夏の恋は虹色に輝く
(2010年7月期・フジ月曜21時枠)

脚本:大森美香
プロデューサー:三竿玲子
演出:澤田鎌作、小原一隆

http://www.fujitv.co.jp/natsuniji/index.html


第8話 海に誓う約束
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桜から北村のことを忘れさせてあげるとして、大雅にキスを
迫る彼女。しかし寸前の所で大雅は我に返り、何をしているの
かとして離れる。桜は悪びれた様子も見せず、あとちょっと
だったのにと告げる。これだから女優は怖いという大雅は、
誘うような目で危うく飲み込まれそうになったこと、貞操の
危機だった事を告げる。キスなんて演技の練習だと思ってすれ
ば良いとする桜に対して、そういう安売りは駄目だという。

桜は大雅と詩織の関係を尋ねるが、現在は片思い以下の状態で
有り、もっと自分に自信が欲しいのだと告げる。
大雅はハッと気がつき、桜がこの前の夜自分の事を好きだと
言ったのも演技だったのかとして、大人をからかうなと告げる。

詩織の亡くなった夫・勇樹の弟・春樹は、様子を見に福岡から
上京する。朝、ご機嫌な海からその理由を尋ねると、誕生日会
をしてもらった事を告げる。大雅に誕生日の歌まで歌ってもら
ったという。大雅とは誰なのか?と尋ねると、海ではなく詩織
が慌てて説明する。なんか不自然だと指摘される。

春樹は詩織に対して時々兄のことを忘れないか?と尋ねる。
自分がそうだという春樹は時々忘れそうになる事を告げる。
わずか8年の歳月。当時は普通に生活を送れる日が来るなんて
夢にも思わなかったという。でもこれが自然な事なのかもしれ
ないと告げる。春樹は上京してきた理由を語る。母親から
引っ越ししたくない理由は、東京に恋人でも居るのではないか
というもの。春樹は恋しても再婚しても良いと思うことを告げ
誰かそういう人は居ないのかと告げる。そんな彼女は、先日
海のために歌を歌ってくれた大雅の事を思い浮かべていた。

演劇のワークショップに参加する大雅と譲。
主催するのは有名な演出家・有栖川正志だった。助手をして
いる中川から、参加している俳優達にまずは掃除をしろと
告げられる。

一方大雅の事務所では、航太郎が使っていた手ぬぐいを大雅
に手渡すのを忘れていたという。詩織はそれを聞いて郵便局の
ついでに届けて来るという。郵便局とワークショップをしている
大井町とは随分と距離が有ると不思議がるスタッフだが、桜は
どうした事かと鋭い視線を向ける。

詩織が練習所に来ると、大雅たちは"掃除鬼ごっこ"の練習を
していた。中川によるとこれをすることで、その人のスキル
や性格が分かるのだという。そんな中、大雅に対して有栖川は
動きが鈍いと指摘。言い訳しようとする大雅にそんな事は聞き
たく無いと突っぱね、頭ばかりで考えるからだと告げる。お前
の様な役者は一番嫌いであり、同様の役者は五万と居るので
さっさと辞めろと厳しく当たる。しかし大雅は頑張りますと
告げ食らいついていく。

休憩時間に大雅のバッグの中に、父の手ぬぐいが入っている
事に気がつく。中川によると事務所の人が先ほど届けにきた
という。手ぬぐいにはメモが挟まれており、代わりの居ない
役者になってくださいと励ましの言葉が書かれていた。
大雅は改めて気合いを入れ直すのだった。

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詩織から大雅との関係に於いてこれ以上の発展性はないとされる
も、そんな言葉とは裏腹に、彼女は大雅に対して優しい態度を
見せ始める。果たしてそんな彼女の意図は何なのか。

"単純"な男性にとって、女性の心知らずという展開が用意され
るが、これまで大雅がコツコツと築き上げてきた誠実性が
上手く実を結んでいく内容で、とても上手く表現されている。

人の気持ちなど行ったり着たりで、ましてや幸せ絶頂の中に
いた詩織が夫を亡くした事で、自分の気持ちに戸惑ってしまう
所などこのドラマの面白い部分である。

夫の死を目の前にして、もう誰とも恋愛などしないと誓った
詩織では有るが、そんな大それた決意をした過去とは違い、
どんな人であれ未来を予言し、決めつけて行動が出来る筈も
なく、人の感情というモノは、時として流されやすいモノで
あり、人との関係性の中で育んでいくモノであると感じる。

今回、大雅が演劇の練習のために事務所に寄りつかなくという
状況が上手く設定され、詩織自身に自分の気持ちと向き合う
機会を提供したと思う。

以前には詩織が帰省したことで大雅にそんな気持ちと向き合わ
させる機会を与えたのとは対象的に今度は、詩織側にもそんな
機会を与えた。そういう意味ではとてもバランスのとれた
内容である。

今回は春樹の存在が、面白く男性陣の不安をかき立て、視聴者
にも最後の難敵として現れたのではないかと思わせるが、
とても誠実な人だったのでよかった。このドラマの中の登場
人物は、芸能界というアメージングな世界が関わっているにも
関わらず嫌な人物が出てこないところが好感が持てるな。

今回、詩織と大雅が最後に絡み合うシーンはとても印象に残る
もの。
優しくされたら自分の事が好きなのではないかと勘違いして
しまうという事をわざわざ相手に伝える辺り、大雅の性格が
よく出ているし、そんな彼に対してバカだと告げる詩織の態度
はとても可愛らしく、その辺の可愛らしい仕草はやっぱり
竹内結子さんらしいものが有ったなと思う。


楠大雅 …… 松本潤 (26歳、次男)
北村詩織 …… 竹内結子 (30歳、子持ち)
楠大貴 …… 沢村一樹 (35歳、長男)
宮瀬桜 …… 桐谷美玲 (22歳、芸能人)
植野慶太 …… 笠原秀幸 (25歳、二世タレント)
伊良部譲 …… 永山絢斗 (26歳、実力派俳優)
青木久雄 …… 松重豊 (42歳、事務所)
楠航太郎 …… 伊東四朗 (65歳、名俳優)
楠真知子 …… 松坂慶子 (55歳、妻)

鳩間新市 …… 小倉一郎 (事務所)
志賀光治 …… 大下源一郎 (事務所)
山本とし子 …… 猫田直 (楠家のお手伝い)
北村海 …… 小林星蘭 (詩織の娘)
野崎佳奈 …… 小松彩夏 (副担任)
三池蒼空 …… 井上瑞稀 (上級生)
陽菜 …… 春日香音 (海の同級生)
太郎 …… 中西龍雅 (海の同級生)
鳥山 …… やべけんじ (学童の先生)
曽我部 …… 本田清澄 (大貴の学校の教師)

北村君江 …… 市毛良枝 (母)
北村春樹 …… 塚本高史 (次男、仲代税理士事務所勤務)
有栖川正志 …… 石橋蓮司 (演出家)
中川 …… 相島一之 (有栖川の補佐)

山崎大輔、加門良


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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