黄金の豚 -会計検査庁 特別調査課-
(2010年10月期、日テレ水曜22時枠)

脚本:吉田智子、山崎淳也
演出:佐藤東弥、南雲聖一
プロデューサー:大倉寛子、内山雅博
シニアチーフクリエイター・プロデューサー:櫨山裕子

http://www.ntv.co.jp/buta/


第8話 裏切りの最終決戦へ
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工藤の告白に対して、私は仮釈放中の詐欺師だと語った芯子。
一方工藤は久留米に呼び出され話を聞くと、総理は若くて見栄
えの良い秘書官を欲しがっているとし、工藤に白羽の矢が当た
ったという。
総理の元に、会計調査庁の堤芯子は詐欺師だとの怪文書が送ら
れており、今にもその怪文書が警察に回されようとしている事。
久留米は自分が芯子を引き抜いたことを告げ、会計調査庁には
恐れを知らない無法者が必要だった事を語る。そんな彼女の
お陰で現在までに15億円の不正を潰してこられたことを語り、
総理は工藤が来てくれたら、この怪文書はもみ消してくれると
言ってくれている事を説明する。

その頃、明珍は鈍器で殴られ病院に運ばれていた。その姿を
茶々調査官は見ていた。

工藤は異動が決まり、
樫永総理の秘書官になる。
総理は早速工藤に自分のスケジュール管理を任せることになる。
テレビで工藤が総理の付き人として帯同する姿を見て、堤家
ではこんなに立派になったらもう、この家にも来てくれないかも
知れないねと呟く。芯子はあんな奴の箸や茶碗は、片付ければ
良いと語る。

工藤が異動したことは会計調査庁でも発表される。
特別調査課の仲間たちは、何処にいても工藤は工藤で変わらない
と告げる。
一方そんな中、角松の元に久留米がやってくる。久留米は一つ
緊急に調べて欲しい物件があるという。それは
ODA(政府開発援
助)の一つ、タマリア援助
の事だった。20年間、食料や医療の
支援を年間3億ドルずつ行っているというもの。

タマリア支援プロジェクト20周年記念式典に芯子たち特別調査
課は訪れる。そこで工藤が総理のスケジュール管理をしている
姿を目撃。総理に会えるかどうかはあいつ次第という重要な
役職だという。
芯子は工藤がやってくると、挨拶もなしに居なくなる奴が有る
かと告げる。最近は毎朝総理公邸で朝食を取るために堤家には
行けないという。援助物資に関しては毎年総理自らが決めて
いることを聞く。
そんな中、記念式典に総理自ら挨拶のため現れ、
ブタと一緒に
登場する。今年は生きたブタをタマリアに送るとのことだった。

工藤は会計調査庁に総理の広報官としてやってくる。
芯子達はこの支援プロジェクトに関する疑問の全てを彼にぶつ
ける。何故豚肉ではなく生きたブタなのか?台湾のブタを一度
日本に輸入するのは何故なのか。工藤はそれぞれ自発的な発展
を促すため、そして日本の基準をパスしたブタを送るためだと
いう。毎年送っているブタは、現地で食べられたり盗まれたり
して、6割が居なくなってしまうとの事だった。支援額は総額
3億ドル。現在の為替では日本円にして252億円との事だった。
工藤は何でも疑問が有れば言ってくれとし、自分はあくまで中立
的立場であることを強調する。

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工藤は総理に気に入られ、久留米の推薦もあって突然会計調査
庁から、総理の秘書官に任命される。
工藤は何処にいても工藤だとして、仲間達は暖かく彼の異動を
見守るが、特別調査課では総理が主導しているODAの事業に
メスを入れる事になる。

数話前から工藤と芯子の考え方の違いが明らかになり、互いの
正義が違うことが明らかになりつつあったので、工藤が総理
側の考え方を持つ事もそんなに意外な展開でもなかった。

そもそも総理が語っている通りに、不正を暴く仕事と、国を
動かすものの立場の違いが、互いに自分の求める正義に違い
が出るのも当然だろうし、それぞれを貫いていくのも当然なの
かなと思う。

ドラマとしては冒頭からこの違いを描いていく段取りの方が
絶対に面白いはずであり、そういう意味では一話読み切りの
様な形で、不正を暴いていくというやり方は、少々安っぽい
ドラマだったのかなと思う。

大義のためには犠牲にすべきものが有るとの事で、ドラマとして
はありがちな葛藤を持ち込むが、総理を悪く描きすぎずに、
寧ろ相手の主張も捨てがたいくらいの内容を用意して、互いに
意見をぶつけて欲しかったと思う。結局大義を持ち出すも、
この展開だと総理の身勝手なエゴにしか非ず、明珍に対する
暴行も含めて勧善懲悪な構図ができあがってしまっている所
は、安易なやり口だなとしか考えられないものが有った。

久留米の存在ももう少し冒頭から怪しく描かれると面白かった
のかも。終盤久留米のやり方にブレが有るのではないか?と
思わせる部分は、ドラマとして興味深い展開だったし、久留米
自身が総理側の人間ではないか?と視聴者に騙すことが出来れば
今回判明した久留米の意図が面白く写ったと思う。

しかし円高差益でこれだけの利益を生んでしまうというのは
素晴らしいですな。国としてもそれで利益運用している所は
有るのだろうけど、なんとか国として利益を生んで、日本の
借金が少しでも減ると良いんだけどね。


堤芯子 …… 篠原涼子 (37、会計調査庁・特別調査課・調査官)
工藤優 …… 岡田将生 (23、特別調査課・調査官補)
角松一郎 …… 大泉洋 (37、特別調査課・主任)
金田鉄男 …… 桐谷健太 (31、特別調査課・調査官)
茶々万史郎 …… 近藤芳正 (特別調査課・検査官)
芦田隆一 …… 山崎大輔 (特別調査課・検査官)
明珍郁夫 …… 生瀬勝久 (45、特別調査課・課長補佐)
久留米勲 …… 宇津井健 (58、特別調査課・検査官)

梅ちゃん …… 矢沢心 (キャバクラ「年増園」)
マリリン …… 能世あんな (キャバクラ「年増園」)
堤啄子 …… もたいまさこ (58、芯子の母)
堤みぞれ …… 山口紗弥加 (32、芯子の妹)

小柳心、三村恭代、吉田桂子、井川哲也、稲葉大助、甲斐秀雄
五位野隆雄、小嶋マコト、関野昌敏、錦田茂仁、比佐仁
藤井宏之、藤本悠輔、吉田宗洋、紺野彩夏、延命杏咲実
木村啓介


樫永慎一郎 …… 伊武雅刀 (内閣総理大臣)

山田洋、檀臣幸、長棟嘉道、吉田祐健、神崎智孝、本田清澄
古川勝雄、井筒大介、藤原正和、峰剛一


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