美丘 -君がいた日々-
(2010年7月期・日テレ土曜21時枠)

原作 - 石田衣良「美丘」
脚本 - 梅田みか
音楽 - 菅野祐悟
チーフプロデューサー - 田中芳樹
プロデューサー - 加藤正俊、小泉守
演出 - 猪股隆一、山下学美、佐久間紀佳

http://www.ntv.co.jp/mioka/


第10話 最期の時この命をありがとう
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美丘は突然意識不明の状態に陥る。
太一や美丘の両親も駆けつけ、容体を見守る。
医師・高梨によると血圧と脈拍が急激に低下したもので、最悪
の事態も覚悟して置いて欲しいと告げる。

治療を受けベッドで安静状態の美丘を見守る太一たち。
ようやく美丘は目を覚ますが、しかし両親の姿を見ても認識
していないような表情だった。意識が混濁しており、認知機能
の低下が考えられるという。太一たちは夜も美丘の傍に付き添
っても良いか?と許可を貰う。両親と太一の三人で交代で付き
そう事になる。

あれから一週間、友人たちにも現在の美丘の状況を報告する。
邦彦は見舞いに行こうというが、太一は来て貰っても、今の
美丘ではみんなの事は分からないという。もうみんなの知って
いる美丘ではないこと。そんな姿を見せるのは辛いというと、
一同そこまで美丘が酷くなっているなんてと驚く。

太一は病室に行くと佳織が看病していた。
美丘の前では常に明るく振る舞おうとしたがダメだという事を
告げ、もう泣くのはやめたと決めたのにと告げる。太一も笑顔
で居られるよう頑張るという。佳織はかつて美丘に逢わないで
欲しいと言ったことや、あなたのせいで美丘の病状が悪くなる
と酷いことを言ったことを謝罪する。しかし太一は許しても
もらえたからこそ今此処にいられるとして、感謝を示す。
美丘は心から人を愛し、そして愛されて、そんな気持ちを味わ
えた事は幸せだという。そう思えることが現在の唯一の支えに
なっている事を告げる。

ベッドの傍で付き添っていた太一。美丘は突然太一のことを
思い出す。太一はホントに思い出したんだねと喜ぶ。
美丘はずっと傍にいてくれたことに感謝を示す。

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美丘の手足の自由が失われていく中、最後の希望でも有った
記憶さえも奪われていく。死を待つばかりの状況の中で、最後
の奇跡を演出する。

色んな事に感謝するような話だった。

死を前にして、色々と気づいたことを生きているものたちへ
残していくこと。まるで自分の生きた証しを残すかのように
その形跡を色んな形で表していく。

バランス的にはとても良くできた流れで、最後まで退屈する
ことなく見る事が出来た。

人は寿命が分かっていても希望を持って生きていけるのか、
生きていく為の意義を見出していけるのかがドラマのテーマ
でも有ったけれど、そんな希望を過去の記憶に見出し、その
記憶を奪っていく事への非情さが描かれた。

最後の奇跡は、あんな状況の中でも見守る人を認識しながら
最後の時を送れたことだろうか。

ドラマとしての流れを見れば、一番興味深く見られたのは
美丘が太一に病気の事実を告白するまでの流れと、太一が
仲間たちに事情を話せずに美丘との関係を続けている辺りの
苦悩が興味深かった。

美丘の病状が悪化していく中で、それ以降の展開はどうしても
同種のドラマではどれも似たような展開になってしまう所が
有るが、若いカップルという事で、死に行く人を前にしても
何処か清々しさが有った。

美丘が亡くなった後も腐ることなく前向きで居られるのも、
最期の時を理想の形で送り届けられたからだろうね。


峰岸美丘 …… 吉高由里子 (明知大学3年生、強烈なキャラと奔放な行動力)
橋本太一 …… 林遣都 (3年生、日用雑貨屋)
笠木邦彦 …… 勝地涼 (3年生、ムードメーカー)
五島麻理 …… 水沢エレナ (3年生、東京生まれ東京育ち)
北村洋次 …… 夕輝壽太 (3年生、福島県出身)
佐々木直美 …… 中村静香 (3年生、今どきの女子大生)
峰岸始 …… 寺脇康文 (父、中堅商社の普通のサラリーマン)
高梨宏之 …… 谷原章介 (東都大学病院神経内科医師)
峰岸佳織 …… 真矢みき (美丘の母)

池上勇蔵 …… 升毅 (医者)
原田 …… 吉田エマ (看護師)

清水くるみ、勝倉けい子、田島茂樹


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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