パンドラII 飢餓列島

脚本:井上由美子
プロデューサ:青木泰憲、小椋久雄
監督:河毛俊作、小林義則
音楽:佐藤直紀

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第7話
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護は医師から脳だけが老化している事を告げられる。
医学が発達した今でも脳のことについては分からない事が多い
とされ、萎縮が続けば半年後には記憶が消えるかも知れないと
の事だった。しかし破壊ばかりでなく、脳は創造も起こってい
るので諦めないで欲しいと言われる。護は医師に、この事は
内密にと頼む。

護は過去の実験データを調べていく。

一方周子と太刀川は飲みながら、この流れは誰にも止められない
事を告げる。護は政府の指揮下に入り、思い通りの開発が出来る
というもの。しかも周子は一課の刑事ではなくなったという。
しかし太刀川は護のこと自身を追うのが恐くなったのではないか
と告げる。護に個人的な感情を抱いたのだろうと。

ゴッドコーンはあと一ヶ月で一号が出荷される。

川久保は吉良と逢う。川久保家に伝わる名刀・村正を見せて
誇りを汚されたら必ずやり返すものだと告げる。

一号苗の成長は問題なく進んでいるという大倉。しかし護は
大倉に、過去のデータを参照すると、ラット1000匹に対して3匹
の行動パターンに異変が出ている事を指摘する。何故こんな
重大なことを報告しなかったのか。大倉は報告するレベルでは
無かったと告げる。しかし護は、現在自分の身に起きている事
を話す。脳が萎縮している事。コーンが原因なんて有り得ない
という大倉は、自分もコーンを食べたという。生み出した物
として自ら追及していかねばならないことを護は呟く。
二人のやりとりは詩織は聞いていた。

護は生育場所に行きコーンの成長を見に行く。
大倉はボクはコーンの事を信じていると呟く。

その頃周子は、科捜研の熊谷の元にいき刑事を辞めることを
呟く。どうして辞めようとしたのかと問われ、一人の焼死体を
暴くことも出来ず、二人の女性の死を招いてしまった事を告げる。
しかし熊谷から、万年筆から検出された皮膚片のことを聞かさ
れる。張際雄という中国人の犯罪者で現在逃亡中だという。
何で今になって言うのかと問うと、政治的圧力が掛かっていた
事。しかしそれでもやっぱり刑事だったという事だと告げる。

吉良は張の元に行くと、一億円を渡すので殺して欲しい人物が
居ることを告げる。鈴木さえ居なくなればデータの価値は格段
に上がるというのである。政治家の中にも反鈴木派が居るので
例え逮捕されても助けることを約束するが、張は偉い人ほど
簡単に約束を破ると呟く。

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護は脳に萎縮が起こっていることを知り、過去の検査データ
を調べていくと、1000匹の内3匹のネズミに行動の異常が見つ
かっていた事が分かる。既に食料生産庁が新設されるという中、
プロジェクトを止めることは出来るのか。

コーン開発を巡って、護がしてきたことは果たして何なのか。
飢餓を救うという崇高な目的を持つ護に対して、何故神は
そんなにも彼に酷い仕打ちをするのか。

結果的に開発に関わった殆どの人物は死をもって清算されると
いう展開が用意された。
護自身も亡くなることはないものの、記憶が薄れていくという
事で実質的にはそんな意味合いも有るのだろうか。

コーンの騒動を巡って、国民に食料とは何なのかを考える機会
を与えたことで一定の成果と見る向きは有るけれど、コーンの
開発自身が問題を提起したのか、それとも飢餓という現実が
明らかになった事で国民が意識し始めたものか、その辺は曖昧
な感じもする。

最後の護の演説に説得力があったし、1000に3つの確率という
数字が上手くこのドラマを象徴するワードとなっている。

ただやっぱり鈴木護自身に過失致傷と犯人隠避の容疑をかけて
しまう辺りは少々強引かなという気がしてならない。
強引にでも護自身に、大儀のために少数の犠牲は止む無しとの
との心情を生まれさせないと、1000に3つという言葉自身に
重みが生まれてこない現実もあるので仕方がないのかもしれない。

武藤の扱いが不安定で、どちらに転んでいくのか興味深いもの
が有ったけれど、最終的には護に感化される形で、国民に実態
を語って協力を呼びかけた。この辺に今の政治家に足りないもの
のヒントが隠されているのだろうね。

温水洋一をコメディではなく、シリアスな役で使った辺りは
とても上手い起用の仕方だったし、逆に北村有起哉の迷走して
いるキャラクターがとても面白く映ったな。

護は周子にも詩織にも、そして咲子にも惚れられて、凄いカリ
スマ性を発揮したな。


鈴木護 …… 佐藤浩市 (農学博士)
八木沢周子 …… 鈴木京香 (警視庁捜査一課・班長)
吉良英彦 …… 勝村政信 (キラーズ社)
太刀川春夫 …… 山本耕史 (毎朝新聞記者)
滝口詩織 …… 水川あさみ (英彦の秘書)
張際雄 …… 温水洋一 (殺人)
大倉均 …… 北村有起哉 (護の助手)
平岩徳子 …… 余貴美子 (内閣総理大臣)
武藤忠雄 …… 宅麻伸 (内閣官房長官)
磯田俊介 …… TETSUYA (警視庁捜査一課)
川久保光悦 …… 勝部演之 (農林水産大臣)
今川咲子 …… 霧島れいか (港東大学付属病院)
熊谷治作 …… 半海一晃 (科学研究所)
内海壮太 …… 永倉大輔 (警視庁捜査一課)
水野玲一 …… 小川隆市 (経産大臣)
赤松大作 …… 中平良夫 (外務大臣)

佐野史郎、村松利史

若杉宏二、横尾三郎、大窪晶、篠木幸一、高澤父母道
伊勢田隆弘、伊藤慎、野貴葵、velo武田


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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