モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑因の物語
(2010年10月期テレ東・月22時枠)

脚本 - 羽原大介(1)(2)(4)(6)(7)、旺季志ずか(3)(5)(8)(10)
音楽 - 渡辺俊幸
チーフプロデューサー - 岡部紳二
プロデューサー - 中川順平・森田昇、黒沢淳
監督 - 佐々木章光、古厩智之、村上牧人、山内宗信

http://www.tv-tokyo.co.jp/moriasa/



第10話 たった一人の親友へ最後の……
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満は妹を守るために死んでいく事を知った直樹。
仇討ち殺人によって田尻勝男とその娘を殺害した直樹だったが、
勝男の弟・達男が今度は仇討ちとして、直樹の妹・小春を殺そう
としていたのである。満は、達男に対して自分が死刑になれば
妹を襲わないと誓うかとして、自ら死刑を受け入れていったの
だった。

世古がついに死刑を迎える。
何の前触れもなく命が散っていく。

一方直樹の父・正道は直樹から有ることを頼まれていた。
刑務官時代のつてを辿って、田尻達男の居場所を探せないか
と頼まれていたのである。しかしその甲斐も空しく、居場所は
見つからなかった。直樹にもその事実を伝えるが、例え見つか
ったとしても、達男が脅迫したのを証言するとは思えないとし
再審に持ち込むのは無理だろうと語る。

直樹はその事を満にも報告する。直樹は小春のためにも生きて
ここから出ることを考えないと、このままでは本当に死刑に
なってしまうという。

何も出来ないまま半年が過ぎる。
直樹は満の世話からも外されていた。
そんな中、満は教誨を受けたいと申し出る。その教誨師として
及川に頼みたい事を言われたという。ちゃんとした教誨師の方
が良いのではないか?とするが、救いを求めているのならば
及川に頼みたいと若林は告げる。

満は自分の心情を素直に告白する。
直樹によって救われたこと。正直判決を受け入れるのが怖かった
が、あの運動場でシャドーピッチングをした事で不思議に気持ち
が落ち着いたこと。それ以降直樹が居るとホッとする様にな
ったという。自分のことを分かってくれる人に全て話したい
と思ったこと。生きていたことを誰から覚えておいて欲しいと
し、それが直樹だという。死刑を免れる事が出来ると聞いて
気持ちが揺らぎ、直樹を遠ざけたが、再審請求すればアイツは
小春の命を奪うだろうという。信念をもって俺が死刑になるの
を待っているはずだという。俺の仇討ちのせいで小春の人生を
終わらせる事は出来ないという。直樹は今度はボクが君を守る
として優しく包み込む。

それからの満は明るくなった。
直樹は野球の話を行う。すると満はまたボールが欲しい事を
告げ、今後は直樹のことを名前で呼ぶという。

直樹と満の関係を見守ってきた加奈は、直樹の凄さを賞賛する。
私が入り込む余地がないことが分かったとし、男の友情って
良いですねという。

そんな中、若林は世古の残した美術品を寺に寄贈し供養して
もらおうという。貼り絵の裏には世古の残した遺書が貼り付け
て有ったことを語る。

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満は自ら死にたいと願うのではなく、小春を殺すと脅され仕方
無く死を選ぼうとしていた事を知る。直樹はなんとか、脅した
相手である田尻達男を探すも見つからず、やがて彼が亡くなっ
た事を知る。

最終話はまさにこのドラマのテーマとして描かれて来た、人が
人を裁く事への是非について考えさせられる内容だった。

そんな是非を問いながらも、直樹が満の事に対して、自らの
判断で彼はまだ反省していないとし、死刑を受け入れるべき
だとする所に一定の違和感は有るけれど、概してドラマでは
上手く構成された内容だった。

これまでの満の入所からの気持ちの変化が自らの口から語られ
た事で、総集編の様な作りではあったけど、最終話に於いても
満の気持ちの変化している事態が訪れ、その都度対応に苦慮して
行く様子が描かれる。

直樹が本気で達男の事を探したいのならば、別の方法も有る
様な気がしたけど、人の命をこの世から抹消させる行為を
考えるのならば、直樹がしているくらいの行動はしても良い
のではないかという気がする。
ドラマでは直樹ばかりに負担のかかるものだったし、あまり
死刑囚に肩入れすることへの警鐘なども描かれていたために、
その辺のバランスは難しい物があるのだろうな。
刑務官とは別の組織として直樹のような行動を起こす人物を
法的に存在させるというのも、一つの手なのかなと思う。

それにしても今期の月曜日のドラマの質は高かったな。
正直このドラマの内容を見ても一般受けするような内容ではない
けど、視聴者に投げかける物は大きかったと思う。

及川直樹 …… 伊藤淳史 (東京西拘置所、新人刑務官)
渡瀬満 …… ARATA (死刑囚)
沢崎麻美 …… 香椎由宇 (直樹の恋人、東陽新聞記者)
吉岡小春 …… 谷村美月 (犯罪被害者、口がきけない)
望月加奈 …… 木南晴夏 (直樹の同僚、好意を持つ)
藤間貴子 …… 相築あきこ (パパゲーナのママ)
里中和明 …… 戸田昌宏 (刑務官)
後藤了 …… 前川泰之 (刑務官)
谷崎俊幸 …… ベンガル (刑務官)
若林勇三 …… 塩見三省 (刑務官)
星山克博 …… 大倉孝二 (死刑囚)
世古利一 …… 温水洋一 (死刑囚)
深堀圭造 …… 柄本明 (死刑囚)
石峰明 …… 六平直政 (死刑囚)
香西忠伸 …… 中村獅童 (死刑囚、少年3人をリンチ殺人)
笹野武 …… 平田満 (死刑囚)
赤石英一郎 …… 石橋凌 (死刑囚、冤罪)
及川正道 …… 大杉漣 (直樹の父、元拘置所所長)
及川佐和子 …… 市毛良枝 (直樹の母)

田尻勝男 …… 斎藤歩 (渡瀬の両親を殺害)
鈴木刑務官 …… 須田邦裕
前園有歌 …… 内村つぐみ (田尻の娘)
田尻達男 …… 井坂俊哉 (勝男の弟)

鳴海剛、長谷川遼、北藤遼、田島俊弥、小西風優、池口十兵衛、岡田卓也、浦島三太朗、三島ゆたか、白須慶子、椿直、泉大智、小川真育、寺坂尚呂己、山下征彦、手代木宇


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

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