新・警視庁捜査一課9係2
(2010年7月期・テレ朝水曜21時枠)

脚本/深沢正樹(1)、岡崎由紀子(2)、波多野都(3)、徳永高彦(4)
監督/杉村六郎

http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari/


第4話 死者からのメール
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多田克行(21歳)がビルの屋上から落下して亡くなる。
所轄の刑事たちは飛び降りによる自殺ではないか?とする中、
現場に来た浅輪たちは、飛び降りするには屋上が低く、本気で
死ぬ気ならばもっと高いところに行くだろうとの事。
被害者の頬には、焼け焦げたような丸い跡が付いていた。

一方屋上を調べていた青柳と矢沢は、現場で女性用のブランド
PISAの時計を見つける。倫太郎は現場で古い印刷物の切れ端を
見つける。

死亡推定時刻は7月13日の14時から17時。頬の傷はタバコの火を
押しつけられた事による熱傷だという。しかし生活反応が無く
死後に押しつけられたモノだと分かる。更に右手の中指には
軽い擦り傷があり、監察医の真澄は他に落下の時に付いた以外の
傷を探すと告げる。

多田の事を調べると、3年前に中等少年院・八王子学園に入院し
一年半前に仮出所されているという。本来は川村了という名前
だが、改名されているという。多田は工業高校に居るときに、
同級生の渡辺智久の事を強請り、自殺に追い込んでいるという。
自宅の工場で自殺させたが、反省しているとの判断から、刑事
事件として扱わず、保護されている事が分かる。

そんな多田の遺留品の中に携帯電話が残されているが、通話
履歴が一切残されていなかった。

渡辺智久の遺族が息子のために復讐したものなのか?

渡辺工作所で仕事をする父・庸平を尋ねる。
13日の午後3時頃のアリバイを尋ねると、ここで仕事をしていた
という。息子だけでなく、妻もあの事件で自殺して亡くしている
のを知る。
一方青柳たちは時計のシリアルナンバーから購入者は池脇花穂
である事が分かる。40万円もする時計を19歳の女性が買えた
理由は何なのか?

携帯電話の履歴を電話会社に問い合わせると、最後にメールを
送ったのが渡辺正の携帯電話だと判明する。2年前多田と渡辺
は同じ少年院の同部屋だった事が分かる。保護司との面会も
ろくにせず、素行が悪いとの評判だった。

渡辺正が住む昭和荘を訪れる浅輪と倫太郎。すると家主は不在
だったが、保護司の高畑宗一郎と偶然逢う。昨日正と電話した
時には今日会えることになっていたという。死亡した多田は
死亡直前に渡辺にメールしている事を話す。高畑は正は誤解
されるが根は悪い子ではなく、就職も決まりそうだったという。
そんな彼が犯罪を犯すはずはないと訴える。

青柳は池脇花穂に逢う。川村(多田)が死んだことを告げると
驚いた様子の彼女。時計は昔川村にあげたものだと告げ、逮捕
された事で二人は別れ、別れてからは一度も逢っていない事を
告げる。青柳たちは花穂を追及すると、当時川村と結託して
美人局の様なことをして金を脅し取っていた事を知る。

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多田が殺害される。
殺したのは、かつて多田が自殺に追い込んだ渡辺智久の遺族の
ものなのか?

ドラマとしては先入観を上手く利用して、ミスリードを引き
出した話だった。
遺留品に残されていた携帯電話の最後のメールの発信が渡辺
だった事で、誰もが渡辺を被疑者に扱い、因果関係を調べて
行くことになる。

幾ら少年犯罪といえども、最近は少年院送致で済まないことも
多いし、二度目の罪ならば少年法の範疇で裁かれるのでは無い
ことは明らかだろう。

冒頭から渡辺正の性格についても、醜悪な人物としての虚像を
作り上げていたことで、上手く容疑を絞らせないよう工作され
ている。

人間の過去というものが、皮肉にもいつまでも消し去ることの
出来無い事実として付きまとい、そこから新たな犯罪が発生して
しまう事への不幸さが描かれた。

遺体に付着する残留物に関して、高畑と多田が争っているシーン
を見てしまうと、どうしても簡単にDNAが検出されてしまう様に
しか見えないところが残念。
また今回倫太郎が現場で拾った脅迫に使われていた写真について
も、やや都合良く残っていたなという感じがしたかな。

それにしても最近、青柳のスタンドプレイが目立つ。
現場で見つけた物証を自分だけで捜査して手柄にしようとして
いる辺りは、村瀬とやろうとしている事が似ているぁ。


加納倫太郎 …… 渡瀬恒彦 (警部)
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (巡査)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (巡査部長)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (警部補)
青柳靖 …… 吹越満 (警部補)
矢沢英明 …… 田口浩正 (巡査部長)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (東京都監察医務院に勤務する監察医) 
石川倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の彼女)
--- …… 新貝文規 (検死医)

渡辺庸平 …… 菅原大吉 (渡辺工作所社長)
高畑宗一郎 …… 不破万作 (保護司、元小学校教師)
渡辺正 …… 伊藤祐輝 (多田と同じ監房、本名は佐々木勝也)
多田克行 …… 山口龍人 (21歳、死亡、本名は川村了)
池脇花穂 …… AKINA (19歳、服飾関係の専門学校生)

宇納佑、岡けんじ、梶原阿貴、山口裕次郎、池田祐見子


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

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