黄金の豚 -会計検査庁 特別調査課-
(2010年10月期、日テレ水曜22時枠)

脚本:吉田智子、山崎淳也
演出:佐藤東弥、南雲聖一
プロデューサー:大倉寛子、内山雅博
シニアチーフクリエイター・プロデューサー:櫨山裕子

http://www.ntv.co.jp/buta/


第6話 美人教授の虚飾に喝
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一郎は先日の内偵の際にキャバラで使った金が経費として
おりなかったとして芯子に、金を返して欲しいという。しかし
芯子はあんたから一円ももらっていないという。プレゼントは
勝手に一郎が買った物で、デート代は普通男性が払うものだと
いう。しかし兄の入院費として10万円貸した事もあるだろう
とするが、芯子はこれ以上二人の綺麗な思い出を壊さないで
として、話をごまかす。

そんな中、一郎に電話が鳴ると上司から、明珍の変わりに
一郎が課長補佐に昇格したことが告げられる。一郎は金田や
工藤にもその事実を伝え、一応肩書きとして昇格したが今まで
の仕事が変わるわけではない事を告げる。

金田が書類を調査していると、大学の科研費の支出の全てが
アルバイトに支払っているとする報告書を目にする。大学の
科研費は4兆円にもなる巨額の税金の投資。書類は
東京国立大
学・遺伝子工学
の教授・響ゆかりの研究室のものだった。
工藤の母校であり、響ゼミは世間的にもとても有名なところ。
現在では遺伝子界のホープとして期待されていた。ゆかり本人
も、綺麗であり性格も申し分ない。雑誌では総理大臣・
樫永
慎一郎
と対談している姿が取り上げられていた。

響ゼミがある大学の研究棟へと足を運ぶ。
芯子たちは教授の事について尋ねると、生意気そうな学生達が
ゆかりの研究を誉める。しかし人柄について誉める人がいない
事に違和感を感じる。そこにゆかりがやってくると、生徒達は
優秀すぎて世間知らずで生意気な所が有るとして、ゼミ生の
粗相を謝罪する。
ゆかりは全て領収書などを芯子たちに提出する。するとアルバ
イト代として支払っているのは、殆ど5人の生徒だと判明する。
彼らは
響ファイブ(赤木秀一、黒井直人、白田博、青山和樹、
緑川達也)
と呼ばれる人物で、ゼミ生の中でも優秀なので自然
と彼らに仕事を頼むことが多くなっている事を告げる。

そんな中資料を持って帰宅しようとしていたところ、
栗田正彦
という研究者から声を掛けられる。
科研費は別名宝くじ研究費と言われており、それを得るには
1/300の競争率が有るという。しかしゆかりの元には、1億円の
科研費が年間3度も支給されているとし、毎年そんな費用をもら
っても使い切れていないはずだという。栗田はトランスゲノム
というベンチャー企業を調べてみろと告げる。

村瀬から工藤に電話が入っていると報告がある。電話は久留米
からのもので、忘れ物を届けて欲しいとの事。指定された
料亭に足を運ぶと、そこにはなんと総理大臣・樫永と会食して
いる姿があった。折角だから同席しなさいと言われ、樫永も
工藤の功績を聞いて是非おつきあいをしたいと告げる。
工藤は響の事を知っているか?と尋ねると、資源のない日本には
絶対に必要な科学者で、近いうちに自分の知恵袋として活躍
してもらうという。

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芯子たちは100億円以上の価値のあるとされる研究をしている
遺伝子工学の教授・響ゆかりのゼミにメスを入れる。
国からの補助金である科研費を貯め込んでいるであろう彼女
はどのような方法でその金を貯め込んでいるのか。

巨額の税金の使い道の割に、ハッキリとした定義も査定なく、
無駄な形で市民の金が流れている事を描いた話だった。

工藤は国益を考えるあまり、捜査に及び腰であり、
金田はなんとか一郎のためにも手柄をたてようとする。
一郎は部下達に危害が及ばないためにも、これ以上の捜査の
継続を辞めようとするもの。
それぞれの思惑の違いによって足並みが乱れて、勇み足になって
しまう所もあるが、今回リーダーとなった一郎の決断によって
展開を引っ張っていく。

研究自体に嘘はなく、そして国益に繋がる可能性が有るにしても
国の資金の投入の仕方に問題があり、その問題を修正すべく、
研究員に不正をはたらかせてしまった感じの話だった。

国家への非難色の強い内容だからか、犯罪を犯した研究員に対
する指摘は必要最低限だった感じもするし、正直特別調査課が
鋭い視線で捜査しているという感覚もまるでない。

結局芯子の存在は、貧乏人の習性を知った上でたまりの有る
場所を特定していくところであるが、こんな複雑な経路や手順
を踏まなくとも解決出来そうな感じに見えるところが、この
ドラマの辛い点だ。今まで散々尾行していたのに、億単位の金
を運ぶところだけ見ていないというのも少々苦しいものがある。

ドラマ自体が上手く描かれていないと、恋愛要素は実に寒く
写る所があるかな。


堤芯子 …… 篠原涼子 (37、会計調査庁・特別調査課・調査官)
工藤優 …… 岡田将生 (23、特別調査課・調査官補)
角松一郎 …… 大泉洋 (37、特別調査課・主任)
金田鉄男 …… 桐谷健太 (31、特別調査課・調査官)
茶々万史郎 …… 近藤芳正 (特別調査課・検査官)
芦田隆一 …… 山崎大輔 (特別調査課・検査官)
明珍郁夫 …… 生瀬勝久 (45、特別調査課・課長補佐)
久留米勲 …… 宇津井健 (58、特別調査課・検査官)

梅ちゃん …… 矢沢心 (キャバクラ「年増園」)
マリリン …… 能世あんな (キャバクラ「年増園」)
堤啄子 …… もたいまさこ (58、芯子の母)
堤みぞれ …… 山口紗弥加 (32、芯子の妹)

小柳心、三村恭代、吉田桂子、井川哲也、稲葉大助、甲斐秀雄
五位野隆雄、小嶋マコト、関野昌敏、錦田茂仁、比佐仁
藤井宏之、藤本悠輔、吉田宗洋、紺野彩夏、延命杏咲実
木村啓介


響ゆかり …… 鈴木砂羽 (東京国立大学理工学部・教授)
樫永慎一郎 …… 伊武雅刀 (内閣総理大臣)
栗田正彦 …… 袴田吉彦 (東京国立大学理工学部・教授)
赤木秀一 …… 菊田大輔 (響ゼミの学生)
黒井直人 …… 鈴木身来 (響ゼミの学生)
白田博 …… 永岡卓也 (響ゼミの学生)
青山和樹 …… 標永久 (響ゼミの学生)
緑川達也 …… 春日由輝 (響ゼミの学生)
桂 …… 加藤満 (わかば銀行・支店長)
弁護士 …… 野村信次

兎本有紀、伊藤玻羅馬、大村学、辻岡義堂(日本テレビ)


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