モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑因の物語
(2010年10月期テレ東・月22時枠)

脚本 - 羽原大介(1)、旺季志ずか
音楽 - 渡辺俊幸
チーフプロデューサー - 岡部紳二
プロデューサー - 中川順平・森田昇、黒沢淳
監督 - 佐々木章光、古厩智之、村上牧人、山内宗信

http://www.tv-tokyo.co.jp/moriasa/


第1話 新人刑務官と死刑囚心動かす“絆”物語
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囚人の渡瀬満は死刑執行の時を迎える。言い残すことはないか?
と刑務官の若林に言われるも何もないという。刑務官の及川
直樹と満は全てを語り尽くしていた。たった一人、心を許せた
友を自らの手で葬り去ろうとしている現実。長い時間を掛けて
分かり合えた親友を殺害しようとしていた。

2010年大学を卒業した直樹は、社会人になり新人刑務官として
東京西拘置所に勤務になる。拘置所は刑務所とは違い、まだ
裁判で判決の確定していない人や死刑を待つ死刑囚が収容され
ている所である。平成に入り死刑が執行されたのは85人。
未だに100人以上が死刑執行されるのを待っていた。

3ヶ月の研修期間を経て処遇部に配属される。
刑務官の若林は、直樹の父・正道がこの拘置所の所長の頃に
お世話になったという。正道が退官してから既に3年の時が
経過していた。
直樹は死刑囚舎房の勤務になる。死刑囚の生活を管理すること。
15分に1回巡回して囚人の様子を見守るのだという。
後藤からは始めに自分が管理する側だと囚人に分からせないと
ダメだという。一舎には総員20名の囚人が居た。

一人一人の房を挨拶がてら見て回る。
囚人の香西はやたらと便箋を要求してくる。世古は死刑が執行
されるのを毎日恐れている様子だった。深掘は直樹が新人だと
聞くと、こっちにも挨拶に来いと彼を呼ぶ。直樹を見て、こんな
青臭い奴に仕事が勤まるのか?というと、囚人達は一斉に共感
とばかりに騒ぎ出す。

普通死刑執行が行われるのは午前9時30分から10時30分で不意打ち
の形で知らされるという。昔は2日前に通達されたが、自殺する
囚人が現れたために不意打ちになったのだという。この時間は
囚人にとって魔の時間と言われているという。靴音一つ敏感に
なっている事を聞かされる。
囚人はAM7時に起床し、2回の点検、3回の食事、それ以外は
自由時間だという。入浴は3日に1回、夏場は2日に一回。ひたすら
死刑の時を待つのだと言い、金を払えば好きな物を買えたり、
好きな本を読むことが出来るという。

加奈は大福を持ってやってくる。
大福などは確定犯にも配られるという。
直樹は大福を配りに舎房へと足を踏み入れる。
石峰は18年前に7人の女性を強姦殺人した凶悪犯で、全く反省
している様子もなかった。大福を落とした彼に、直樹は大福を
二度と与えることはなかった。

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拘置所に就職した及川直樹。ここは父親の職場でも有った所。
そんな場所に小学生時代に野球部で憧れで有った先輩の渡瀬満
が死刑囚としてやってくる。果たして新人刑務官に死刑を
前にした囚人達のお世話が勤まるのか。

もう少し殺伐として冷たい感じのする所かと思ったけれど、
場所はともかく、コミカルな役を演じる人たちの共演によって、
人相の悪さとは裏腹に、刑務官と死刑囚のコミュニケーション
に於いては、それ程冷たい感じのする物ではなかった。

あまり知られていない死刑囚の舎房内の生活など、拘置所内の
生活やコミュニケーション、そして刑を見守る刑務官に焦点
が当たっていくのかな。

新人故に目の前の事実に対して、必ずしもスルー出来無い現実
がある。生真面目で心優しい直樹にとっては、受ける衝撃の
如何によっては、今後の人生を左右することにもなるだろうし、
人生の価値観に於いては、180度変わるであろう事は想像に難く
ない。ちょっとした事で崩れてしまいそうな心細い役柄は、
伊藤淳史くんには合っている様な感じだった。

初回は死刑囚と犯罪被害者との不思議な気持ちの共有を描いた
もので、心の支えにしている共通の意識が全く別の方向から
やってくる事への妙な感覚が面白い形で現れていた。

被害者の母は、香西忠伸の様に自殺してしまったりはしていない
だろうかと心配するものも有ったが、その後の生活は描かれる
事はなかった。

また一方で直樹が死刑囚に対して独断で判断したことへの
失敗談なども多分に盛り込まれた。
石峰明に対しては、最後の大福を与えられなかったこと。
深堀圭造には容易に近づいた為に、あわや命を落としかけたこと
など、直樹の危なっかしさ満載である。

途中で先輩刑務官から言われたように、サービス業だと割り切れ
れば良いのだろうけどね。サービス業に例える辺りも凄い発想
だなと思う。


及川直樹 …… 伊藤淳史 (東京西拘置所、新人刑務官)
渡瀬満 …… ARATA (死刑囚)
沢崎麻美 …… 香椎由宇 (直樹の恋人、東陽新聞記者)
吉岡小春 …… 谷村美月 (犯罪被害者)
望月加奈 …… 木南晴夏 (直樹の同僚、好意を持つ)
藤間貴子 …… 相築あきこ (パパゲーナのママ)
里中和明 …… 戸田昌宏 (刑務官)
後藤了 …… 前川泰之 (刑務官)
谷崎俊幸 …… ベンガル (刑務官)
若林勇三 …… 塩見三省 (刑務官)
星山克博 …… 大倉孝二 (死刑囚)
世古利一 …… 温水洋一 (死刑囚)
深堀圭造 …… 柄本明 (死刑囚)
石峰明 …… 六平直政 (死刑囚)
香西忠伸 …… 中村獅童 (死刑囚、少年3人をリンチ殺人)
笹野武 …… 平田満 (死刑囚)
赤石英一郎 …… 石橋凌 (死刑囚)
及川正道 …… 大杉漣 (直樹の父、元拘置所所長)
及川佐和子 …… 市毛良枝 (直樹の母)

田尻勝男 …… 斎藤歩 (渡瀬の両親を殺害)
被害者の母 …… りりィ
鈴木刑務官 …… 須田邦裕
満の父 …… 鳴海剛

三島ゆたか、浦島三太郎、池口十兵衛、岡田卓也、山下征彦
椿鮒子、宮咲久美子、白須慶子、内藤トモヤ、山賀教弘
アフロ後藤、藤本竜輔、河合朗弘、鋼鐵男、堀康一、岩本悠介
片方隆介、吉田大蔵、北藤遼、長谷川遼、小西風優
木村清志、内村つぐみ、浜多恵韻


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