臨場2
(2010年4月期・テレ朝水曜21時枠)

原作:横山秀夫(『臨場』光文社文庫)
脚本:坂田義和(1)(2)、原西兼一(3)
監督:藤岡浩二郎(第2シリーズ)、石川一彦(第2シリーズ)
音楽:吉川清之
プロデューサー:佐藤凉一、目黒正之・横塚孝弘


第3話 未来の花

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臨場要請が入る。世田谷区の旭が丘で変死体の男性が見つかった
との事。留美は自分が毎日通ってくる場所だとして不安を覚える。

変死体が見つかったのは、築5年の内田家の2階。
リズム証券に勤める内田寛(35歳)がベッドの上で血を流して
倒れているのを妻・朝子が見つけたもの。胸部に刺切創が二箇所
見つかり、刺し傷を見る限りでは包丁にわるものではないかと
される。しかし刺して抜いた後には必ず出来るハズの滴下血痕
の跡が周りからは検出されなかった。飛沫血痕が検出されている
事から犯行現場であることは明らかで、床を調べていくと容疑者
だと思われる人物は2度一階と二階を行き来しているであろう
足跡が検出される。

直腸検査によると死亡推定時刻は0時から2時までの間。
家族のアリバイとして、妻と息子の隼人は0時過ぎにヒーローシ
ョウを見に行って不在の間に殺された事が分かる。妻によると
財布と包丁が亡くなっているとの事。倉石の見立てでは殺しだ
と告げる。しかし現場に滴下血痕が無いことが疑問に残るという。

倉石は同じく鑑識の尾形に対して、スーパーの広告チラシと
冷蔵庫の食材を証拠写真として撮影しておくよう指示する。

一方妻・朝子の事を3時過ぎに帰宅しているのが近所の人によって
目撃されていた。
現場からは不審な指紋が見つからないこと、これは顔見知りに
よる犯行である可能性が高いという。

そんな中、前川伸二という同僚の男性と二ヶ月前まで家族ぐるみ
の付き合いをしていたことが判明する。しかし二ヶ月前に前川
は会社をリストラされており、夜逃げ同然に消えたという。
内田もリストラ候補だった事を知る。
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一家の主人が包丁を突き刺されて亡くなる。
果たして殺したのは身内の人間なのか。

想像していた展開とは違って、案外あっさりとした殺害の動機
と犯人だった。
個人的には息子が父親を誤って殺害してしまい、妻が隠蔽工作
をしているものだと考えていた。更に所轄の警察官に平山浩行
がクレジットされていたので、彼が偽装工作に手を貸している
のではないかと思わせた。

"彼女は落ち無い。絶対だ。"と倉石が立原に告げるセリフが
有るけれど、子供を守るが故に母親の強さと決断が絡んでいる
のかと思ってしまった。

そういう意味では上手いミスリードの仕方をしていたと思う。

犯行の動機としてはあっさりとしていたが、ドラマとして良く
出来ているのが、妻・内田朝子の心理状況を巧みに演出している
点だ。

冒頭から築5年だとか、パンジーを植えた庭とか、節約食材と
広告のチラシが並んでいたけど、それらのパーツが彼女の心情
と巧みにリンクしていたり、息子と言ったショウでの彼女の態度
やセリフが、上手く彼女の潔白さだったり、逆に腹黒さを
浮かび上がらせるなど、上手い見せ方ではあると思う。

立原にしては珍しく被害者に肩入れして起訴する事を辞めたな
と思う。

ドラマ性と同時に、このドラマの特徴でもある現場に残された
証拠から上手く真相を導き出していくとする展開が見事に合致
した話だった。


倉石義男 …… 内野聖陽 (45・鑑識課・検死官)
小坂留美 …… 松下由樹 (38・鑑識課・検死補助官)
立原真澄 …… 高嶋政伸 (45・捜査一課・管理官)
一ノ瀬和之 …… 渡辺大 (32・鑑識課・検死官心得)
小松崎周一 …… 伊武雅刀 (60・刑事部・刑事部長)
坂東治久 …… 隆大介 (52・捜査一課)
五代恵一 …… 益岡徹
江川康平 …… 辻谷嘉真 (31・捜査一課)
早坂真里子 …… 伊藤裕子 (38・雪絵の妹。バー「かくれんぼ」)

上川路啓志、八巻博史、おのさなえ、石原茂史、櫻井麻樹
津阪雄一

内田朝子 …… 中原果南 (妻)
内田寛 …… 戸田昌宏 (夫、鬱気味)
前川富江 …… 池津祥子 (内田家とは家族ぐるみの付き合いだった)
永嶋武文 …… 平山浩行 (世田谷南署・警察官)

深沢さやか、長谷川公彦、征矢かおる、竹内飛鳥、中西龍雄
今本洋子、西山一郎


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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