臨場2
(2010年4月期・テレ朝水曜21時枠)

原作:横山秀夫(『臨場』光文社文庫)
脚本:坂田義和(1)(2)(6)(10)、尾西兼一(3)(5)(7)(9)
佐伯俊道(4)、吉本昌弘(8)
監督:藤岡浩二郎(第2シリーズ)、石川一彦(第2シリーズ)
音楽:吉川清之
プロデューサー:佐藤凉一、目黒正之・横塚孝弘

http://www.tv-asahi.co.jp/rinjo/


第10話 最終章・渾身前編〜停止した時間
--------------------------------------------------------
女子高生が中野のえばしビルから落下して亡くなる。
亡くなったのは皆川美咲(16歳)・頭蓋骨骨折、辺縁性の出血。
倉石は自殺だと告げる。そんな中、橋田刑事が、自殺した美咲
の両親、修二と容子を連れてきて確認させる。

谷本絵梨華から鑑識課に電話が鳴る。
倉石は彼女に会いに行く。絵梨華は美咲と友達であり、何故
自殺したのかと問う。前日の放課後、彼女の様子が変で声を掛
けたが、あの時もっとちゃんと話を聞いていれば良かったと
告げる。

更に美咲が亡くなったビルでまたしても男性がビルから落下し
て亡くなる。亡くなったのは美咲の父・修二だった。
ズボンの折り返しに白い紫陽花の花びらが入っており、額には
擦過傷。それ以外は落下した美咲と同じような状態だった。
しかし右手の爪の中に、黒い繊維片が見つかる。
落下した場所の指紋を採取すると、手すりを背にして落とされた
と思われる指紋の付着の仕方をしている事から、倉石は殺人だ
と告げる。死亡推定時刻は昨晩10日のPM20時から22時だった。

修二の家を捜索する。彼は新橋のIT企業に勤めていた。
部屋には美咲の献花として白い紫陽花が飾られているのを見る。
妻の容子に昨晩のアリバイを尋ねると、自宅にいた事を告げる。
倉石は現場を調べていると、Z.Nと刻印のされた古い腕時計が
有るのを見つける。倉石はすぐに武文を呼び、この腕時計に
見覚えはないかと尋ねる。すると死んだ父親の腕時計である
事を告げる。これは16年前の大学教授殺害事件の被害者のもの
であると告げる。

16年前、武文の父・善三は二人組の犯人によって殺害された。
現場には犯人の内の一人の血痕が残されていた。部屋から50万円
と腕時計が盗まれたものだったが、昨年時効が成立した案件
だった。倉石にとって初めて鑑識に配属されて担当した事件
だった。現場には二種類の足紋と血痕、そしてタバコの葉が
落ちていた。善三は喫煙家ではないので、恐らく犯人のもので
はないかとされたものだった。
DNA検査で皆川修二と当時の血痕のDNAが一致するのだった。

16年前、修二は18歳。しかし武文は修二の事は知らなかった。
立原は決して捜査に私情を挟むなと忠告する。

--------------------------------------------------------

一人の女子高生が自殺する。しかし後日また同じビルから
飛び降りて彼女の父親・修二が亡くなる。殺人事件である事が
判明していく中で、彼の部屋を調べていくと、なんとそこには
16年前に起こった殺人事件の被害者の腕時計が見つかる。

なんか最終話らしい濃い内容のドラマが待ち受けていた感じ。

16年前の因果関係が描かれているけれど、単なる殺人事件の
犯人と被害者ではなく、倉石にとっては最初の鑑識の仕事の
案件であり、永嶋にとっては父親という事で、相当事件に
入れ込むだけの理由付けがしてある。

ドラマとして複雑なのは、既に時効を迎えている事件であること。
相棒などでも時効事件を扱ったことがあるが、犯人だと分かって
もプライバシーの観点から、捜査が継続できなかったし、
当然ながら世間に明かす事も出来無かった。そういう意味では
扱いとしては難しい事件だろうな。

強盗してまで一人の人間をこの世に誕生させた訳だけど、
その事実を知って自害してしまうなど、悪いことは出来無いと
感じさせると共に、本人にとっては何の罪もない事だと分かって
いても何かせずには居られない所など、相当複雑な心情が
入り交じっている内容だった。

事件捜査の着眼点が、白い紫陽花というのは少々強引な感じ
がするし、鑑識が足で捜査をすることへの違和感は有るけれど
16年前との事件の絡みが巧みで、起用される俳優人が豪華な
だけに、どの人物にも犯人としての可能性が有るような感じ
にも思える。現実的に考えれば、夫を殺したのは失望した妻
なんだろうけど、16年前の共犯者の存在も気になるところだし、
最終話がホント楽しみな内容だと思う。


倉石義男 …… 内野聖陽 (45・鑑識課・検死官)
小坂留美 …… 松下由樹 (38・鑑識課・検死補助官)
立原真澄 …… 高嶋政伸 (45・捜査一課・管理官)
一ノ瀬和之 …… 渡辺大 (32・鑑識課・検死官心得)
坂東治久 …… 隆大介 (52・捜査一課)
五代恵一 …… 益岡徹 (刑事部・刑事部長)
江川康平 …… 辻谷嘉真 (31・捜査一課)
早坂真里子 …… 伊藤裕子 (38・雪絵の妹。バー「かくれんぼ」)
西田守 …… 小林勝也 (法医学教授)
永嶋武文 …… 平山浩行 (鑑識課・検視補助官)

馬場 …… 櫻井麻樹 (捜査一課)
千原 …… 津阪雄一 (捜査一課)
尾形 …… おのさなえ (鑑識課)
矢木 …… 八巻博史 (鑑識課)
秋田 …… 石原茂史 (捜査一課)

上川路啓志

皆川容子 …… 高橋かおり (妻)
皆川修二 …… 武智健二 (夫、IT企業)
皆川美咲 …… 高田彩香 (16歳、高校生、自殺)
北村達彦 …… 大浦龍宇一 (夫)
北村清美 …… 遊井亮子 (妻)
大庭久雄 …… 竜雷太 (清美の父、大庭造園)
大庭純一 …… 山田純大 (息子)
永嶋善三 …… 並木史朗 (武文の父、日東大学教授)
谷本正博 …… 螢雪次朗 (鑑識)
谷本絵梨華 …… 金澤美穂 (正博の娘)

林田一高、中西台次、松山美雪、井手規愛、千葉誠樹


評価:★★★★★★★☆☆☆ (7.0)

inserted by FC2 system