君たちに明日はない
(NHK/2010年1月期・土21)

脚本:宅間孝行
演出:岡田健
音楽:松本晃彦
原作:垣根涼介

http://www.nhk.or.jp/dodra/kimiasu/


第5話 オモチャの男〜天才開発者、非情解雇!

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仕事に夢中になる程ドライになれないと吐露する村上。
陽子は彼に鹿児島の実家に帰省する事も考えていると語る。
そんな会話をしながら入った中華料理屋で、かつて陽子と同じ
職場の従業員だった平山とバッタリ遭遇する。それを知って
急いで飛び出る二人。二人が一緒にいたのを見て平山はどう思
っただろうかと呟く。
陽子は自宅に戻ると泰子とミッキーが現在迷っていることを
相談される。なんとミッキーによると結婚を考えているという
のである。
一方村上も山下に対して結婚を考えていると吐露する。相手は
実家に帰ろうとしている事を話す。

村上は現在の仕事に対して悩んでいることを会社の取締の高橋
に相談すると、辞めたいならば辞めれば良いと言われ、仕事を
している限りは迷いを表に出すなと一喝される。

そんな中今週からまた新しいクライアントと仕事をすると言う。
今回は玩具メーカーの"ドント"。1954年創業、従業員267人の
中堅メーカー。しかし80年代にコンピューターゲーム事業に
参入せず出遅れた感は否めず、現在は下町の職人の集まりの
様な企業であるという。高橋から思っている以上に手強い相手
であることを告げられる。既に5年前から人員削減計画を遂行中
で、会社に残るために社員も手段を選ばない人たちの集まりだ
と知る。
村上以上に仕事に打ち込むアシスタントと派遣の川田。
人の人生の節目に立ち会うのだから真剣に向き合うのだと告げる。

後日陽子は平山が勤めている中華料理店に足を運ぶが、店主か
ら無断で来なくなってしまった事を聞かされる。

村上は陽子の帰省する時には羽田に見送りに行くことを告げる。
陽子が帰省しようとしている事を知って、村上は東京は住みづら
い町か?と尋ねる。平山の姿を見ると明日は我が身かと感じて
しまうと語る。村上は今回の仕事が終われば一つの答えを出す
事を告げる。

村上達はドントへ面接にいく。しかし対象者の一人・緒方紀夫
は約束した面接時間に来ることはなかった。彼は物〇の人物。
31歳の時に結婚しているが一年で離婚。その時の妻は夫のマニ
アックさに呆れ返っていたという。変態の天才。高橋からは
こいつをなめてかかると痛い目に合う事を告げられる。
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村上は他人の人生に関わっていく内に、今の仕事に対して疑問
を持ち始める。しかも結婚を願う女性が実家に帰ろうとしてい
る現実を目の当たりにして、どうすればいいのか迷走すること
になる。

人格に関しては申し分のない男性をリストラしなければならない
違和感を感じた村上はなかなか自分の仕事を遂行できず、
会社としての方針に背いていくことになる。
ただこの人物、玩具メーカーとしては申し分ない人物だと思うし
何故切ろうとしているのかについては正直あまり説得力はない。

今回高橋が語るように正論ばかり言う人間が会社にいれば、
日本ヒューマンリアクトという会社自体が成り立たなくなる
ようなもので、個人の再生ではなく企業の再生だとする辺りの
難しさを感じる物だった。

企業とは結局社員の物であるし、村上が語るように個人の集合
体が企業という物を構成している。戦力として十二分なものを
持つ緒方紀夫をリストラすれば、この企業は成り立つ物なのだ
ろうか。

村上が平山の件で苦悩している姿はとても興味深い。
陽子が語るようにそんな気持ちを失った人物からのリストラの
宣告は納得がいかないものが有るだろう。
この辺が日本人持つ良さでもあるし、逆に改革に於いてはなか
なか俊敏な対応を見せられない日本の欠点でもある。
医者が一人の患者に対してあまり深入りしないようにしている
のと同様に、リストラ仲介業も深入りする程村上のような
辛さを経験する物だと思う。

リストラ仲介業者が一人の人生を請け負い再生させる事が
出来るのが一番の理想なのだろうが、そこまでやると絵空事
のような感じもして、やや現実性を失う気もする。


村上真介 …… 坂口憲二 (33歳・日本ヒューマンリアクト)
芹沢陽子 …… 田中美佐子 (46歳・建材メーカー"森松ハウス")
芹沢泰子 …… 須藤理彩 (ミュージシャン、陽子の妹)
山下隆志 …… 北村有起哉 (不動産投資家)
川田美代子 …… 吉田桂子 (22歳・真介のアシスタント)
順子 …… 麻生祐未 (2年前真介の彼女だった。失踪)
高橋栄一郎 …… 堺正章 (日本ヒューマンリアクト代表取締り)
平山和明 …… 村田雄浩 (森松ハウス、営業推進部課長)

緒方紀夫 …… 山崎樹範 (玩具メーカー・ドント)
芹沢朋子 …… 加賀まりこ (陽子の母)
芹沢高久 …… 山本學 (陽子の父)
石綿博 …… 前田吟 (関東建材業協会・事務局長)
ミッキー …… 越村友一 (泰子の彼)
ラーメン店 …… 福井博章
真一 …… 吉武怜朗
真一 …… 小林三起
…… 夏八木勲

佐久間哲、ミョンジュ、高橋玄太

西田聖志郎、花ヶ前浩一、田中登志哉、藤原鉄萃、坂本貞美
針原茂、仮屋ルリ子、鶴忠博、山口詩史、春日井順三
芹口康孝、木立美馬



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