新・警視庁捜査一課9係2
(2010年7月期・テレ朝水曜21時枠)

脚本/深沢正樹(1)、岡崎由紀子(2)、波多野都(3)
監督/杉村六郎

http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari/


第3話 殺人ベストセラー
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日本純文学大賞の受賞記念として、文光社では新人の作家
南条あかりと香田龍太郎の対談を企画していた。
しかし香田は時間には間に合わないとして、担当編集者の
篠田明日香に調布駅から電話する。

現在最も売れている香田龍太郎の小説"悪の果実"を頼まれて
いた浅輪は恋人の倫子にその本を買っていく。彼女は帯に書か
れたコピーがとても気になったという。

香田は到着すると、会議室に居る南条あかりを呼びに行く担当
編集者の高森久美子は、あかりが佇んでいる姿を目撃。
彼女の視線の先には作家の恩田真理が首を吊って亡くなってい
た。すぐに対談は中止になり、警察が捜査に入る。
被害者の恩田は"青春小説の教祖"と呼ばれる人気作家。

第一発見者はあかりで、久仁子が付き添い警察の事情聴取に
応じる。恩田が入館したのは監視カメラの映像によると18時50分。
恩田は最近書けないとして悩んでいたという。
現場を調べていると、豪華なピンブローチが落ちていた。

検死の結果、ロープが頸動脈を塞いだのが原因であり、ロープ
を外そうとして藻掻いた傷、そして首を絞めた跡、両膝には
亀裂骨折の跡が見つかる。膝の傷は自力では立てないほどの傷
だという。
更にロープからは、植物の柔毛、そして分泌液が検出される。
被害者に怨みのある人物で、殺害されるまでの50分間に社内
に居た人物を取り調べしていくことになる。

恩田は文光社の新人賞の選考委員だった。あかりの書いた小説
青のレクイエムをボロクソ批判していた事を知る。
あかりにその辺の事情を尋ねると、デビュー前に一度だけ面識
が有るという。彼女の選評とは別に本は売れたのでそれ程
気にしていないとの事。現在はデビュー作の続編を書いており、
二作目こそ作家としての真価が問われるのだという。
あかりは担当編集者の久仁子に、色々と指導して貰い、困った
時には聖書を参考にすると良いと手渡されたとの事だった。
対談までの間、新作の打ち合わせをしていたというが、何故
書庫に居たのか?あかりは考えるときには歩き回る癖があり、
この時も社内を歩き回っていたとの事。会議室を出たのは
19時15分頃だという。

一方ブローチの件で青柳と矢沢は、売っていた店を特定する。
このプローチに散りばめられるダイヤはフローレスと呼ばれる
傷一つ無い最高級のダイヤで、300万円はするとの事。

明日香に話しを聞きに行くと、恩田が怒鳴る声を聞いていた
という。彼女は新作を書かせろと会社で発奮する姿が目撃され
ていた。恩田と編集長の橋本は犬猿の仲だと聞かされ、橋本
本人に事情を聞くと、過去に恩田が執筆した小説"墜落する
青いカイト"を出版した際に、その小説に影響を受けた少年が
4名自殺している事を知る。その被害者の家族が抗議のために
出版社に手紙を送ってきた事によって、本を絶版にすることで
丸く収めていた事を知る。

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出版社でベテランの作家・恩田真理が首を吊って亡くなる。
自殺ではなく他殺であることは明らかだが、彼女を恨む人物は
複数いる事が判明する。

ドラマが始まる前から、とんねるずの貴さんの娘・穂のかさん
が出演することで話題になっていたもの。

冒頭から怪しく存在している高森久仁子と香田龍太郎が殺害に
関わっていることで、何のサプライズも無かったところが正直
なところ。

ドラマとしては彼女が演じる南条あかりをミスリードの牽引役
として利用している訳だが、冒頭からあまり殺意のある役柄
にも見えなかったことから、容疑者としては少々弱いものが
あった。

言葉に隠された真実を探っていくという、犯人捜し以外のドラマ
に焦点が当たり、犯人がほぼ特定された状況の中、犯行の動機
を探ぐり当てていくという段取りの逆転した奇妙な状況の内容
だった。

言葉の影響力に対して、ネガティブな一面を提示した後、
最終的にはポジティブなエピソードを重ねて持ってくる辺りは、
後味の良い内容なのかも知れない。

少々内容に凝りすぎてイマイチすっきりした感じがなかったのは
残念。

このシーズンに入って本格的に倫太郎と倫子の親子の絆を取り
戻させようとして動いているのではないかと思わせる雰囲気が
有るな。


加納倫太郎 …… 渡瀬恒彦 (警部)
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (巡査)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (巡査部長)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (警部補)
青柳靖 …… 吹越満 (警部補)
矢沢英明 …… 田口浩正 (巡査部長)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (東京都監察医務院に勤務する監察医) 
石川倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の彼女)
--- …… 新貝文規 (検死医)

南条あかり …… 穂のか (新人小説家)
高森久仁子 …… 高橋ひとみ (あかりの担当編集者)
橋本和男 …… 阿南健治 (文光社・編集長)
香田龍太郎 …… 河合龍之介 (人気作家)
恩田真理 …… 木野花 (ベテラン作家)
篠田明日香 …… 吉本菜穂子 (香田の担当編集者)

西岡秀紀、宮沢天、宮沢なお、高木拓哉、杉浦冬真
高橋麻理香


評価:★★★★★☆☆☆☆☆ (5.0)

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