新・警視庁捜査一課9係2
(2010年7月期・テレ朝水曜21時枠)

脚本/深沢正樹(1)(5)、岡崎由紀子(2)、波多野都(3)
徳永高彦(4)、ハセベバクシンオー(6)、瀧川晃代(7)
真部千晶(8)
監督/杉村六郎

http://www.tv-asahi.co.jp/9gakari/


第8話 歩く死体
--------------------------------------------------------
浅輪は倫子と共にスイーツ店を回っていた頃、目的の店の場所が
分からず交番の前で立ち往生。交番で聞こうという倫子に、
それだけは勘弁してくれという浅輪。そんな所に、一人の男性
森野喜久男がフラフラと歩いてきて、自分はこの事件の犯人だと
語る。しかし指さした先にあるポスターは三つあり、それぞれ
新大久保資産家夫婦殺害事件、中野サラリーマン刺殺事件、
三鷹遺体切断遺棄事件だった。AEDを使って蘇生を試みるも、
森野はその場で息絶えてしまう。

検視の結果、側頭部打撲による外傷性硬膜下出血が原因だと
いう。左腕部には圧迫による皮下出血が有るという。

森野について調べると、彼は広域暴力団の赤竜会の元構成員で
有ることが判明する。しかし赤竜会は10年前に解散している。
青柳たちは遺留品の中からレシートを見つけて、そこから被害者
の足跡を辿ることにする。すると村瀬がやってきて、被害者を
乗せたタクシーが見つかり、被害者のことを三鷹から乗せた
事が分かる。三鷹の事件に関わっている可能性が高いという。

志保たちは森野のアパートを捜索する。
三鷹の事件では黒のポリ袋にバラバラ遺体が入っていたという。
体のパーツの内、手首が見つかっていないと言うが、アパート
の中から手首らしきものが見つかる。しかし中を明けてみると
血痕の付着するナイフだった。

青柳たちはレシートを追って、武蔵野市立病院に来ていた。
ここの購買部で女性ウィークリーと呼ばれる雑誌を購入しよう
としていた事を知る。金を渡され、発売したら768号室の高木
に届けて欲しいと頼まれたという。
高木由奈に会いに行き事情を聞くと、森野とは同じ店で働いて
おり、嫌な客を追い払ってくるのだという。昨日は病室には
来ておらず、一週間後に来ることになっていたという。森野に
怨みを持っていた人は居ないかと尋ねるが、彼は見た目とは逆
にとても優しい人であることを聞く。
しかし売店まで来て病室まで来ないのは何故なのか?

浅輪たちはタクシー運転手から、森野を乗せた場所に案内して
もらう。すぐ目の前には三鷹台高校が有り、吹奏楽部が練習して
いた。顧問の佐藤知也と脇田莉沙子から話を聞く。
一方その時、浅輪の元に電話が鳴り三鷹の事件とは関わりがない
事が判明する。ナイフに着していた血液がO型のものであり、
三件の事件の中でO型に該当するのは、中野サラリーマン事件
だけだという。遺族が小平に住んでいるので事情を聞いてきて
欲しいと言われる。その頃、加納は近くの文具店で風船を
買っていた。被害者が風船を持っていたため。三鷹台高校の
吹奏楽部は毎年全国に進出するほどレベルが高いことを知る。

--------------------------------------------------------

突然目の前に現れた森野は、自分は事件に関わっているとして
事件の詳細が書かれたポスターに指を差したまま亡くなる。
彼は一体何の事件に係わっているのか。そして彼を殺害したの
は誰なのか。

被害者のことを調べていく内に、見た目とは違う彼の内面が
描かれていき、事件の真相が明らかにされていく。

森野喜久男という人物が何故道を踏み外したのか。

森野の行動の全てが他人のために自ら罪を被るような流れに
繋がっていく所が驚きだし、そんな性格のせいで人生をダメに
してしまう辺りの悲しい結末が何とも言えない後味の悪さを
描き出す。

真部千晶さんの脚本だったけど、各々の流れがとても計算高く
作ってあり、切り替わりの忙しい展開ではあったけどとても
上手く構成されていた。

何と言っても主役を演じた蟹江一平さんの男気溢れる内容だった
けれど、青年座所属で蟹江敬三さんの息子さんなのね。
とてもカリスマ性の有る方だと思う。

脚本としては冒頭の事件で、不良から脇田を助けた事が、何故
正しく伝わらなかったのかが不自然な形で存在したけど、
人生の軌道がそんなちょっとした掛け違いによって変わって
しまう事への皮肉な感じが出ていたな。

彼自身が亡くなった事も、喧嘩とか暴力が関わっているものでは
なく、脇田との関わりによって亡くなっている所など、彼女
との出会いが、皮肉にも人生転落から終止符まで打たれてしまう
所など、意図していない事とはいえ、なんとも恐ろしい女性で
はある。


加納倫太郎 …… 渡瀬恒彦 (警部)
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (巡査)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (巡査部長)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (警部補)
青柳靖 …… 吹越満 (警部補)
矢沢英明 …… 田口浩正 (巡査部長)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (東京都監察医務院に勤務する監察医) 
石川倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の彼女)
広岡巧 …… 新貝文規 (検死医)

森野喜久男 …… 蟹江一平 (元ヤクザ)
相沢亮輔 …… 小林高鹿 (作曲家)
高木由奈 …… はねゆり (キャバ嬢、骨折)
佐藤知也 …… 宮崎吐夢 (吹奏楽部顧問)
脇田莉沙子 …… 小西美帆 (吹奏楽部顧問)
相沢二葉 …… 小野真弓 (妻、再婚)

カゴシマジロー、ふくまつみ、田村学、紅村ゆりか、荒井隆人
本間康之、保科光志、阿部昌広、永井裕久、濱崎晋丞
川名みくる、川名倫太郎、新虎幸明


評価:★★★★★★☆☆☆☆ (6.0)

inserted by FC2 system