マークスの山
(2010年10月期、WOWOW・連続ドラマW枠)

原作:高村薫『マークスの山』(講談社文庫刊)
監督:水谷俊之、鈴木浩介
脚本:前川洋一
音楽:澤野弘之

http://www.wowow.co.jp/dramaw/marks/



第5話
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根来の元にマークスから再び電話が鳴り、買って欲しい物が
有るという。全てが書かれた告白書が手元に有り事件の真相が
分かるものだという。根来は編集長に相談すると、この一件は
法務省から内々に話が来ているものであり、上と相談してから
で無いと決められないという。
そんな中、タイミングよく合田たちが現れ、水沢が逃走して
いること。彼は所持金が無いので、何かを売りに来る可能性が
あるとし、何か接触が無かったか尋ねる。根来も編集長もそれ
を否定するが、合田は部下に根来を尾行するよう命じる。

真知子の元にいき、水沢との出会いについて尋ねる。
彼とは5年前に精神科に勤務していたときに出会ったという。
当時水沢が傷害を起こしている件について、自分が当時関係を
持っていた山崎から酷い仕打ちを受けたことで、水沢が彼を
殴りつけていたものだと分かる。
合田は部屋の中で犯行の凶器を見つけたことを告げ、このまま
放っておけば危ないことを告げる。真知子は彼は病気だが、
本当は優しい人間だという。あなた達は水沢の事を何一つ分か
っていないとし、彼は"暗い山"に支配されているのだという。
母から虐待を受けたこと、一人で冬の雪山を歩いた恐怖など
過去のトラウマの事で、彼には私以外に行くところは無いはず
だと告げる。しかしこうなる事は分かっていたのに、治療を
受けさせなかった自分の責任だと真知子は語る。

佐伯は林原に電話する。
あの山が俺たちを狂わせたとし、自分はもう疲れた事を告げる。
林原は明日佐伯の会社に特捜部が踏み込むとし、脱税、背任、
政治資金規正法を犯している事を考えれば、逮捕される事は
必至だという。佐伯は家族を全てロンドンに行かせたと告げる
と、林原は佐伯に、家族の面倒は俺たちが見るので、お前は
消えてくれと告げる。

合田は山梨県警の佐野と会う。
20年前に岩田の証言を信じて捜査を徹底していれば、あの時に
終わった事だとして責任を感じていた。

合田は貴代子と会うと、彼女はボストンに戻ることを告げる。
新しくできた研究所からの誘いを受けることにしたとの事。
彼女は合田にスニーカーをプレゼントする。合田は離婚の決定
打となった教授との不倫の件で、貴代子が嘘をついていた事を
祐介から聞いたことを告げ、何故嘘をついたのか?と問う。
しかし不倫だと聞いて、ゴタゴダ騒ぎが終わったことに正直
ホッとしたと当時の心情を語る。
今の関係の方が互いの事をよく分かるなんて不思議だという。

そんな中、合田に電話が鳴り、地検が佐伯中央建設にガサ入れ
した事を聞く。
すぐに現場に行くが、佐伯はビルから飛び降りて自殺してしま
う。
現場にいた根来は、また事件の鍵を握る人物が死んだことを
指摘し、警察は本当に事件を解決する気があるのか?と告げる。

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いよいよ水沢の持ち物の中から凶器が発見されたことで、警察
は全国に指名手配を行う。
しかし水沢によって狙われて居るであろう、林原に関しては
未だに捜査が許されず、告白書に関してもマスコミ自体が及び
腰だった。果たして全てを明らかにして、事件を解決に導くこと
が出来るのか。

正直何で雪山に水沢親子が住んでいるのかとか、こんな冬の
寒さが厳しい中で、作業員があの場所で何をしているのかとか、
野村がMARKSたちの不正を脅して新会社の出資金を出させよう
としている中で、一緒に雪山なんかに言ったら殺されるのは
明らかじゃないかと、この辺の行動はイマイチ不可解なものが
有るけど、白骨体の意味を含めて20年前に起きた話の顛末の
全てが明らかになったことでスッキリしたものが有った。

