マークスの山
(2010年10月期、WOWOW・連続ドラマW枠)

原作:高村薫『マークスの山』(講談社文庫刊)
監督:水谷俊之、鈴木浩介
脚本:前川洋一
音楽:澤野弘之

http://www.wowow.co.jp/dramaw/marks/



第3話
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捜査一課十係の須崎が刺されたことを聞いて、合田は病院へと
向かう。病院では多数のマスコミが詰めかけていた。
ホシは既に自首しており、芹澤会系の暴力団だという。過去に
須崎に検挙された事を逆恨みしての犯行だという。
合田は須崎に何を言ったのか?と刑事仲間に尋ねられると、情報
の交換として山岳会周りを調べるべき事を告げたという。
病院から出てくると、根来が待っていた。
根来は今日、須崎に会った事を告げ、佐伯中央建設の不正献金
問題を調査するために彼のオフィスに行こうとしていたとき、
そのビルから出てきたという。
佐伯中央建設に関しては政界との癒着を調べるために、地検の
特捜部が内定調査をしているという噂が有り、芹澤会との繋が
りが有ることを聞く。
合田はこれ以上、根来に深入りしない方が良いことを告げる。
根来は合田に対して、貴方は自分と同じ境遇である事を告げる。
父が刑事だったこと。自分の父は、警察が横領した覚醒剤の
横流しについて調べている際に、芹澤会の構成員に刺された事
を告げ、警察はスキャンダルを恐れるあまり、この一件をうや
むやにしたと訴える。

一方捜査会議では、凶器に使われたものは、冬の登山に使われる
アイスハーケンだとし、しかもそのハーケンは現在とは違う
旧式のもので有る可能性が高いことが報告される。

山梨県警の佐野と戸部は、白骨遺体と一緒に出てきた時計の件
を調べていた。岩田幸平のものである事が分かり、彼は医療刑
務所にいた事までは分かるが、その先の消息が掴めずにいた。

合田は加納の元を尋ねる。
合田は特捜部がこれまで一連の事件に関して知っていたにも
関わらず情報を隠蔽していた事を指摘する。佐伯の事を内定
していたので妨害工作をしていたのだろうと告げると、特捜部
も一年がかりで内定していたことを告げ、警視庁に邪魔されたく
なかったことを語る。殺人よりも政界への金の流れが大事なのか
と問うと、検察はそういう組織だと告げる。
合田は彼の家から立ち去ろうとすると、貴代子が彼に声を掛ける。
夕食の残り物だとして彼に手渡す。二人は五年ぶりの再会だった。
合田は彼女に日本で量子力学の研究を続けるのか?と問うと、
東都大を始め幾つかの研究期間で引き合いがある事を告げる。
女性が量子力学をする姿が珍しいのだろうと。
合田は年を取ったことでかつての自分とは変わった事を呟くと、
貴方は刑事になる為に生まれてきたような人なので、決して
変わっていないと告げる。

マークスはレンタルのコインロッカーを借り、その鍵を公衆電話
の裏に貼り付けておく。そしてそのままいつもり鮨店で真知子
と落ち合うのだった。

山梨県警の佐野は、岩田の消息を追って東京に出てくる。
そんな中、白骨体の遺体を調べていた戸部から、遺体は野村
久志のものである事が判明したとし、彼は暁成大学の卒業生
であることを語る。

加納は上司の小杉の元に行く。
今回の一件は本当に佐伯と関係がないのか?と問うと、小杉は
昨日上のものに呼ばれて話し合ってきたが、この件は特捜だけ
の問題ではないことを告げる。加納はまた暁成大学OBが何か
言ってきたのか?と問う。小杉は問いつめる加納に対して、逆
に特捜部から警察に情報を横流ししている人物が居ることを
指摘し、要らぬ誤解を招かないようにしろという。今回の内定
は加納のキャリアに大きく影響が有ることを告げられる。

北岳の山小屋の宿泊リストを調べて言っていた森刑事は、そこ
で山岳会の当時の色紙が飾ってあるのを見つける。
するとそこには浅野病院の院長のメッセージも記されていた。
すぐに合田たちは浅野の自宅を訪れると、妻から既に夫は自殺
した事を告げられる。
強盗が入ったと通報した一週間後に自殺したと告げ、自殺の
動機は末期のガンを患っていたからではないかという。
今思うと強盗騒ぎのあった日は変な事ばかりが起きたと告げ、
家政婦によると、あれは見間違いでも何でもなく、浅野は
若い坊主頭の男性に脅されている様だったという。妻は書斎から
おもちゃの金庫が無くなった事を告げる。そこにはアルプスの
絵が描かれていたと語る。

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一連の事件の背景から、暁成大のOBの繋がりが見えてくる。
日本有数の名門大学である暁成大は、政財界に於いても多数の
人材を送り込んでいることで、警察も検察の捜査を妨害してい
く中、20年前の事件に何らかの関わりが有るのではないかと
疑っていく。容疑者も暴力団を使い、形振り構わず攻撃してくる
中、無事真相にたどり着くことが出来るのか!?

