を掛けたのは芹沢陽子だった。
そんな真介に声を掛ける者の存在があり、男は突然彼を殴りつ
ける。先日リストラ代行を担当した社員の一人がリストラされ
たことを逆恨みし襲いかかってきたのである。

村上真介は企業に変わってリストラを請け負う日本ヒューマン
リアクトの社員だった。雑誌にも"クビ切り集団現る"の見出し
で非情な組織であるかのように取り上げられる。

代表取締の高橋栄一郎から今度の担当は東証一部上場の建材
メーカーの"森松ハウス"のリストラを請け負うことになった事
が発表される。対象者255名の内、営業の200名をリストラする
事がクライアントからの要求。
真介はリストラ対象者の資料に目を通すと、芹沢陽子のファイル
を目にする。何処かで見たことがあるような人だが思い出せず
に居た。

森松ハウスでは社内でもリストラの噂が行われていた。
人事部から内線で課長の平山和明に連絡が入る。更に課長代理
である芹沢陽子にもリストラの対象者である事が告げられる。
責任者の私が途中で辞めるわけにはいかないとする。特に今の
プロジェクトが終わるまでは辞めるつもりはない事を語る。
採用した人物がまずは責任を取って辞めるべきだろうと陽子は
内心思うが流石に言えなかった。

陽子の元に妹の泰子が金を借りにやってくる。決してパラサイ
ト人間ではないとするが、姉の陽子はリストラに合えば今後は
容易にお金を貸すことが出来無くなる事を告げる。

資料に目を通す真介は、相変わらず芹沢陽子の事を思い出せず
にいる。バツイチでマンションのローンが沢山有ることを知る
が同情の余地はあるにせよ手加減はしないと誓う。

翌日から早速リストラ対象者と村上真介は面接を行うことにな
る。目的としては希望退職へと誘導すること。
最初の対象者は特○として企業側が絶対に辞めて欲しいと思っ
ている平山和明。彼は自分が会社にもたらした利益を盾に
絶対に辞めないと言い張るが、真介はそんな駆け引きは慣れっ
ことばかりに詳細な調査に基づいた資料を元に彼の落ち度を突
いて、希望退職を求めていく。
--------------------------------------------------------

業績を回復させるために企業をスリム化するリストラ。
会社のために人生を捧げてきた人を切らねばならない辛さから
全く無関係の組織であるリストラを請け負う企業に全てを任せ
る。
そんな所で働く人は仕事のために行っているにもかかわらず、
全ての批難を一心に受ける難儀な職業だった。

昔は会社内の人事部に一任していたものも、今時は別組織であ
るものたちに任せるようになったのか。

当然ながら別組織の人材がリストラを行えば、情に左右される
ことがない分、大胆な作業が行えそうだ。

初回を見ただけではドラマとしての方向性がイマイチ良く解ら
ないけれど、そんな難儀な仕事を担当する村上真介が、クビを
切る人物との奇妙な関係性を描いていくことになるのかな。

真介は日本ヒューマンリアクトの中でも一番の業績を上げてい
る人物。会社のために利益をもたらしているとする社員に対し
て、そんな社員の落ち度を突いて、自主退職、早期退職に
導いていかねばならない。その為に彼は在籍企業以上に対象者
の行動を把握しなければならず、行動力と細かい分析力が必要
だ。
その辺の調べる過程は完全に省略されているけれど、経費と
称して無駄遣いしている所を上手く指摘していく所などは
ドラマとしての妙味に繋がっている部分だ。

最終的にはリストラとはネガティブなものではないと真介自身
が分かるところにまで繋がっていくのかも知れないが、それまで
にどんなドラマが有るのか。
結婚を口にした翌日には姿を消してしまった恋人・順子の
意図するところとは何なのか。
そして平山和明に付けられた特○の意味は描かれていたが、
芹沢陽子にに付けられたGPの意味とは何なのか。

NHKのドラマらしくキャストがまたポイントを押さえて構成
されている点も好感がもてる。

村上真介 …… 坂口憲二 (33歳・日本ヒューマンリアクト)
芹沢陽子 …… 田中美佐子 (46歳・建材メーカー"森松ハウス")
芹沢泰子 …… 須藤理彩 (ミュージシャン、陽子の妹)
山下隆志 …… 北村有起哉 (不動産投資家)
川田美代子 …… 吉田桂子 (22歳・真介のアシスタント)
順子 …… 麻生祐未 (2年前真介の彼女だった。失踪)
高橋栄一郎 …… 堺正章 (日本ヒューマンリアクト代表取締り)

平山和明 …… 村田雄浩 (森松ハウス、営業推進部課長)
和久井 …… 小磯勝弥 (森松ハウス、めがね)
人事部長 …… 谷本一
推進部部長 …… 須永慶
社長 …… 伊藤延広
会社社長 …… 田口主将
あけぼの自動車社員 …… 徳井優

石山雄大、森康子、佐久間哲、中野めぐみ、ミョンジュ
高橋玄太、橘ゆかり

評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

inserted by FC2 system