林原は弁護士という事で一筋縄が行かない相手であり、なかなか
尻尾を見せない中で、最後にまるで自爆のように木原を殺しに
かかるところもまた、強引にまとめ上げた印象もある。
まぁもともと細部に於いては、浅野剛が残した遺書代わりの
告白書が元になっており、何処までそれが証拠能力として存在
しているのか分からない部分も有ったしね。

あれだけの過去が存在しつつも、誰一人として今の地位から
降りることなく居座り続けている事への違和感は、エリート意識
だったり、そんなものたちの連帯感が精神を支えているのだと
すると、何とも悲しい物があるね。

ただ水沢に関して、虐待の事実、不幸な境遇という事を勘案し
ても、とても美化させている部分も多いが、殺しの手口は残忍
だし、流石に野放しには出来ない所がある。
そういう意味では、最後に綺麗な形で幕引きしたところは、
倫理観を含めて作者の精一杯の譲歩の形だったのかも知れないね。

合田雄一郎 …… 上川隆也 (捜査一課七係 警部補)
加納祐介 …… 石黒賢 (東京地検特捜部 検事)
根来麻美 …… 小西真奈美 (「週刊潮流」 記者)

加納貴代子 …… 鈴木杏樹 (合田の元妻)
滝沢寛治 …… 相島一之 (「週刊潮流」 編集長)

水沢裕之 …… 高良健吾 (マークスと名乗る男)
高木真知子 …… 戸田菜穂 (水沢の恋人 看護師)

林原雄三 …… 小日向文世 (日弁連理事 弁護士)
林原美由紀 …… 国分佐智子 (林原の妻)

佐伯正一 …… 佐野史郎 (佐伯中央建設 社長)
岩田幸平 …… 石橋蓮司 (元建設作業員)

佐野国男 …… 大杉漣 (山梨県警 警部)

林省三 …… 螢雪次朗 (捜査一課七係 警部)
吾妻哲郎 …… 甲本雅裕 (捜査一課七係 警部補)
森義孝 …… 袴田吉彦 (捜査一課七係 刑事)
有沢三郎 …… 葛山信吾 (捜査一課七係 刑事)
須崎靖邦 …… 小木茂光 (捜査一課十係 警部補)
小杉朋久 …… 嶋田久作 (東京地検特捜部副部長)
木原郁夫 …… 升毅 (暁成大学 理事長)
松井浩司 …… 矢島健一 (法務省 刑事課長)
浅野剛 …… 山崎一 (浅野総合病院 院長)
畠山宏 …… 池田成志 (芹澤会系 元組員)
西野富美子 …… 伊藤裕子 (畠山の女、ホステス)
肥後和巳 …… 大高洋夫 (捜査一課七係)
広田義則 …… 杉崎真宏 (捜査一課七係)
戸部伸也 …… 草野康太 (山梨県警)
吉原 …… 南条弘二 (捜査一課四係)
寺島忠 …… 大西武志
今井 …… 野村修一 (刑事、渋谷北署。浅野邸にて)
看護師 …… 滝沢涼子 (真知子の同僚)
水沢裕之の幼少期 …… 秋山悠介


木村靖司、遠山悠介、水木薫、寺十吾

国枝量平、菊原祐太朗、豊田孝治、中村直美、友山裕之助

谷更紗、榎本貴也、白山淳子、鈴木英治、多賀基史、本田秀和、
小森敬仁、上杉速人
マザー根上、原善次、真砂豪、境原英樹、神谷功、松田正悟
武田修、緑川豪男、窪田真也、山丸親也、朝日隆之、秋吉宗
竹倉愛、山田ゆり、長瀬香恵子、平井麻紀子、三浦圭祐、斉藤剛
乙女俊之介、原宿ゴリラ、櫻井幸瑠、空、久野圭一郎

岩本悠介


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