泣かないと決めた日
(フジ/2010年・1月期・火21)

脚本/渡辺千穂
演出/石川淳一、城宝秀則
プロデュース/橋本芙美(共同テレビ)
企画/瀧山麻土香、太田大(フジテレビ)
音楽/菅野祐悟

http://wwwz.fujitv.co.jp/nakanai/index.html


第5話 仁義なき社恋

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美樹を装いblogに先輩の悪口を書くモノの存在のお陰で、仕事
に初めて楽しさを感じた美樹だったが、見事に打ち砕かれる。
顔の見えない誰かの悪意は美樹の心を奮わせる。

美樹は他の社員達から退職届を突きつけられてここには居場所
が無いと感じ、届け出に署名しようとする。しかしそこで母・
紘子から電話が鳴る。銀行を確認したら美樹が初任給で仕送り
してくれた事に感謝を示すと共に大切に使わせて貰う事を言わ
れ、彼女は退職届に記入するのを書くのを辞める。

翌日朝のミーティングの時に美樹が出社してきた事に驚いた
社員達は口々に"しぶとい"、"辞めないという事なのか"と陰口
を叩く。美樹はそれ以来耳鳴りがするようになっていく。

その頃、葵井商事では遺伝子組み換え大豆の件で社長と坂東が
失脚し、副社長と安西が変わりに社内での政権を握られる。
それを知った仲原は、データを盗んでこいと指示した安西の元
を訪れるが、圭子からは出張で明日まで戻ってこない事を言わ
れる。

美樹は耳鳴りがする中、仲原に電話し彼の部屋で逢うことにな
る。仲原からは自分も逢いたかったと言われ、今後はいつでも
来られるようにと合い鍵を受け取る。いつでも来て良いと言わ
れ気をよくした美樹は、思い切って心のウチを告白する。
一緒にいたいと言ってくれた事は何が有っても変わらないか?
と確認した上で、会社を辞めようと思っている事。自分の居場所
が無く自分らしく居られない事を告げると、仲原はそんな彼女
に呆れ返る。誰だって悩みを抱えているし、これで良いのかと
自問自答しているものだと。前向きで一生懸命に頑張っている
美樹が好きだと言われ、美樹は立場を失う。

帰宅すると美樹の妹・愛はこのまま退学しようと思うという。
自分の事は自分でしたいこと。治療費の件で姉に負担をかけたく
ないし、今の友達とは学年が変わって溝が出てくるという。
しかし美樹は愛の治療費の件で迷惑だと思ったことは無いとして
あせらないよう告げるが、私の気持ちなんて分からないとして
背を向けてしまう。

翌日美樹は万里香に相談する。仲原には現状を相談することは
出来無いという彼女。彼の前では元気な姿で居たいことを
告げる。
そんな中、遺伝子組み換え大豆の事がマスコミにリークされて
社内は騒然とする。正式に坂東らが失脚し国民の前で謝罪。
社内にはクレームの電話対応マニュアルが配られ、ひっきりなし
に掛かってくる電話の対応に負われる。

マネージャー会議が行われるとする梅沢だが、有希子には参加
しなくても良いと言われ、変わりに鈴木が呼ばれる。

仲原は出社する安西の前に躍り出るが、彼はデータの件はシラを
切るのだった。

そんな中、万里香の元に怪しいメールが届く。
そのメールを開いてみると、万里香が先日の財布騒動で彼女が
オフィスに忍び寄り美樹のバッグに早苗の財布を入れた所が
バッチリ映っていたのである。田沢はトイレで万里香が焦る様子
を見て楽しむが、万里香はすぐに監視カメラの場所を見つけて
カメラの前で訴える。私達は良い友達になれそうですねと。
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新入社員の美樹は同じ職場の仲間や上司からイジメを受ける中、
上層部でも争いという名の化かし合いの末、ついには自殺する
ものの存在が明らかになる。

こういっては何だけど、未来の象徴でもある坂東雅之の自殺と
いう事実は、この先会社に所属する限りは永遠とそんな呪縛から
は逃れられない事を示唆しているようで、なんとも複雑なもの
を感じるエピソードだった。

ドラマとしてはなんといっても万里香の存在感が最前列に踊り
出たことだろうか。
美樹のことを影でイジメ続けていた万里香にも弱点を握られた
事で、その攻勢も少しは弱まる物かと期待するも、それを上回る
だけの展開が用意され、よりパワーアップする彼女の姿があった。
盗撮男・田沢とのやりとりはとても興味深い物があったし、
そのイニシアチブを奪い合う様は上手く演出されていた。

今回の美樹はある意味では落ち着いたものだった。
いつもオフィスになど居ないで、現場周りする状況であれば
社員達からの不要なイジメには遭遇しないのではないか。

西島が全てを美樹の責任にして大豆を投げつける訳だが、お前
も社員だろうと小一時間。自分の与えられた仕事しかしようと
しない食品会社がよく大手だと言っていられるなと思う。

美樹は何度もくじけそうになるが、その都度母親の存在だった
り、仲原の存在を挿入することで働く意義を見つけている。
美樹を支える命綱の一つである仲原を失いかける話だが、予告
を見ると桐野が上手くフォローする様だ。

職場に於ける支えとしての桐野の存在感と私生活に於ける支え
としての仲原の存在感の二人の男性陣が並列的関係を維持して
いて、美樹にとってどちらが必要な人物なのか見比べてみるのも
実に興味深いもの。見方を変えれば一人失っても別のもう一人
が居るという逃げ道の用意されたシナリオでは有る。

姉妹としても関係もイマイチ上手く行かない中で、四面楚歌の
ような状態の美樹がどのように光明を見つけ出していくのか。

角田美樹 …… 榮倉奈々 (22歳、葵井商事・新入社員・食品)
角田愛 …… 川口春奈 (16歳、妹・高校2年生)
桐野征治 …… 藤木直人 (葵井商事・統括マネージャー)
仲原翔太 …… 要潤 (28歳・葵井商事・経営企画部)
立花万里香 …… 杏 (22歳、葵井商事・新入社員・ワインチーム)

梅沢 仁 …… 段田安則 (葵井商事・部長)
佐野有希子 …… 木村佳乃 (葵井商事・食品チームリーダー)

食品チーム
西島賢治 …… 五十嵐隼士 (葵井商事)
田沢佳人 …… 長谷川純 (葵井商事・美樹に監視カメラ)
藤田千秋 …… 片瀬那奈 (葵井商事)
栗田琴美 …… 紺野まひる (葵井商事、夫からDV?)
白石杏子 …… 有坂来瞳 (葵井商事)
工藤早苗 …… 町田マリー (葵井商事)

ワインチーム
鈴木慶介 …… 内田滋 (葵井商事)
井上誠 …… 田島優成 (葵井商事)
林田美穂 …… 河井青葉 (葵井商事)
水田舞 …… 田中えみ (葵井商事)

小松亮介 …… 山田明郷 (東法大学病院・主治医)
坂東雅之 …… 中原丈雄 (生活産業本部統括本部長)
安西誠 …… 升毅 (経営企画本部本部長)

小出ミカ、森富士夫、北見誠、井上浩、祖父江進、山本直輝
三上哲、芽夢ちさと、鹿出俊之輔、加藤千安樹、武井秀哲
本田清澄、川口りさ、水上雅人、立田智美、上川かおり


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