モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑因の物語 (2010年10月期テレ東・月22時枠) 脚本 - 羽原大介(1)(2)(4)(6)(7)、旺季志ずか(3)(5)(8) 音楽 - 渡辺俊幸 チーフプロデューサー - 岡部紳二 プロデューサー - 中川順平・森田昇、黒沢淳 監督 - 佐々木章光、古厩智之、村上牧人、山内宗信 http://www.tv-tokyo.co.jp/moriasa/

第8話 最期の面会の奇跡
--------------------------------------------------------
直樹は満の元に行くと、子供の頃に野球を辞めそうなときに
満がくれたとするボールを渡す。あれから何度もボールを
見つめてきたこと。今度はそのボールを貴方に返すという。
それを聞くと満は俺が死ぬからなのか?と呟き、もらってやる
という。満は運動の時間で囚人房から出ると、同じく確定囚の
迫がすれ違った途端、満は彼を殴り飛ばす。
独房に入れられる満に対して、来たときに殴られたのでその
仕返しをしたのか?と尋ねると、やられたらやり返すのは当然
の行動だという。田尻勝男が、死刑にならずに良かったという
満は、お陰で自分の手で殺すことが出来たと語り、殺したとき
の感触を克明に語る。直樹はそれを聞いて、ふざけるなとし
話を止める。

直樹の母・佐和子は夫・正道に対して、あれ以降直樹からお母
さんと呼ばれていない事を告げ、不安さを語る。

死刑囚・深掘は直樹を呼び出すと、この部屋は太陽の日差しが
入らないので部屋を変えろと要求する。直樹とたまたまぶつかる
と直樹は鼻血を出して深掘のトレーナーに血が付着する。
トレーナーは熊の絵が描かれたもので、深掘は直樹に綺麗に
してこいと語る。直樹は深掘に、父は自分の命を犠牲にしても
貴方が生きて欲しいと願った事を語る。

そんな中、里中が直樹を呼びに来る。若林が刑務官たちを呼んで
いると聞いて彼の元に行くと、深掘は5日後のAM9時半に死刑執行
の命令が法務省から下りた事を告げる。本人には知られないよう
告げられる。

直樹はパパゲーナでソウルから帰国した麻美と会う。
ソウルは最高だったという彼女に、直樹は転勤する事を賛成
する。会えなくなるけどそれで良いのか?と問われる直樹。
今一番大切な者は何か?直樹は私と離れても寂しくないのか?
と問われると、現在の自分には他人のことを考える余裕が無い
とし、挙げ句の果てには麻美の事を邪魔したくないと語る。
麻美は守秘義務が有るのは理解するが、悩んでいることがあれ
ば相談して欲しい事を語り、今の直樹が何でそんなに悩んで
いるのか分からないことが寂しいと語る。

直樹は加奈と一緒に深掘のトレーナーを古着屋で探しに行く。
しかしなかなか見つからなかった。凶悪犯が何故こんなに
可愛らしい熊のトレーナーを着ているのかという加奈は、
この熊のキャラクターが姉の幼いときに流行したキャラクター
である事を語る。すると直樹は深掘は娘・百合の事を思って
着ているのだと感じ、彼女を捜すと告げる。加奈は完全に服務
規程違反だとするが、直樹は死刑執行までに出来ることをしたい
と語る。
--------------------------------------------------------

直樹は満にかつて自分が目の前の現実にぶつかった際に、彼が
してくれたように、今度は自分が助ける番とばかりにボールを
手渡す。
そんな中、直樹の父が命を賭けてまで守ってきた深掘がついに
死刑執行の時を迎える。

直樹の囚人に対する感情移入によって、周りの者が影響されて
いく現実を描いたものだった。

深掘が最後、自分の生き様、死に様を見せることで直樹はどう
感じ、どんな影響があるのか。

正直自分の父が命を賭けてまで助けた男性が、この程度のもの
かという気がするけど、そんな彼から学べることが有るのだろ
うか。
直樹の深掘に対する視線は複雑なもので、父を殺害されたと
する事実を知っても殆ど感情らしい感情が生まれず、整然と
している所は、やや呆気ない感じもする。

汝の敵を愛せよ、人を裁く事なかれとするキリストの教えを
まさに実践している直樹の人間的な大きさを象徴するのか。

直樹が百合に事実を告げに行く辺りは、余計なお世話感も
強かったけど、百合自身が父に会いに来たことで、そんな感じ
も上手く払拭できた感じがする。

冷血漢だと思っていた男も、娘に対する思いだけは忘れなかっ
たという意外には、特に気になるものも無かったが、拘置所
中でもっとも騒がしかった男性の死は、現場の人間ならば、
とても寂しい気分になるかもしれないね。


及川直樹 …… 伊藤淳史 (東京西拘置所、新人刑務官)
渡瀬満 …… ARATA (死刑囚)
沢崎麻美 …… 香椎由宇 (直樹の恋人、東陽新聞記者)
吉岡小春 …… 谷村美月 (犯罪被害者、口がきけない)
望月加奈 …… 木南晴夏 (直樹の同僚、好意を持つ)
藤間貴子 …… 相築あきこ (パパゲーナのママ)
里中和明 …… 戸田昌宏 (刑務官)
後藤了 …… 前川泰之 (刑務官)
谷崎俊幸 …… ベンガル (刑務官)
若林勇三 …… 塩見三省 (刑務官)
星山克博 …… 大倉孝二 (死刑囚)
世古利一 …… 温水洋一 (死刑囚)
深堀圭造 …… 柄本明 (死刑囚)
石峰明 …… 六平直政 (死刑囚)
香西忠伸 …… 中村獅童 (死刑囚、少年3人をリンチ殺人)
笹野武 …… 平田満 (死刑囚)
赤石英一郎 …… 石橋凌 (死刑囚、冤罪)
及川正道 …… 大杉漣 (直樹の父、元拘置所所長)
及川佐和子 …… 市毛良枝 (直樹の母)

田尻勝男 …… 斎藤歩 (渡瀬の両親を殺害)
鈴木刑務官 …… 須田邦裕
前園有歌 …… 内村つぐみ (田尻の娘)
楠見佳子 …… 根岸季衣 (児童養護施設「竹の花園」の園長)

山本憲人 …… 眞島秀和 (直樹の父、死刑判決)
舟木和子 …… 岡本麗 (深掘の妻、現在麻雀店経営、娘・百合)
市村百合 …… 西山繭子 (深堀の娘)
所長 …… なべおさみ

瀬上摩衣、北藤遼、浜野希莉、長谷川遼、木内彩音
江戸松徹、木村拓海

評価：★★★★★★★☆☆☆ (7.0)