視聴者が考えている以上の展開にはならないものの、裏付け
捜査とか、その繋がりとかとても丁寧に作られている。

今までバラバラに起こっていた事件が、徐々に一本の線に
繋がっていく事で、興味深さが増しているし、何より関係者が
次々と圧力から怪我したり殺害されていることもあって、
醜さと同時に緊迫感を増す展開になっている。

ほのぼのとした雰囲気とは表裏一体の形で、犯行を繰り返して
いるマークスこと水沢裕之の存在。
1億円を支払えば、この連鎖が止められそうな感じだけど、林原
が出し惜しみしている事によって、両者の間に煮沸した水のよ
うな状態になっている。
過去に林原が"余計なことをした"という部分が何に当たるのか
気になる部分だ。

マスコミの根来と合田、そして地方の県警の佐野と合田など
繋がりも徐々に深まり、事件解決に向けて、巨大な権力に立ち
向かう構図が整いつつある。

岩田幸平が全てを握っている可能性がある中で、誰が一番最初
に彼を見つけるのかも見物かも。

そういえばマークスの名前の由来が判明したね。

M = 松井浩司
A = 浅野剛
R = 林原雄三
K = 木原郁夫
S = 佐伯正一

合田雄一郎 …… 上川隆也 (捜査一課七係 警部補)
加納祐介 …… 石黒賢 (東京地検特捜部 検事)
根来麻美 …… 小西真奈美 (「週刊潮流」 記者)

加納貴代子 …… 鈴木杏樹 (合田の元妻)
滝沢寛治 …… 相島一之 (「週刊潮流」 編集長)

水沢裕之 …… 高良健吾 (マークスと名乗る男)
高木真知子 …… 戸田菜穂 (水沢の恋人 看護師)

林原雄三 …… 小日向文世 (日弁連理事 弁護士)
林原美由紀 …… 国分佐智子 (林原の妻)

佐伯正一 …… 佐野史郎 (佐伯中央建設 社長)
岩田幸平 …… 石橋蓮司 (元建設作業員)

佐野国男 …… 大杉漣 (山梨県警 警部)

林省三 …… 螢雪次朗 (捜査一課七係 警部)
吾妻哲郎 …… 甲本雅裕 (捜査一課七係 警部補)
森義孝 …… 袴田吉彦 (捜査一課七係 刑事)
有沢三郎 …… 葛山信吾 (捜査一課七係 刑事)
須崎靖邦 …… 小木茂光 (捜査一課十係 警部補)
小杉朋久 …… 嶋田久作 (東京地検特捜部副部長)
木原郁夫 …… 升毅 (暁成大学 理事長)
松井浩司 …… 矢島健一 (法務省 刑事課長)
浅野剛 …… 山崎一 (浅野総合病院 院長)
畠山宏 …… 池田成志 (芹澤会系 元組員)
西野富美子 …… 伊藤裕子 (畠山の女、ホステス)
肥後和巳 …… 大高洋夫 (捜査一課七係)
広田義則 …… 杉崎真宏 (捜査一課七係)
戸部伸也 …… 草野康太 (山梨県警)
吉原 …… 南条弘二 (捜査一課四係)
寺島忠 …… 大西武志
今井 …… 野村修一 (刑事、渋谷北署。浅野邸にて)
看護師 …… 滝沢涼子 (真知子の同僚)
水沢裕之の幼少期 …… 秋山悠介


木村靖司、遠山悠介、伊藤正之、江幡高志、大塚良重、水木薫
寺十吾、茂木和範、豊田孝治、将宗史朗、金子仁美、高山かな
天現寺竜、星野晶子、石田晃一、北山ひろし、北風寿則、
吉永研太郎、立花伸一、北島崇行、山口勝弘、山口正剛
谷更紗、榎本貴也、白山淳子、鈴木英治、多賀基史、本田秀和、小
森敬仁、上杉速人
マザー根上、原善次、真砂豪、境原英樹、神谷功、松田正悟
武田修、緑川豪男、窪田真也、山丸親也、朝日隆之、秋吉宗
竹倉愛、山田ゆり、長瀬香恵子、平井麻紀子、三浦圭祐、斉藤剛
乙女俊之介、原宿ゴリラ、櫻井幸瑠、空、久野圭一郎


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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